車両・ホーム・踏切の安全対策
車両の安全対策
さらなる安全性向上に向け、車体の強度向上や新たなシステムの導入を行っているほか、客室設備についても安全に配慮した形状や装置を採用しています。また、検査の充実や異常を検知する装置の設置等、車両の安全を確認する取り組みも実施しています。
【客室内の安全対策(在来線)】
【1】車内非常ボタン
緊急時にSOSボタンを押すと乗務員に異常を知らせることができます。
【2】吊り革、スタンションポール
吊り革をつかまりやすい形状とし、目立ちやすいオレンジ色を採用しています。また、2016年に投入した323系車両からは、荷棚と袖仕切りを接続する形で、スタンションポールを採用しています。
【3】ロングシート端部袖仕切りの大型化
事故発生時の被害軽減に有効であるとの見解が得られたことから、2010年に投入した521系2次車両から採用しています。
【4】戸挟み検知装置
ドアに傘等が挟まれた際、ドア先端部の圧力変動を検知し、乗務員に異常を知らせる機能を、2015年に投入した227系車両から搭載しています。
【車両構造・システムなどによる安全対策】
先頭車間転落防止ホロ
先頭車両同士を連結した箇所において、ホームからの転落を防ぐためのホロを設置しています。
ドア誤扱い防止装置
車両に設置しているセンサでホームを検知することにより、ホーム側のドアのみを開閉可能とするシステムの整備を進めています。
【新幹線車両の安全対策】
台車検査の充実
台車枠について、重点的に検査する箇所に対して目視点検を入念に行うとともに、フェーズドアレイ超音波探傷や、台車反転装置を活用することにより、さらなる検査の充実を図っています。
超音波探傷
目視検査
地上で台車の異常を検知するセンサの整備
地上で台車の温度を検知するセンサを設置しており、山陽新幹線ではおおむね100kmおきに走行中の台車の異常を検知する体制を整えています。
駅の安全対策
お客様に安心して駅をご利用いただくために、ハード、ソフト両面からホームの安全性向上に取り組んでいます。
ホーム柵
扉式の「可動式ホーム柵」と、異なる扉枚数の列車に対応できるロープ式の「昇降式ホーム柵」を整備しています。
可動式ホーム柵
昇降式ホーム柵
ホーム安全スクリーン
ホームからのお客様の転落をセンサにより検知し、自動的に乗務員や駅係員に異常を知らせるシステムを整備しています。
ホーム安全スクリーン
ホームと車両の隙間縮小
ホームと車両の隙間への転落を防ぐため、特に隙間が大きい箇所ではホーム縁端部の改良やくし状ゴムの整備を進めています。
ホームと車両の段差・隙間縮小
対象ドア位置の案内表示
車いすなどをご利用のお客さまがご利用しやすい環境整備として、ホームのかさ上げとくし状ゴムの整備を行うことで、ホームと車両の段差・隙間縮小を進めております。
大阪環状線の一部の駅・のりばで設置を進めております。
内方線付き点状ブロック
線状突起
ホームの線路から遠い側に線状突起を設けて、この線状突起がある方向がホームの内側であることを示す点字ブロックを整備しています。
CP(Color Psychology)ライン
ホーム端部を赤色で塗装して、視認性を向上させています。
ホーム非常ボタン
お客様がホームから転落された場合等の緊急時に備え、乗務員や駅係員に異常を知らせることができる「ホーム非常ボタン」を整備しています。
ホームベンチ設置方向の工夫
当社の安全研究所で分析した結果、お酒を召されたお客様の行動特性として、ベンチから立ち上がり、そのまま線路に向かってまっすぐ歩き出し、転落するケースが多いことが分かりました。そこで、ホームベンチを線路に対して垂直に設置する対策を実施しています。
【係員の取り組み】
お声かけ・見守り
配慮が必要なお客様に対するお声かけや見守りを実施しています。また、「見守りの目」を増やすため、グループ会社社員に「お声かけ」や「ホーム非常ボタンの取り扱い」等の教育を実施しています。
お身体の不自由な方やご高齢の方との勉強会
お身体の不自由な方やご高齢の方との勉強会を開催し、お声かけやご案内方法等について学んでいます。
列車出発時における乗務員の安全確認(在来線)
点字ブロックより列車の近くは、ホーム上でも特にリスクが高いエリアであるため、列車と点字ブロックとの間(アルファベットの「L」の形に見えることから「L空間」と呼んでいます)からお客様が離れていることを確認できるまで列車を出発させない取り組みを行っています。
ホーム上のL空間
踏切の安全対策
踏切での事故防止に向けて、さまざまな安全対策を推進しています。
【踏切廃止や格上げ等に向けた取り組み】
踏切の安全性向上に向けた抜本的な対策として、道路と鉄道の立体交差化や踏切の廃止、統合を進めています。また、廃止が困難な踏切についても、第3種踏切および第4種踏切の第1種踏切への格上げ、踏切道の拡幅や見通し改良、踏切内の異常を知らせる設備の充実等を図っています。
【踏切の安全設備】
全方向型警報灯
360度すべての方向から確認できる、見やすい警報灯を整備しています。
踏切非常ボタン
踏切内で車や人が立ち往生している場合等の緊急時に、非常ボタンを押していただくことで、列車の運転士に異常を知らせる装置を整備しています。
障害物検知装置
踏切内に取り残された自動車等の障害物を検知し、列車の運転士に異常を知らせる装置を整備しています。従来の光電式や検知性を高めた「3次元レーザーレーダー式」に加えて、新たに「平面LiDARセンサ式(※)」を開発し、設置を進めています。
※踏切の近くに設置した光測距(LiDAR)センサから照射したレーザー光の反射により踏切上の障害物を2層の面で連続的に検知します。
障害物検知装置のイメージ
踏切ゲート及び踏切ゲートLite(以下、踏切ゲート等)
遮断機や警報機が設置されていない第4種踏切での直前横断による事故を防ぐため、踏切を通行される方々に対して物理的に一旦停止をさせ、左右確認を促すための踏切ゲート等を開発し、設置を進めています。
踏切ゲート
踏切ゲートLite
特殊信号発光機の増設、大型化
特殊信号発光機
(左:大型、右:従来型)
踏切等における緊急時に列車の運転士に異常を知らせる特殊信号発光機について、運転士からの視認性を向上するために、設置位置の見直しや増設、大型化を進めています。
自動車が踏切に停滞していることを列車の運転士に音声で知らせる装置
- 「無線発報」装置
無線装置を介して、列車の運転士に特殊信号発光機が動作していることを音声で知らせる装置の導入を進めています。 - 「画像認識」装置
列車の先頭に設置したカメラ映像から特殊信号発光機の動作を識別して検知し、運転士に音声で知らせるシステムを開発しました。2020年1月から岡山エリアを走行す業列車において試験導入してきましたが、試験結果が良好であったため、2023年度から導入を進めています。
【踏切事故防止啓発(ソフト対策)】
踏切事故防止キャンペーン
踏切事故を防ぐためには、踏切をご利用される方々のご協力が欠かせません。そこで、踏切事故防止キャンペーンの機会を通じて、踏切に関するルールやマナーについてお伝えしています。また、啓発の際には社内のみならず、警察や行政、さらには他の鉄道事業者とも連携を行い、より効果的な啓発を実施しています。
高齢者を対象とした啓発活動
近年、高齢者による踏切事故率が増加していることを受け、高齢者を対象とした啓発活動を積極的に進めています。特に大阪府では、大阪府警察本部のご協力のもと、運転免許センターでの高齢者講習を受講する方々に対して、啓発チラシの配布や待合室での啓発動画の放映を実施しています。