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輝く匠

安全・安心を支える技術(第20回)

ダイヤの知識を駅で生かす(近畿統括本部 京都支社 米原駅管区 松田 圭司 副駅長)

近畿統括本部 京都支社 米原駅管区 松田 圭司 副駅長

匠プロフィール
昭和55年国鉄入社。出身地近くの厚狭機関区で機関助士を担当後、三次運転区での気動車運転士を経て、昭和61年に京都電車区へ。電車運転士を経験した後、指導担当となる。平成2年に運行管理部(現 近畿統括本部 大阪総合指令所)に異動後、約11年間、近畿エリアの運行管理を担う。その後、京都電車区で再び乗務員指導を担当した後、平成15年京都支社運輸課(現 近畿統括本部 輸送課)へ。以来、約10年間主に基本計画を担当し、JR京都線、嵯峨野線、琵琶湖線などのダイヤ作成とダイヤ改正に向けた調整などに従事。平成25年より現職。平成22年度優秀社員表彰受賞。
 

今年もダイヤ改正が近づいてきた。ダイヤは、列車運行はもちろん設備の保守など、鉄道のあらゆる現場に不可欠な、いわばバイブル。そのダイヤの作成とそれに基づく運行管理に携わってきたのが米原駅副駅長の松田だ。

検証を通じて改善につなげる

元々運転士だった松田、ダイヤに関わったのは指令が最初だった。「運転士の時から指令はすごいと思っていました。何千本もの列車の運行状況を常に把握し、トラブルがあれば即座に対応する。先輩方は、待ちの姿勢ではなく、先を読んで少しでも前広に手配を考え実行していました。私もそうありたいと思い、日々勉強しました」。

松田が特にこだわっていたのは、現場とともに指令手配を検証することだ。「駅や乗務員などとの連携が不可欠です。例えば、輸送障害時に行った列車の順序や運用変更の手配を振り返る際には、必ず重要な手配を行った現場に出向き、それに携わった人と実際に会って話をします。厳しい意見もありますが、うまくできた時は感謝されますし、達成感があります。この積み重ねで自分の仕事の質を向上させることができましたし、その後のダイヤ作成業務にも生かすことができました」。

ダイヤは系統間連携の産物

その後、京都支社で輸送計画担当となって早々に、半年後のダイヤ改正の作業を任せられた。「右も左も分からない中の作業で大変でした。ただ、作ったダイヤを世に出すためには、多くの作業と調整があることを実感しました」。「ダイヤ改正は車両・乗務員の運用担当、時刻表制作などの営業担当、時には工事担当など、指令の時以上に多くの系統の人たちと一体となって行うものです。鉄道は一人だけでは動かせないとあらためて実感しましたね」。松田は約10年間にわたり京阪神エリアのダイヤ作成に携わった。

「ダイヤそれぞれに思い出があります。例えば嵯峨野線の複線化に伴うダイヤ改正の時は、地元の期待が非常に高く、切り替え工事のタイミングの調整や地域の方へのダイヤの説明に苦慮しました。工事担当や設備担当と連携して、切り換え時期の調整や、地域の声から必要な設備の設置を行い、なんとか改正にこぎつけました。ダイヤが地元と密接に関わっていることをあらためて実感しました」。

ダイヤの知識はCSにも生きる

現在、松田は駅の運営にあたる傍ら、ダイヤの仕組みを若手社員に伝えることにこだわっている。「米原駅は信号を駅で制御しています。また北陸線と東海道線の分岐駅、新幹線と在来線の接続駅でもあることから、乗り換えのお客様が非常に多い駅です。輸送障害が発生すると、駅でも運転整理の手配や多くのお客様からの問い合わせ対応が必要です。ダイヤが読めれば、どの列車にご案内すればよいかをすぐに判断できます。また、列車が何分遅れならば折り返しの運転計画はこうなるだろうなど、駅がダイヤを見て指令の手配を読み、順序や運用の変更手配、お客様へのご案内の準備ができ、いざという時に迅速に対応できます」。

今後はダイヤが読める社員を増やしていきたいと語る松田。「難しいものではないことを伝えたいですね。駅でも他の系統でも役に立つ道具であると。そこを出発点にダイヤ作成の道へ進む若手社員が少しでも増えればうれしいですし、それがダイヤ作成の技術継承につながると思います。それと、人とのつながりの大切さです。私自身、ダイヤ作成の時に携わった人々には、支社や系統、会社をも超えて今でも助けられています。どの仕事にも言えることですが、最後は人とのつながりだと若手社員には伝えていきたいですね」。

  • 輸送本部にて。異常時には連携して影響を最小限に抑える。
  • ダイヤにスジを引き、次の手配を読む。
  • 後輩からも話し掛けやすいように、笑顔を絶やさない。

未来の匠

北野 太祐

松田副駅長は勉強会などで分かりやすくダイヤや輸送手配の仕組みを教えてくださいます。また、非常に話しやすく、公私にわたってお世話になっています。私は駅輸送の業務で列車の順序変更などの手配を担当していますが、副駅長からの指導で、運転報の仕組みや輸送の成り立ちまで、今までよく分からなかった部分が理解でき、大変役立っています。今後は、副駅長から教えてもらったことを生かし、自分はもちろん後輩たちに指導できるように頑張っていきます。

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