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環境マネジメントシステムの推進
ISO14001に準拠した
JR西日本独自の環境マネジメントシステム
鉄道は他の輸送機関に比べて環境にやさしい乗り物ですが、事業活動において、廃棄物や油脂類、化学物質等を取り扱っており、この取り扱いを誤ると地球環境に影響を与えることになります。こうしたことから当社は地球環境にやさしい事業活動をめざして、各事業所の事業内容に応じてISO14001に準拠して構築した独自の環境マネジメントシステムを推進し、グループ全体で、法令の順守※はもとより、環境汚染リスクの回避や環境負荷低減に継続的に取り組んでいきます。
※当社では法令等の遵守について「遵守」の漢字を用いていますが、地球環境分野においては、ISO等の認定機関である公益財団法人日本適合性認証協会の指針に基づき「順守」を用いています。
環境リスクマネジメント

環境汚染物質の漏出や法令に抵触する事象が発生した場合は、事象の大小に関わらず報告・届出等の対応をルール化し、社内で情報共有するとともに、日頃から緊急事態を想定した訓練を実施することにより、同種事象の再発防止に取り組んでいます。
JR西日本グループ会社の環境マネジメントシステム認証取得箇所
JR西日本グループは、鉄道を中心とする輸送サービスやその特性を活かした生活関連サービスに加え、新たな事業分野に取り組むなど、グループ全体でさまざまな事業活動を行っています。
JR西日本グループ会社65社中10社がISO14001等の環境マネジメントシステム等の認証を取得しており、地球環境保護に積極的に取り組んでいます。
ISO14001等の環境マネジメントシステム等認証取得会社
認証取得会社名 | 取得した認証名称 | 主な事業内容 |
---|---|---|
大鉄工業株式会社 |
ISO14001 | 建設事業 |
株式会社ジェイアール西日本ホテル開発 |
KES(ステップ2) | ホテル業 |
株式会社ホテルグランヴィア岡山 |
エコマーク「ホテル・旅館Version2」 | ホテル業 |
JR西日本京都SC開発株式会社 |
KES(ステップ2) | 不動産業 |
株式会社ジェイアール西日本マルニックス |
グリーン経営認証 | 貨物運送業 |
JR西日本宮島フェリー株式会社 |
グリーン経営認証 | 海上運送事業 |
京都駅ビル開発株式会社 |
KES(ステップ2SR・ステップ2En) | 不動産業 |
大阪エネルギーサービス株式会社 |
KES(ステップ2En) | 熱供給事業 |
嵯峨野観光鉄道株式会社 |
KES(ステップ1) | 鉄道事業 |
株式会社JR西日本あいウィル |
FSC(CoC)認証取得 | 印刷・製本業 |
(2022年8月現在)
環境教育

「法令順守を基本に、環境の視点から自分たちの日常業務を見直していく人材」の育成をめざし、本社・支社において、環境管理指導者が中心となり、グループ会社の従業員もあわせて体系的に教育を実施しています。
また、JR西日本独自の環境マネジメントシステムにあわせた教材「地球環境テキスト」をもとに、現場に即したわかりやすい教育を行い、環境管理に精通した人材育成に努めています。

環境審査

ISO14001に準拠した環境マネジメントシステムの継続的改善を図るため、社外機関の協力により内部環境監査員資格を取得した担当者が、事業所の取り組み指導を兼ねた環境審査(第二者監査)を実施しています。
審査は、ルールの順守状況、システムの有効性、積極的な創意工夫などを評価し、不適合な箇所は是正措置を実施しています。
法令順守と汚染の予防
地球環境保護における法令の順守は、事業活動の基盤をなす重要な課題であるとの認識のもと、日常業務における化学物質や廃棄物の適正な管理に取り組んでいます。さらに、環境汚染の防止や騒音・振動など地域の生活環境への配慮にも取り組んでいます。
2021年度については、重大な環境関連法規制等の違反(罰金/制裁措置)に至るものはありませんでした。今後も継続して適正管理に努めていきます。
PCBの処理

PCB[注釈1]が使用された変圧器、コンデンサ、蛍光灯安定器や、PCB油が付着したバラストや汚泥などのPCB汚染物は、「廃棄物処理法」や「PCB特措法」の基準などに従って厳重に保管・管理しています。
「PCB特措法」で2027年3月までの処理が義務付けられており、2007年1月よりJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)の処理施設で当社保管のPCB機器の処理を開始し、2021年度末までに累計で9,292トンを処理しました。今後も保管・管理の徹底と、確実な処理を進めていきます。
[注釈1]
PCBとは、ポリ塩化ビフェニルの略称です。難分解性のため環境に蓄積し、人の健康に影響を与えるとして、現在は使用が禁止されています。
PRTR法への対応
各事業所において、使用する化学物質の種類や量を把握するとともに、保管・管理の徹底、使用量の削減に取り組んでいます。PRTR法[注釈1]に基づき行政に排出量・移動量を届け出た事業所は6箇所で、車両メンテナンス時の塗装工程で使用される有機溶剤などが届出対象となっています。
[注釈1]
PRTR法とは、有害性が疑われる化学物質が、どこからどの程度環境へ排出されたか、廃棄物として事業所外へ運び出された量を把握し、集計・公表することを定めた法律です。(正式名称「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」)
PRTR法に基づく届出排出量及び移動量
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
化学物質名称 | 大気への 排出量 |
移動量 (当該事業所外) |
大気への 排出量 |
移動量 (当該事業所外) |
大気への 排出量 |
移動量 (当該事業所外) |
石綿 | 0 | 1,740 | 0 | 0 | 0 | 0 |
キシレン | 2,697 | 2,573 | 2,130 | 2,646 | 1,370 | 2,189 |
クロロジフルオロメタン(HCFC-22) | 2.5 | 0 | 11 | 0 | 0 | 0 |
ジクロロペンタフルオロプロパン (HCFC-225) |
900 | 220 | 0 | 0 | 0 | 0 |
スチレン | 390 | 1,290 | 100 | 380 | 0 | 0 |
1,2,4-トリメチルベンゼン | 1,796 | 768 | 1,677 | 808 | 1,157 | 751 |
トルエン | 4,790 | 9,100 | 3,500 | 5,200 | 1,210 | 3,020 |
ポリ塩化ビフェニル(PCB) | 0 | 3,300 | 0 | 4,600 | 0 | 0 |
メチルナフタレン | 32 | 0 | 26 | 0 | 31 | 0 |
(単位はキログラム)
大気汚染防止法への対応
国や県・市が定める規制基準および自主基準に基づき、VOC(揮発性有機化合物)や、NOx(窒素酸化物)の排出量を測定・報告しています。
NOx(窒素酸化物)は、窒素の酸化物(NO、NO2、N2O4、N2O3、N2Oなど)NO、の総称で、工場のボイラー燃焼や自動車の排気ガスなどから発生します。
VOC(Volatile Organic Compound)とは、揮発性を有し大気中でガス状となる有機化合物の総称です。VOCは主に、塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤などに使用されています。
※集計対象は、大阪府・兵庫県で排出された自動車の排気ガスです。

※集計対象物質は、PRTR法対象物質の内のエチルベンゼン、キシレン、ジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC-225)、スチレン、1,2,4-トリメチルベンゼン、トルエンの6項目です。

揮発性有機化合物などの管理

列車の車体や地上設備など、多くの場所で塗料を使用していますが、塗料の種類によっては環境に悪影響を与える可能性のある物質を含んでいます。
塗料の使用量を削減するために、ステンレスの車体を採用したり、橋梁・電柱などへの構造物へ塗装の必要がない耐侯性鋼材を使用したりしています。また油性塗料から水性塗料への転換を進めています。
オゾン層破壊物質の管理

現在、一部の車両や建物の空調機などに冷媒としてフロンガスを使用しています。そのうちCFC(クロロフルオロカーボン)とHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は、太陽が発する強力な紫外線から地球を保護しているオゾン層を破壊する物質として「オゾン層保護法」によって使用が規制されています。
これらの物質を、オゾン層に与える影響が少ない物質に転換するとともに、空調機のメンテナンスや廃棄の際には大気への放出を防止するために専用の回収器を使用し、オゾン層保護に努めています。
フロン排出抑制法への対応
地球温暖化への対策強化のため、フロン排出抑制法(改正フロン法)が2015年4月に施行され、冷媒としてフロン類を充填している業務用機器に対して、ライフサイクル(フロン類の製造〜使用〜廃棄まで)の各段階のすべての当事者による適正化を促す措置が法制化されました。本法により、定期点検や漏洩量の報告が義務付けられています。2021年度のフロン類算定漏洩量は約1,560t-CO2でした。
土壌汚染の措置
用地の売却や建設工事において、その土壌から土壌汚染対策法に定める基準値を超える特定有害物質が検出された場合は、定められた措置方法に基づき適切に処理を行っています。
排水の管理

車両のメンテナンスを担当する事業所では、車体洗浄などで発生した汚水を処理するために排水処理装置を設置しています。これら装置により、排水は法規制を順守した処理を行うとともに、装置の維持・管理に万全を期しています。
沿線環境への配慮

新幹線の騒音、振動、および在来線の新設・大規模改良時における騒音に対しては、基準や指針などが定められており、地上設備、車両の両面から対策を行っています。
新幹線においては、地上設備では、防音壁の設置やレールの削正[注釈1])、弾性まくらぎの敷設[注釈2]などを実施しています。また、車両では新幹線N700系において、車両の平滑化、低騒音パンタグラフの採用などを行い、環境との適合に配慮しています。

在来線においては、新設や大規模改良などの機会にあわせて、必要により防音壁の設置やロングレールの敷設とともに、車両のモーターファンの低騒音化、車輪フラット削正[注釈3]などを行っています。保守作業においては、作業時に作業空間を遮蔽する遮音板を装備したマルチプルタイタンパー[注釈4]を使用し、作業騒音の低減に努めています。
[注釈1]
レールの削正:列車が走ることでレールにできる凹凸を平らにすること。レールと車輪が走行中につねに密着するため騒音が低減します。
[注釈2]
弾性まくらぎ:コンクリートまくらぎの底面にゴムを貼り付けたもので、通過する列車の騒音・振動が低減します。
[注釈3]
車輪フラット削正:車輪に生じた偏摩耗を削って、もとの円に戻す作業のこと。
[注釈4]
マルチプルタイタンパー:線路の上下及び左右方向の狂いを修正し、バラストを締め固める大型機械。
地域・自然との共生