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輝く匠

安全・安心を支える技術(第49回)

岡山電車区 岡本 光浩 技術主任

安全で快適な車両をお客様にお届けし続けるべく、検修業務と若手社員への技術継承を担う
1981年に国鉄に入社し、1994年から3年間の出向(当時の西日本キヨスク株式会社を除くと、車両一筋のプロフェッショナル。
2016年、技術主任となり現在に至る。
 

岡山駅と北長瀬駅間に位置する岡山電車区は主に車両の仕業検査と交番検査を担う。今回の匠である岡本は、同区で技術主任として自身も車両の検査や工事に携わりながら、同僚のフォローと若手社員の育成に励んでいる。

自分にやらせてください

1981年3月に高校を卒業し、当時の国鉄に入社した。学生時代に車両に関する勉強をしてきたわけではなく、初めは思うようにいかないこともあったが、早く自分も先輩のようになりたいと、「自分にやらせてください」と積極的に声を上げ、技術を身に付けていった。

車両の仕事一筋で14年経った頃、他の役割も経験してみたいと思い、自ら希望して西日本キヨスク株式会社に出向することとなった。仕事は岡山駅のキヨスク(当時の売店)での販売員。直にお客様と接するのもお金を扱うのも初めてで苦労もしたが、チャレンジの連続で充実した日々を過ごした。キヨスクでは3年間勤務し、その後再び車両の職場に戻ることとなり、人事交流の一環で当時の神戸支社鷹取工場に配属となった。同じ車両の仕事ではあるが、これまでは短い時間で数多くの装置の状態や作用、機能を確認する検査を担っていたのに対し、鷹取工場では装置を取り外して細部まで入念に検査を行うため、より専門的な知識と技術が求められた。1年を経て、再び元の職場に戻ることとなったが、鷹取工場で身に付けた道具の使い方や作業の仕方などの知識・技術を同僚にも伝え、職場全体のレベルアップにつなげていった。

諦めずに前を向いて行動することで道は拓ける

2016年に技術主任となり、現在は不具合車両の調査・修繕や車両故障防止に向けた特別修繕工事などを行う機動班の班長として業務にあたっている。大切にしているのは「班員が意欲を持って今日も仕事を頑張ろう!と前向きに思える環境づくり」だ。機動班はより臨機応変な動きが求められる。限られた時間の中で成果を出し、かつ若手社員の成長にもつなげるため、班員一人ひとりの力や特性を考えながら役割分担することを大切にしている。

そんな中で2017年1月24日、伯備線豪渓駅構内で列車が脱線する事故が発生した。車体と台車のずれを直すべくさまざまな方法を試すも、駅ホームでの復旧作業で重機が入らず難航した。22時ごろから始まった作業は6時間を超え、作業員の心身の疲労はピークに達していた。しかし始発列車の時間までに復旧しないとお客様への影響が増大してしまうため、応援で来てくれていた網干総合車両所社員と共に知恵を振り絞った。最終的にそれまでと視点を変えた方法を試みた結果、ずれを直すことに成功した。気づけば始発列車ぎりぎりの時間、朝になっていた。「諦めずに前を向いて行動していれば、閉ざされていた扉は開くのだと実感した経験でした。また固定観念にとらわれず、柔軟に考えることの大切さを学びました」。

ベテラン社員から若手社員に歩み寄っていきたい

さまざまな経験を経て車両の知識や技術を身に付けた匠だが、過去には失敗した経験もある。30代の頃、先輩とペアで作業にあたっていた際、確認会話不足から架線の停電を発生させ車両所内の多くの人に迷惑をかけたことは、今でも記憶に鮮明に残っている。若手社員が同じような失敗をすることのないよう、自身の苦い経験と、確認会話を徹底することの大切さを伝えるようにしている。

最後に、若手社員への技術継承についての考えを聞いた。「今の若手社員は優秀で真面目な社員が多く、言われなくてもよく勉強しますし、知識面での心配はあまりしていません。特にデジタル関係の知識などは、ベテラン社員をしのぐ点が多々あると思っています。ただ、一つひとつの作業の勘所については、実作業の中で経験していかなければ身に付かないことも多いので、その点については私を含めベテラン社員が進んで若手社員に伝えていかなくてはならないと考えています。ベテラン社員と話すこと自体に緊張してしまう若手社員もいますので、もっともっとベテラン社員から若手社員に話をして技術を継承していける雰囲気を作っていきたいと考えています」。

匠の影響を受けた言葉「フラット」

私は、フラットな考え方や見方ができる人間でありたいと思っています。上司や後輩のみならず、グループ会社、協力会社の方などとコミュニケーションをとるときも、壁を作らないよう、上からでも下からでもなくフラットに人間関係を築き上げていく(もちろん礼儀は大切にした上で)ことを心がけています。仕事に向き合う際も、必要以上に熱くなり過ぎず、かといって冷めることもなく前向きに取り組み、ムラのない心のテンションを保つことが、本質を見失ったりミスをしたりしてしまうことを防ぐことにつながると思います。人も機械も、偏見を持たないことで見えてくる新たなものがあるかもしれません。実践することは大変難しいことだと思うのですが、今後も「フラット」に生きていけたらと思っています。

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