市川紗椰さんと考える これからの「環境にやさしい移動」とは?

大の鉄道好きとして知られる、モデル・タレントの市川紗椰さん。
仕事・プライベート問わず鉄道で各地を訪れ、日本はもちろん世界の鉄道事情にも精通しています。
今回はそんな市川さんが、JR西日本の吹田総合車両所 森ノ宮支所を訪問。
吹田総合車両所 森ノ宮支所は、JR西日本グループがめざす未来への長期ビジョン
「安全、安心で、人と地球にやさしい交通」に向けて、車両の安全を支えている場所です。
『EXPO 2025 大阪・関西万博(以下、大阪万博)』を盛り上げるラッピング車両「JR WEST Parade Train」、
そして車両の検査・修繕作業を見学いただきながら、
市川さんに「環境にやさしい移動」というテーマについて伺いました。
鉄道から、世界が見えてくる
物心ついた頃から、鉄道や車が好きだったという市川さん。4歳の時にアメリカという「車社会」に引っ越したことで、毎年日本に遊びに来た時に見る電車が、小さな頃からずっと変わらずにキラキラした存在であり続けたといいます。個々の車両やそのパーツ、デザイン、駅名、サービスなど、鉄道にまつわるあらゆる事柄から、その土地の歴史や文化、地域性までも紐解いていく市川さんの視点には、世界中を走る全ての鉄道と、それを守ってきた人々への深い敬意を感じます。


市川紗椰さん
アメリカ・デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。16歳の時にスカウトされモデルデビュー、以降テレビやラジオにも出演。
2024年9月より恵那観光大使 明智鉄道名誉顧問に就任。

「気ままに『一期一会』を楽しめるのが、鉄道の旅の魅力」
鉄道に乗りつつ、訪れた場所でおいしいものを食べるのが大好きだという市川さん。著書『鉄道について話した。』の中には、東京から出発して近畿、そして中国・四国、九州まで、各地の「駅そば」を食べ比べながらその地域色を探求したという、なんともユニークな旅のエピソードも綴られていました。
「ただ、コロナ前の行動力をまだ完全に回復できていなくて。それでもいろいろ行ってはいるのですが、2025年はもっと積極的に出かけたいですね。あまり事前情報を調べずに、心の赴くままにぶらぶらする気ままな旅も大好きなので、またやりたいです。鉄道の旅は、乗り換えの待ち時間に立ち寄ったまちで思わぬ出会いがあったりと、『一期一会』という旅本来の魅力を目いっぱい味わわせてくれます」
JR西日本の管内も、仕事やプライベートで何度も訪れていますが、車両所に入るのは今日がはじめてだそう。一歩足を踏み入れると、「広い!」と目を輝かせます。この吹田総合車両所 森ノ宮支所では、大阪環状線を走る一部の車両のメンテナンスを行っています。早速市川さんと一緒に、作業の様子を見せてもらうことにします。



安全、安心を守るには、人の手と目、耳が不可欠
この日に見学したのは、車輪のまわりの検査・修繕作業。例えば、石などの障害物が線路上にあった際に取り除く排障器(スカート)や、ブレーキ装置の一部である制輪子(ブレーキパッド)、雪を払い除ける雪かき器など、車輪のまわりには安全な運行を支えるためのさまざまな装置が設置されています。
ハンマーで部品をコツコツと叩いていく作業を見て「何をしているのですか?」と市川さんがたずねると、「部品を留めているボルトナットがゆるんでいないかどうか、点検しています」とのこと。ゆるんでいると、叩いたときの音が鈍く変わるのです。
ほかにも、電線が断線していないか、空気が漏れていないかなど、見えにくい部分もライトで照らして覗き込み、直接手で触りながら、地道に点検していきます。朝から夕方まで、一日の作業で8両を点検。全ての車両は90日に一度、車両所に戻って検査・修繕作業を受け、再びお客様を乗せるために現場へ出ていく、というサイクルになっています。

「お客様の安全、安心を守るためには、技術が進んでも、人が直接見て、触って、聞いて、という作業が大切なんですね」と、真剣な表情で作業に見入る市川さん。
森ノ宮支所で車両の点検を行っている大阪環状線は、大阪駅を含む19駅を結び、オフィス街から住宅地まで大阪市内の主要エリアを広くカバーしている路線です。日々、多くのお客様にご乗車いただく車両のメンテナンスを行うことに対し、検査・修繕を担当するメンバーは身の引き締まる思いとともに、強いやりがいも感じています。
日夜頑張って働く車両を、しっかりメンテナンスし、再びお客様の元へ送り出す……まるで我が子を見守るような森ノ宮支所のメンバーに、市川さんも「かっこいいですね」としみじみ。



「『鉄道旅行はエコでかっこいい』という考え方が、
若い世代を中心に広がりつつあります」
続いては、2025年4月13日から開催される『大阪万博』に向けて制作されたラッピング車両「JR WEST Parade Train」の見学へ。「『大阪万博』へのアクセスルートを、パビリオンのように楽しんでいただきたい」という思いから制作されたこの車両は、青空を思わせるような鮮やかな水色をベースに、リボンや紙吹雪などのカラフルなモチーフが舞う外観デザイン。
これだけでも心踊りますが、中にも大きな仕掛けがあります。窓上から天井にかけてたくさんのLEDパネルが設置され、車両の前方や左右に設置したカメラの映像を、リアルタイムで投影する仕組みになっているのです。
この仕掛けには、市川さんも感心した様子。「観光列車などで窓が大きいものはほかにもありますが、この仕掛けは『ありそうでなかった』ですね」。4月13日の『大阪万博』開幕と同時に、外の景色を映し出す演出が開始すれば、デザインコンセプトである「オープンカーでパレードに参加するわくわく感」をまさに感じられる体験ができそうです。
一方で、JR西日本グループが届けたいと考えている価値は、目に見える「楽しさ」や「わくわく感」だけではありません。「JR WEST Parade Train」が走る『大阪万博』へのアクセスルート、大阪環状線とJRゆめ咲線は、2024年2月から100%再生可能エネルギー由来の電力による運行を開始しています。その背景には、「人と地球にやさしい交通をめざしたい」という思いがあります。

ーJRグループと全国72社の民間鉄道会社が加盟する日本民営鉄道協会が、鉄道モーダルシフトを促進するため考案したスローガン
「Switch! SUSTAINABLE TRAIN」
「そもそも鉄道は、輸送量あたりのCO2排出量が少ないという意味で、地球にやさしい乗り物ですよね。世界でも、今、鉄道を再評価する流れがあるのを感じます。特にヨーロッパでは、『鉄道旅行はエコでかっこいい』みたいな考え方が、若い世代の間で広がりつつあります。今の世代が、自分たちのため、将来の世代のため、地球環境のためにできることを始めることが大切だと思います」
実際、国土交通省の調査によれば、鉄道で旅客を運ぶ場合の輸送量あたりのCO2排出量は、自家用自動車・航空機と比べて約5分の1になるというデータが出ています。今後は、カーボンニュートラルに向けた具体的な取り組みはもちろん、こうした事実をより多くの生活者に知っていただくためのアクションも、鉄道会社には求められている状況です。
「『人と地球にやさしい交通』といえば、私は次世代型の路面電車・LRT(Light Rail Transit)にも期待しています。LRTは車体が小さく、コスト面でも導入の負担が小さいほか、低床設計でバリアーフリーでもあるんです」
例えば富山県では2006年に「富山ライトレール」が開業し、高齢の方や観光客による利用が増えてまちが活性化するなど、さまざまな効果があったそう。
「LRTはもとより、鉄道全体がCO2排出量の少ない環境にやさしい乗り物、という理解が世の中にもっと広がっていけば、車の代わりに鉄道を使おうという人も増えるのではないでしょうか」


ー『大阪万博』の公式キャラクター「ミャクミャク」がデザインされたラッピング車両。開催
500日前にあたる2023年11月30日から運行中
鉄道が変わることで、
人の暮らしやまちそのものまで変わりうる
鉄道は単なる移動手段ではなく、そこに住まう人々、訪れる人々の生活の一部。だからこそ、鉄道が変われば、人の暮らしやまちそのもののあり方まで変えられるのではないか……市川さんのお話からは、そんな可能性が垣間見えます。
また、JR西日本グループで取り組んできたのは、省エネルギー型車両の導入や再生可能エネルギー活用の推進など鉄道部門での取り組みだけではありません。
例えば不動産の分野では、大阪駅に隣接するノースゲート・サウスゲートビルディング、イノゲート大阪で使用する電力が2024年度から再生可能エネルギー100%になりました。「ルクア大阪」などのショッピングセンターでも、社会的に問題となっている衣料品廃棄量の削減のため、ショッピングセンターが衣料品の回収拠点となり、パートナー企業との連携により再生繊維として生まれ変わらせることをめざす取り組みを行っています。また、JR西日本グループのホテルでも、アメニティや客室飲料水などをプラスチック削減につながる商品へと置き換えてきました。
鉄道事業に限らず、さまざまな角度から人々の暮らしを支えるJR西日本グループだからこそ、未来のためにできることはたくさんあります。
「日本の鉄道には、利用者の快適さのための繊細な心遣いがあちこちに見られます。そのやさしさで取り組む、未来に向けたアクションにも期待しています」
市川さんからのエールに背中を押され、これからも未来の豊かな暮らしのために歩みを続けようと、決意を新たにしました。
いい明日ってなんだろう?
鉄道を通じて、さまざまなまちを、世界を見つめてきた市川さん。
その視点からはあらためて、鉄道が「いい明日」のためにできることの、
可能性の大きさを考えさせられました。
それでも、一企業、一グループにできることには限りがあります。
いい明日をつくるのは、今日を生きる一人ひとりの選択です。
日々の中で、人や地球の未来を考えて「ちょっといい選択」をしよう、
そんなふうに考える人の輪を広げていけるように。
一つひとつの取り組みを、地道に進めていく大切さを感じました。




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地球環境への取り組みJR西日本グループは、社会インフラを担う企業グループとして、長期ビジョンに「安全、安心で、人と地球にやさしい交通」や「持続可能な社会」を掲げ、環境をはじめとするサステナビリティの取り組みを推進しています。JR西日本グループの環境基本方針や、地球環境保護の取り組みの推進体制、目標指標(KPI)などについて、下記のページにて紹介しています。
https://www.westjr.co.jp/company/action/env/ -
電車を選ぶだけで地球にやさしい。
「Switch! SUSTAINABLE TRAIN」JRグループと一般社団法人日本民営鉄道協会、一般社団法人日本地下鉄協会では、「Switch! SUSTAINABLE TRAIN」という共通スローガンのもと、より多くの皆様に鉄道の環境優位性をご理解いただくためのPR活動に、業界一丸となって取り組んでいます。下記のページでは、「電車を選ぶ」ということがそれだけで環境にやさしい行動であることを、グラフや動画などを使って分かりやすく発信しています。
https://www.westjr.co.jp/company/action/env/switch_sustainable_train/
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