主な研究テーマ
主な研究テーマ(完了テーマを含む)
- ○ミスの連鎖の発生メカニズムに関する基礎的研究
- ○鉄道業界におけるワーク・エンゲイジメントに関する研究
- ○作業終盤の失念エラーに重要性認知が及ぼす影響
- ○運転士等の眠気予防策に関する研究
- ○異常時の対処法に関する研究
- ○ヒューマンファクター教育の効果測定
- ○ヒューマンエラーに起因する鉄道事故の防止に関する一考察
- ○夜勤時の眠気に関する研究
- ○ホーム柵が運転士に与える心理的負担についての研究
- ○リスク感度向上に向けた研究
- ○役割や権限が与えられたときの対人行動の変化に関する研究
- ○発言しやすい職場環境の醸成に向けた研究
- ○加齢(高齢化)が鉄道係員の業務に与える影響に関する研究
- ○職場における適切なリーダーシップ行動に関する研究
- ○人と装置とのインターフェイスに関する研究
- ○列車運転時における警報音の適正な音量に関する研究
- ○旅客流動確認モニターの検証
- ○新型車両導入時の運転士の習得度の変化について
- ○227系運転台前面パネルの機器配置に関する研究
- ○検修作業における最適な照明に関する研究
- ○ホーム上の酔客対策の研究
- ○駅でのスマートフォン利用に関する調査
- ○鉄道トンネル火災事故における避難行動と救助活動
- ○踏切道における高齢ドライバーの行動特性
- ○心理的安全性が安全行動に与える影響に関する研究
- ○上司のマネジメント行動が心理的安全性に及ぼす影響
- ○会議や打ち合わせなどでの判断のバイアスに関する研究の整理
- ○鉄道現場における思い込み事例の分析と対策案の検討
あんけんVol.17〜研究成果レポート〜
![あんけん表紙イメージ](/safety/labs/img/report/thum_anken_vol17.jpg)
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心理的安全性が安全行動に与える影響に関する研究
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当社の使命は、将来にわたり安全な鉄道を実現していくことであり、そのためには社員一人ひとりが日々安全行動を積み重ねる必要があります。しかしそれを個人の注意力や努力のみに任せるのではなく、「組織全体で安全を確保する仕組み」を構築することが大切です。本研究は知見のまとめと調査結果の二部構成となっており、第2章、第3章ではそのような仕組みの構築に重要な要素の一つであると考えられている「心理的安全性」について、これまでにわかっていることをまとめました。第2章では一般的に得られている知見について述べました。また第3章では、当研究所内の過去の研究において「心理的安全性」と「安全行動」の関係を調べた結果について整理しています。第4章では、このテーマで今年度実施した「心理的安全性」「ワーク・エンゲイジメント」「安全行動」の関係を調べた調査について述べています。
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上司のマネジメント行動が心理的安全性に及ぼす影響
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心理的安全性とは、思ったことや懸念を気兼ねなく発言することができるようなチームの状態、雰囲気のことを指します。心理的安全性が高まることによって、チームの中で疑問や失敗経験などを共有しやすくなる、挑戦が促進される、などの効果があると言われています。当社でも、安全考動計画2027において、組織全体で安全を確保する仕組みの一つとして「心理的に安全なチーム作り」が掲げられています。本研究は、どうすれば心理的安全性を高めることができるのか、マネジメントの観点から明らかにすることを目的としています。そこでまず、マネジメントと心理的安全性に関する先行研究を概観しました。さらに、実際の職場において同じチームに所属する上司と部下にヒアリング調査を行い、心理的安全性を高めるための工夫や取り組みの事例を収集しました。
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加齢による認知・身体機能の変化が鉄道業務に与える影響について
―列車の運転業務に与える加齢の影響の検討― -
認知機能とは、外界の情報を知覚し、必要な情報に注意を向け、記憶したり、その場の状況や経験から推測や判断をしたりするような心の働きの総称であり、知覚、注意、記憶、言語、実行機能など様々な機能から構成されています。鉄道業務には、依然として人の注意力や判断力に頼る部分が多く存在しており、業務遂行において認知機能や身体機能は非常に重要な役割を担っているといえます。認知・身体機能は、加齢により多くが低下することが数多くの研究で報告されていますが、60歳から65歳までのシニア社員や70歳までのグランドシニア社員の採用が実施され、現場で活躍する60歳以上の高齢社員が増加している当社において、高齢社員が鉄道業務に従事するにあたり、認知・身体機能の変化を考慮した適性の把握や支援の必要性、注意点など十分考慮されているとは言えません。そこで、本研究では今後、運転士の一層の高齢化が予想される中、加齢による認知・身体機能の変化に関わる基礎的知見を得ることを目的とし、加齢により変化する認知・身体機能について調査しました。
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会議や打ち合わせなどでの判断のバイアスに関する研究の整理
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会議や打合せ等の小集団内では、相手に対する忖度などで、自身や集団の判断に見えない力学やその偏り(バイアス)の影響があると感じられることがあります。そこで会議や打ち合わせで生じる力学やその偏りについて幅広く文献調査し、既存研究を整理しました。本稿では既存研究から考えられる対策を中心にまとめています。あらかじめ会議に働くしくみや対策を理解しておくことで、より良い意思決定に繋げることを本テーマの目的としています。
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ミスの連鎖の発生に関する研究の体系化と課題の整理
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ミスが重なることにより、大きな事故にいたることがあります。これまで行ってきた一連の研究では、一つのミスが次のミスを引き起こす現象をミスの連鎖と呼び、これによる重大事故の防止を目指して、連鎖を引き起こす要因やメカニズムを明らかにすることを目的としてきました。本稿では、これらの大枠の連鎖の考え方や目的は変わらないものの、連鎖の概念を今一度検討しなおし、今後の課題について整理していくこととします。
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思い込みや経験による判断のバイアスが行動に及ぼす影響に関する知見の整理
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人は日常生活で大なり小なり様々な判断をしていますが、その際に思い出しやすい情報につられたり、経験則や直感に頼ってあまり深く考えずに済ませてしまう傾向があります。正しく判断できる時も多いのですが間違えてしまう時もあり、多くの人が共通して陥る間違いのことを「認知バイアス」と呼びます。鉄道業務においては、のぞみ34Aの新幹線重大インシデントの調査報告書の中で、「列車の走行に支障がないだろう」という心理が「正常性バイアス」や「確証バイアス」等の認知バイアスの現れである可能性が指摘されています。また、安全報告で「思い込み」と表現されるエラーとも関連があると考えられ、鉄道業務の様々な場面に影響を与える心理傾向であると言えます。この研究では、認知バイアスによるエラーを低減するための対策について、先行研究を調査して知見を収集し、整理しました。
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リスク感度向上に向けた研究
―「自分ゴト化」の効果に着目して― -
本研究では、「リスク情報を読む」という間接経験を通して、リスク感度の向上が可能かどうかについて検討しました。実験の結果、リスク情報を自分に置き換えて考える、つまり自分ゴト化して考える傾向の強い参加者は、リスク情報をもとにリスクについて学習し、それをリスクの発見に活かすことができていました。しかし、自分ゴト化して考える傾向が低い参加者に対しては、「単に自己に置き換えて考えるように促しただけでは、リスク情報からの学習を促すことが困難である」ということが示唆されました。
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過去の主な研究成果について
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2022年度まで
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2021年度まで
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2020年度まで
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2019年度まで
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2018年度まで
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2017年度まで
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平成28年度まで
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平成27年度まで
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平成26年度まで
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平成25年度まで
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平成24年度まで
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平成23年度まで
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平成22年度まで
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平成21年度まで
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平成20年度まで
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平成19年度まで
いずれも無断複製厳禁です。
教材の発行と社内外への配布
事例でわかるヒューマンファクター
安全研究所では、2007年3月に教材「事例でわかるヒューマンファクター」を発行し、2019年3月までに社内・社外に対し15万部あまりを配布してきました。この教材は、ヒューマンファクターとは何かをやさしい表現でわかりやすく解説しており、社内外のヒューマンファクター教育に活用されています。
一方、発行後10年以上が経過したことから、新たに正常性バイアス、確証バイアスの追加など内容の見直しを図るとともに、この間の研究活動等から得た知見や成果を盛り込み、「ヒューマンファクターの一層の理解・浸透に向け」改訂し、この度、「事例でわかるヒューマンファクター1【基本編】」(A4版89頁)として発行しました。
事例でわかるヒューマンファクター(初版)
![社内(全社員、グループ会社など)への配布は約54,800部、社外への配布は約99,400部(2019年3月まで)](/safety/labs/img/report/fig01.gif)
事例でわかるヒューマンファクター1【基本編】
![社内(全社員、グループ会社など)への配布は約37,600部、社外への配布は約8,300部(2024年3月現在)](/safety/labs/img/report/fig01_2.gif)
![事例でわかるヒューマンファクター 表紙・内容イメージ](/safety/labs/img/report/fig02.gif)
第1章では、ヒューマンファクターの基本的な考え方などを説明し、第2章では、「脳への情報がうまく伝わらなかった」とき第3章では、「判断をうまくできなかった」ときにそれぞれ生じるエラーについて紹介しています。
第4章では前章で紹介したヒューマンファクターを含め、エラーを防止するために、皆で取り組むべき対策や守るべきルール等、私たちをとりまくものについて説明しています。
事例でわかるヒューマンファクター2 リーダー編
2017年3月には『事例でわかるヒューマンファクター』の続編として、前書と同様に学界の知見等も参考にしつつ、現場第一線の管理監督層に知ってほしい事項を盛りこんだ教材を発行、現場第一線の社員およびグループ会社へ配付しました。
管理監督層として実践して欲しい事項(7項)を抽出し、前編より、ステップアップした内容ではありますが、身近な事象を例にあげ、イラストや図表を豊富に盛り込みわかりやすく解説しました。(A4版50頁)
この内容についても安全研究所が各支社に赴き、教材の活用法などについて出前講義を行っています。
事例でわかるヒューマンファクター2【リーダー編】
![社内(全社員、グループ会社など)への配布は約6,900部、社外への配布は約8,700部(2024年3月現在)](/safety/labs/img/report/fig01_3.gif)
![事例でわかるヒューマンファクター2 リーダー編 表紙・内容イメージ](/safety/labs/img/report/fig03.gif)
乗務員のための睡眠ハンドブック
2009年11月に運転士のための眠気防止ガイドラインを発行しました。安全研究所では、乗務員への眠気防止対策として、学界の知見を参考に、眠気防止に必要と考えられる、個人の「身体や睡眠のメカニズム」を知ってもらう研究をおこなってきました。
このガイドラインをベースに新たな知見や日常生活で留意すべき事項を追記・改訂する形で、2018年3月に「乗務員のための睡眠ハンドブック〜安全と健康のために〜」を発行しました。2021年3月に、よりわかりやすく正確な記述とするため、内容の一部を改変しています。(A4版53頁)
![](/safety/labs/img/report/fig04.gif)