このページの本文へ移動

匠への道

技術を受け継ぐ旗手たち(第2回)

後輩からの信頼も厚い、駅運転取扱いの「若きスペシャリスト」(近畿統括本部大阪支社 鳳駅 本橋 暁 係長)

近畿統括本部大阪支社 鳳駅 本橋 暁 係長

運転取扱いは指令で一括制御するCTC※1化が進む一方、工事や入換作業、異常時対応などでは引き続き駅での取り扱いが必要であり、その技術の維持・向上が求められている。今回の主役は、若くして駅運転業務で活躍している本橋 暁だ。

※1 列車集中制御装置(Centralized Traffic Control)のことで、信号や分岐器の連動装置を指令所などで遠隔制御するシステム。

本橋暁係長の経歴図

担当者へのサポートを欠かさない

現在、鳳駅における輸送業務の育成総括係長を務める本橋。運転資格者に対する教育のほか、工事や入換作業などへの立ち会い、異常時対応訓練の取りまとめなどを行っている。「鳳駅管区はCTC扱いのうえ、夜間工事や入換作業は数カ月に1回と、駅運転業務の頻度はそう多くありません。滅多にしない作業を行う際は、誰でも緊張するものです。そんな時に、担当者が自信を持って取り扱えるよう、常に立ち会ってサポートするように心掛けています。また貴重な技術継承の機会でもあります」。

親方※2の言葉を胸に駅業務へ

本橋が入社したのは平成11年。きっかけは阪神・淡路大震災の復旧に携わった社員の証言をまとめた本※3との出会いだ。「中学生の時にたまたま読んだのですが、お客様のために一刻も早く復旧させようという『鉄道魂』に感銘を受け、自分も鉄道マンになりたいと強く思いました」。

改札やホーム案内、車掌を経て運転士見習いとなった本橋だが、体質的に長時間の運転が困難であったため、再び駅の業務を担当することに。「もともと運転取扱者が被る『赤帽』に憧れがあったので、駅の業務を担当すること自体には前向きでしたが、親方に迷惑を掛けたのが唯一の心残りでした。でも、最後に親方から『駅でもしっかりと目標を立てて頑張って』と送り出してもらえたので、吹っ切れました」。

※2 指導操縦者のこと

※3 『よみがえれ!線路よ街よ ― 阪神・淡路大震災 JR西日本100人の証言』(平成8年6月 交通新聞社発行)

列車ダイヤを覚えたら駄目

親方からのエールにも後押しされ、がむしゃらに駅運転の技術を身に付けた本橋。いまやその実力は誰しもが認めるところだが、そこに至るまでには失敗も経験した。「先輩から、『ダイヤを覚えたら駄目だ』と、口を酸っぱくして言われていました。覚えてしまうと、『慣れ』から確認をおろそかにしてしまいがちだからです。でも、毎日やっていると『覚えて』しまうものです。そして、つい確認を怠り、『平日』と『休日』のダイヤを間違えたことがあります。すぐに気が付き、列車の遅れにはつながりませんでしたが、一歩間違えればお客様にご迷惑をお掛けするところでした。あらためて、『慣れ』の怖さ、しっかりと確認をすることの重要性を認識しました」。

駅運転技術の維持・向上にまい進

最近は、駅運転の技術を披露する「競技会」にも力を入れている本橋。「競技会は1年に1回開催されるので、駅運転技術を習得するための短期的目標としてうってつけです。駅の社員には、積極的に参加するように呼び掛けて、一緒になって練習しています」。その練習にも一工夫しているという。「彼らが質の高い練習を行えるように、転てつ機などの模型を作って本番に近い環境を再現しています」。

そんな本橋のバックアップもあり、鳳駅は「平成26年度 第19回駅運転実技競技会 本社大会」で団体の最優秀賞を獲得した。「駅全体で取り組んでいたので、結果が出て素直にうれしいです。これからも、駅運転技術の維持・向上に向けて、駅社員一丸となって頑張っていきたいと思います」。本橋の今後の活躍に注目したい。

  • お客様の問い合わせにお答えすることも。
  • 鳳駅管区で獲得した表彰状・トロフィー。左は平成26年度 第19回駅運転実技競技会の団体で最優秀賞受賞時のもの。

期待の一言

近畿統括本部大阪支社 鳳駅
赤木 智駅長

※平成27年6月30日付で退職

鳳駅の運転育成総括係長として約2年。ベテランと若手が混在する中で、現状の問題点の解決や技術継承に積極的に取り組み、成果を出しています。

また、平成25年9月に導入した阪和線運行管理システムの定着や、鳳駅折り返し運転に伴う関係箇所との調整、地元「だんじり祭」対応など、安全・安定輸送の確保の面では常に中心となって職責を全うしています。

人材育成面でも、毎年秋に実施される駅運転実技競技会で支社大会3連覇、本社大会で最優秀賞に導いた功績は大です。

今後のさらなる活躍を期待しています。

バックナンバー検索

カテゴリー

ローカルナビゲーションをとばしてフッターへ

鉄道事業
(安全の取り組み)