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JR西日本

D&Iレポート

インタビュー

JR西日本グループが目指す
ダイバーシティ&インクルージョン

代表取締役社長 倉坂昇治 ダイバーシティ推進室 室長 中山あゆみ

JR西日本グループが存在意義として掲げる
「私たちの志」実現へ向けて、
土壌となる環境づくりに
欠かすことのできないのが
ダイバーシティ&インクルージョンです。
その重要性や
その先に目指すことについて、
倉坂昇治社長に
ダイバーシティ推進室長が
インタビューを行いました。

ダイバーシティ&インクルージョンを推進する意義とは?

中山
はじめに、JR西日本グループがダイバーシティ&インクルージョンを推進する意義について、どのように考えておられるか、聞かせていただけますか。
倉坂
JR西日本グループには「人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす。」という「私たちの志」があり、その実現を社員一丸となって目指しています。お客様の年代、性別、趣味・嗜好、ライフスタイルなどは実に様々です。その多様なお客様に価値を提供していくためには、当社グループ自身も同じように多様な人財で構成される組織となり、様々な経験・技術・考えを持つ人財が力を発揮することがとても大切です。

価値を生み出す上では、いろいろな人財が率直に意見を交わし合う必要があります。その中で、一人ひとりの成長やイノベーション創出が促され、結果として、会社の成長や社会的価値の提供につながるということが、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する大きな意義ではないかと考えています。
倉坂社長と中山室長の対談

実感したダイバーシティの大切さとは?

中山
ダイバーシティの必要性や大切さを感じられたご経験についてはいかがでしょうか。
倉坂
2つの話をしたいと思います。

1つは、福知山線列車事故の後、企業再生の道を歩んできた過程で、ダイバーシティの重要さを身にしみて感じたことです。同じタイプの人ばかりで考えると同じような考え方やリスクにしか気づきませんが、「安全・安心にどのように向き合う企業であるべきか」という当社として最も大切なことを検討する上で、様々な視点、経験、立場からの意見をもとにしながら、より多様な角度から議論し、考えていくことの重要性を強く感じました。

もう1つは、取締役会のメンバーの多様性についてです。グループとして経営を計画、意思決定する上で、企業経営やガバナンス、安全・品質、CS・マーケティング、地域共生、イノベーションなど様々な能力・スキルを持つ人財が必要です。これを、取締役会の場合は「スキルマトリックス」という形で表し、それに基づき取締役会はバランスのとれた能力・スキルの方たちで構成されています。また、社外から来られている方々は当社にはない様々な経験や知見をお持ちなので、取締役会ではいろいろな視点からの意見が出てきます。経営について議論し、判断する場において、多様な意見が活発に出てくることは必要不可欠であると感じています。
倉坂社長
中山
経営を担う立場からも、お客様の安全・安心を守る立場からも、ダイバーシティの大切さを実感されたということですね。ダイバーシティ推進はガバナンスの観点からも有効であると言われています。同質性の高い組織ではあたりまえとされてきたことに多角的な視点が入ること、違和感を口にでき、それを受け入れることができる心理的安全性の高い組織であることは当社グループが目指す安全最優先の風土構築にもつながりますね。
中山室長

JR西日本グループとして重視していることは?

中山
ダイバーシティ&インクルージョンを推進する上で何が重要だとお考えでしょうか。
倉坂
当社の鉄道オペレーションは、お客様に直接接する駅係員や乗務員のほか、車両や施設、電気といった技術系の人財によって総合的に成り立っていますよね。グループ全体ではさらに、物販飲食や不動産、ホテルなど幅広い分野で専門性をもつ組織であり、そういう意味ではすでにダイバーシティな状態であったともいえます。

そこから社員一人ひとりへと目を向け、例えば、誰もが育児や介護などライフイベントに合わせた働き方が選べ、社会人採用・外国人財・シニアなどの多様な経験や価値観を活かしながら、今まで以上に「一人ひとりが輝き活躍できる」ことが重要だと考えています。
倉坂社長
中山
その中で当社は重要課題として「女性活躍」をあげていますが、どのようにお考えですか。
倉坂
旧国鉄時代もそうでしたが、かつては労働基準法により女性の深夜労働が禁止されていました。当社の場合は夜中に鉄道を動かしたりメンテナンスしたりする業務があり、その業務に女性が従事できなかったことから、女性活躍の歴史が浅いんです。「女性活躍」とは、このように女性が働くことのできる職場が限定・区分されてきた歴史を省みて、性別によらず女性が活躍できるようにする取り組みだと考えています。当社においても、制度や設備を整え、積極的な採用、職域の拡大を経て、今では、すべての部門で女性が活躍しています。ただメンテナンス部門の技術者を希望される女性の求人者数はまだまだ多くありません。その背景として、日本においては理工系分野を選択する女性が少ない現状があると考えています。
中山
大きな要因の1つですね。様々な技術で成り立っている当社の仕事を通じて、理工系分野の魅力を伝えられないかと考え、山田進太郎D&I財団様が主催する「Girls Meet STEM」に協賛し、女子中高生向けに理工系領域に特化した施設見学や女性社員との交流会を実施しています。
倉坂
理工系分野の魅力を発信できるこのような取り組みは、社会全体の課題への貢献として今後も拡大していきたいですね。

また、先ほど申し上げた背景もあって、役員・管理者層に女性がまだ少ないことも課題と感じています。女性が自身の望むキャリアを実現していくにあたっては世代ごとに課題も異なるため、キャリア形成に関わること・制度や設備など環境に関わること・個別の成長支援に関わることの3つの観点で世代別に取り組みを推進していますよね。
中山
はい。例えば、キャリア形成の取り組みとして、主に鉄道現場で活躍するプロフェッショナル職のキャリアステップを見直し、ライフイベントを経ながら実力もつけてキャリアアップすることを可能にしました。
中山室長
倉坂
ライフイベントは性別に関わらず起こりうるものですので、このような取り組みはどの社員にとっても自身が望むキャリアやライフスタイルを形成することにつながると考えています。

そういえば男性の育児休職取得率も高くなってきていますね。
中山
はい。取得率が向上しているだけでなく、1ヶ月以上の取得が9割を超え、平均取得日数も101.5日になっています。(2024年度実績)
倉坂
夫婦ともに当社で働いているという社員も多いのですが、お互い相談しながら、充実した制度を利用し、子育てとキャリアの両立を図っているという話も聞きます。
中山
鉄道現場では専門性の高い仕事をしていますから、長い期間をかけてせっかく身につけた技術を維持していけるよう、性別を問わず、子育て中もキャリアの足を止めずに働ける環境整備はとても大事だと考えています。会社を辞めないための制度という観点だけでなく、子育て中もスキルを磨きながらキャリアアップもできるという観点を大切にしています。

子育ての経験が仕事にプラスに働くという考え方も広げていきたいですね。私も子育て真っ最中の頃は、「職場に迷惑をかけている」とネガティブに考えがちでしたが、時間の制約がある中で、マルチタスクをこなす能力や対人能力なども向上するということを書籍で読んで、勇気づけられました。子育てを通じた個人の成長が職場への好影響につながりますし、パートナーが他社の場合、自社の取り組みが他社に好影響を及ぼすということもあります。
倉坂
「共働き・共育て社会の実現」は社会課題です。グループとして、課題解決を牽引できるような存在になりたいですね。
中山室長

ダイバーシティ&インクルージョンがより良い影響を与えるには?

中山
ダイバーシティ&インクルージョンが、JR西日本グループに良い影響を与えるためには何が必要だとお考えでしょうか。
倉坂
まずは、何よりも心理的安全性を高めることです。鉄道の安全性向上のために心理的安全性の高いチームづくりを進めていますが、これは鉄道に限らず、仕事を進める上で大切な基盤となります。「資源は有限、創意は無限」という言葉があります。お金は無尽蔵ではありませんが、創意は無限です。その創意を多く引き出すためには、社員一人ひとりが努力して勉強・体験し培った自分の意見をのびのびと言い合える環境が重要です。

先日、月1回くらい本社で実施している「しゃべり場」という会に参加しまして、社会人採用の社員の方からいろいろな意見をもらいました。これまで当社なりに工夫し、改善してきたことも、他の会社を経験してきた方から見れば、まだまだ改善の余地があると感じたのでしょう。このように安心して意見を言い合える環境というのは非常に重要だと改めて感じました。また、十分やってきたと思っていたこともまだその先があると気づかされました。大切にしたい視点です。
中山室長
中山
安心して意見を言い合えることで新しいアイデアが出たり、これまで当たり前と思っていたことに「変化する余地があるのでは?」と新しい気づきが得られたりすることが増えていくと期待しています。そのアイデアや気づきを形にしていくことも大切と思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
倉坂
心理的安全性を高め、多様な意見が出てきたときに、新しい視点やアイデアを活かそう・任せてみようという風土があることも大切だと考えています。

商品開発やサービスの提供をしていく中で、いろいろな視点、アイデアを持っている人が集まっているということ、それを活かそうという風土から新しい可能性が生まれ、会社が強くなると感じた一件があります。コロナ禍が過ぎつつあった頃、「サイコロきっぷ」というサイコロの目で行き先が決まるという商品を発売しました。私たち世代には、「旅行というのは、行きたいところがあってするもの」という先入観があり、当初は本当に売れるのかなと思っていたのですが、SNSでもかなり話題になって驚きました。これは「どこかには行きたいけれど、どこに行っていいかわからない」という方がたくさんおられたということなんですよね。

この「サイコロきっぷ」を考えたのは、若手メンバーで構成された横断的なプロジェクトチームです。メンバーの各分野における深い知識や経験がうまくミックスされ、多様な視点でアイデアをぶつけ合いながら企画が進められたことで生み出された商品でした。そして、判断する上司側に若手社員の意見を積極的に取り入れようという姿勢があったことも、この企画の成功を支える要素だったのではないかと思います。
中山
多様な人財がお互いの個性や背景を尊重されていると感じ、安心して議論し合えることと、そこで出た視点やアイデアを活かそうという風土の両輪によって、グループとしてより良く成長していけるということですね。
倉坂社長

ダイバーシティ&インクルージョン推進の先にある展望とは?

中山
最後に、今後の展望についてお聞きします。
倉坂
冒頭でも申し上げましたが、「私たちの志」で描いている大きな姿の中で、社員一人ひとりがどのような未来を切り開いていきたいのかを考え、実現していくことを目指しています。

お客様、地域・社会、パートナー、株主、共に働く仲間といった当社のステークホルダーの皆様それぞれに、笑顔が生まれるような価値を提供していくことが会社全体の目標です。その大きな目標に向かって、社員自身が未来を思い描くことが、当社や社会の未来を動かすことにつながっていくのではないかと思います。

そのためにもダイバーシティ&インクルージョン推進によって「共に働く仲間」である社員一人ひとりが自信と誇りを持ち、安心して活躍できる会社にしていきたいと思います。社員一人ひとりの成長がグループ全体の成長の原動力です。社員自身も成長を実感しながら、ご家族も含めて幸せになるように。その大きな基盤となるのがダイバーシティ&インクルージョンだと考えています。
倉坂社長
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