このページの本文へ移動

輝く匠

安全・安心を支える技術(第1回)

未来を担う車掌たちのために今できること(広島支社 徳山地域鉄道部 徳山乗務員センター 吉本 泰昌 専門主任車掌)

広島支社 徳山地域鉄道部 徳山乗務員センター 吉本 泰昌 専門主任車掌

匠プロフィール
昭和53年、日本国有鉄道入社。
広島車掌区での列車掛などを経て、車掌職となる。天王寺車掌区での乗務経験なども有し、豊富な経験と実績は右に出るものがいない。平成22年からは専門職(専門主任車掌)となり、後進の育成に全力を注ぐ。
  • 専門職制度とは…平成20年に導入された専門技術職のことで、専門的で高度な技術力を有し、実務に従事しながら専門的で高度な指導を行うことができる社員が任じられる。

憧れを現実に、そして専門主任車掌として後進の育成を

徳山駅の南側には青々とした海とコンビナートが広がり、北側の街はにぎわいを見せる。この地で車掌を天職とし日々情熱を注ぐ一人の男がいる。広島支社で初めて専門主任車掌に就任した吉本だ。

吉本は車掌歴30年を超えるベテランである。そのきっかけは幼少時に祖母に背負われ電車を見に行ったときの憧れにさかのぼる。その夢を現実のものとした吉本に車掌の魅力を尋ねると、「さまざまなお客様と出会えることだ」との答えが返ってきた。いつしか先輩となり、車掌の魅力を伝えながら12名の後進を育成し、充実した日々を過ごしていた吉本に転機は突然訪れた。より多くの優秀な車掌を育て、経験や技術・技能を伝えていきたい──そんな思いを強めていた吉本に専門職制度創設の報が舞い込んだのだ。吉本が指導者として新たなスタートを決意した瞬間であった。

指導者として

吉本が若手社員に常に語っていることがある。異常時には、「まず落ち着くこと」の大切さだ。あらゆる仕事に通じるが、車掌においても冷静に物事を判断することが、結果的に安全かつ迅速に対応できる秘訣である。しかし、理屈で分かっても経験に乏しいと冷静さを保つのは難しい。例えば、定期行路で併結作業を経験することが少なくなった今、異常時にいざ実践するとなると戸惑う社員が多い。そこで吉本は区所の訓練に併結作業を組み込むように進言し、実現した。何よりも自信と落ち着いて行動するという心構えこそが重要であり、それを実践で生かすには訓練などを通じて経験を積むことが大切であるという吉本の信念が形となった。

経験不足はマニュアルで補う

徳山乗務員センターの車掌の多くは20代だ。彼らには残念ながら経験が少ない。吉本は経験不足を補い、自信を持って乗務できるようにすることも専門主任車掌の責務だと感じている。乗務する線区や車両に応じた知識・技能を整理した吉本独自のマニュアルは、今では指導車掌のチェックリストとしても活用されている。車掌として必要だと考えること、指導車掌に求められることは何かを知り尽くした吉本が自ら作成したこれらのマニュアルは、今や徳山乗務員センターのスタンダードとなりつつある。

車掌の匠として

職場の若手車掌は悩みや迷いがあると吉本を頼る。それは豊富な知識や経験に基づく、あらゆる問いに対する答えがあるからだ。吉本の匠たるゆえんはここにある。

吉本はこれからも多くの優秀な車掌を育て、全体のレベルアップを図りたいと熱く語る。彼のDNAを引き継ぎ、お客様との出会いを喜びと感じ、「ありがとう」と言っていただける車掌が増えた時、幼い時から吉本が描いた夢が叶う。

  • 車内でのご案内は迅速・的確に行い、笑顔の接客で安心感をお届けしている。
  • 放送技術や効果的なご案内について現地で直接指導する。
  • 乗務前にコミュニケーションをとることも専門主任車掌としての重要な役割だ。

未来の匠

藤 麻衣子車掌

現 岩国運転区 運転士

車掌として安全に、かつ快適にお客様をお運びすることを第一に日々勉強を重ねています。一人ひとりの社員の力は小さくても、それぞれが連携し、最高の仕事を行うことで点が線となり、お客様に感動を与えることができると信じています。これからも吉本専門主任車掌から学んだ技術・技能を生かし、列車という舞台を通じてお客様の旅の感動をプロデュースできるように努力していきます。

バックナンバー検索

カテゴリー

ローカルナビゲーションをとばしてフッターへ

鉄道事業
(安全の取り組み)