当社には、3,000名を超える女性社員が在籍しており、幅広いフィールドで活躍している。今回は、2度の育児休職を経て復職し、子育てをしながら、ときに車掌見習いの指導も行っている柴田 奈穂を紹介する。
柴田は現在、9歳と6歳になる子どもを育てながら、車掌として日々お客様の旅の案内を行っている。両立の秘訣について、柴田は「車掌は泊まり勤務が基本なので、夜に子どもを預けることができる環境が不可欠です。私の場合は、車掌復帰のことを考えて実家の近くに住居を構える選択をしました。子どもが熱を出しても親に見てもらえるよう工夫したことで、安心して乗務ができています」「加えて、一番身近な夫の協力がとても大事です。私の夫は料理、洗濯、掃除、子どもの世話などを率先してやってくれるのでとても助かっています」と語った。
一方で、周りの方々にぜひ理解してほしいことがあるという。「『復職する社員が全て同じ環境・条件ではない』ということです。私が上手くいっている条件をそのまま別の人に当てはめてみても、上手くいかないこともあります。職場の上司や同僚の方が、『それぞれの家庭に合った制度や取り組みの活用方法がある』ということを理解していただければ、復職する社員も安心して仕事ができると思います」。
順調に仕事と家庭を両立させているように見える柴田。しかし、最初の出産のタイミングで、会社を辞めようと考えていたのだという。「自分には育児をしながら仕事をする自信がありませんでした。先のことは、とりあえず辞めてから考えようと思っていました」。柴田を踏み留まらせたのは、ある上司の一言だった。「当時の上司に辞めたい旨を伝えたところ『辞めるのはいつでも簡単にできる。それならば、仕事と家庭を両立できるかトライしてからでも遅くないのではないか』と強い口調で説得していただきました。もしあの時あっさり『分かった』と言って退職を受理されていたら、今の私はありませんでした」。
上司の言葉を胸に、育児休職からの復職後は、通信研修や実務レベル認定試験の勉強にも励み、今では車掌見習いの指導役である「指導車掌」として3人の車掌を育てあげた。「指導車掌として、車掌見習いの気持ちを理解したうえで、その人に合った指導ができるように勉強中です。育児とともに覚えることはたくさんありますが、その分充実していてやりがいがあります。辞めなくて良かったと思います」。
柴田は言う。「会社の制度や取り組みはまだまだ課題も多く、復帰や泊まり勤務での業務が難しい方がいるのも事実です。しかし、以前と比べると育児休職者が復帰しやすい環境が少しずつですが整ってきています。これからは、活用する側の私たちも、会社の制度に自分から歩み寄り、復帰に向けた努力をしていかなければならないと思います。今後、会社の制度や取り組みの活用を考えている方は、その内容を知ったうえで、自分に合ったものを上手く活用し、できる範囲で無理せずに頑張ってほしいです」。
何でも相談できる係長の存在はとても心強い。
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近畿統括本部 京都支社 京都車掌区
武田 照幸区長
柴田車掌を一言で表現すると「強い芯を持った社員」です。育児をしながら、という非常に厳しい環境にもかかわらず、指導車掌として「自分の経験を後輩に伝える」という強い思いを持ち、車掌見習いに教える事柄を事前にしっかり勉強し、親身に指導しています。
また、小集団活動にも積極的に参加し、「京都列車区・鉄道部」の集まりでは中心的な役割を果たし、「車内ピカピカ運動」や「待避時のドア挟み防止」の取り組みの基礎を作り上げてくれました。
今後も持ち前の人間性を存分に発揮し、職場の良き相談役として、より一層の活躍を期待しています。