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輝く匠

安全・安心を支える技術(第42回)

後藤総合車両所 車両検修センター 佐々木 祐二 技術主任

1974年2月に臨時雇用員として国鉄に採用され、乃木駅、松江駅、鳥取車掌区、米子機関区出雲支区を経て、同区で正式に職員として採用される。約9年間、気動車の検修に携わり、その後米子機械区に異動となる。さまざまな経験をする中で車両検修業務にやりがいを感じ、1992年より後藤車両所(現:後藤総合車両所)配属となり、現在に至る。
 

鳥取県米子市にある後藤総合車両所では、JR西日本管内を走る全ての気動車のエンジン、変速機の検査を担っている。佐々木祐二 技術主任はそこで30年以上にわたり気動車の検修を担当しており、誰からも頼られる存在だ。過去に駅、車掌、機械の経験を持つ佐々木は、多彩な経験と失敗を隠すことなく伝え、次の匠を育てている。

上司の右手の傷跡から学ぶ

最初の配属は駅で、その後車掌区へと異動。駅ではお客様とのコミュニケーションを、車掌区では線区名や駅名など国鉄で働く上で大切な知識を学んだ。

その後米子機関区(国鉄当時)に異動となり、車両検修の人生が始まった。ある日変速機の部品交換の作業を行っていたところ、上司の右手に大きな傷跡があることに気が付いた。

気にしつつも作業を続けていたところ、その様子を見た上司が「なぜこうなったか知りたいか?」と一言。思わず「はい」と答えると、「今のお前と同じ作業をしていた時、こんな風に挟まれたからだ。油断せずに作業するように」と忠告を受けた。「話を聞いてからは、これでもかというほど注意深く作業するようになりました。上司が自らの経験を包み隠さず伝えてくれたおかげです。もし自分に後輩ができたら、失敗や経験は隠さずに伝えようと思いました」。自らの経験を伝えるという佐々木の指導方法の型は、この時に形作られた。

いつの間にか自分が上司に

その後、米子機械区で働くが、油にまみれて作業する楽しさが忘れられず、再び車両検修の道へ。以後、現在に至るまで車両検修、特に変速機の検修に携わる。

今でこそ匠と呼ばれる佐々木だが、もちろん失敗も経験している。過去にベアリングの修理をしていた際、「これくらいの音ならば大丈夫だろう」と送り出した車両が故障を起こした。それからは、思い込みで判断するのではなく、分からなければ臆せずに先輩に聞くようになった。もちろん、十分な知識を得るため、勉強も怠らなかった。

そんな中、頼りにしていた上司が退職し、自分が最年長になる時がきた。「いずれはこうなると分かっていたことですが、いざ先輩がいなくなると不安は凄まじかったです。同時に当事者意識が強くなり、それまで以上に仕事に打ち込むようになりました。40歳くらいでしたでしょうか」。今では佐々木の経験、感覚を頼ってさまざまな相談が寄せられる。部品を見ただけでどこを走るどの車両の部品かを把握し、音、油の臭いで部品の良し悪しを判断できるその力は、先輩がいなくなり、自分がやらねばという意識が養ったのだ。「必死に学ぼうとすると、不思議と頭と体に知識や技がしみ込んでくる感覚がありました。積極性というのは本当に大事だと思います」。

※車輪の軸受け

失敗は隠すな!

現在、佐々木は指導者として多くの若手の育成に注力する。最近では3年かけて1人を育成する、次期リーダークラスの若手社員に対する変速機検修の専門教育にも携わっており、これまでに2名の愛弟子を育てた。指導のポイントは、失敗談を伝えること、失敗した現物を見せて、そうならないように対策を伝えること。「上司からの受け売りですが、効果があると思っています。失敗談を聞かされると、『こんな失敗もするのか』と親近感が湧き、少しは話しやすくなるのでは、という思いからです」と、若手に寄り添った指導方法がモットーだ。

そうした中で、佐々木が若手に歯がゆさを感じる場面もあるという。「指示待ち人間が多いような印象があります。自分の血肉にしようとするなら、自分で勉強するのが一番だと思います。ベテラン社員は素晴らしい技術と知恵を持っていますから、積極的にベテラン社員を使って、技術、技能を高めていってほしいです。「会社に残れる時間も長くありませんが、精いっぱい自分の知識と技術を後輩に伝えていきます」。佐々木を安心させるには、貪欲に知識、技術を吸収して一回りも二回りも成長した姿を見せるしかない。

車両系統以外で印象に残っている思い出はありますか。

米子機械区で働いていた時、 100tの大型クレーンを用いて米子駅のこ線橋撤去工事の現場責任者を任されました。夜間作業だった上、駅のホームが狭くさらに架線をまたいでの作業と要注意箇所だらけで、胃が痛くなるような工事でした。そんな中作業を安全に進めるために、スケジュール策定から部材をどこに置くのかといった細かいところまで綿密な打ち合わせを重ねるグループ会社の皆さんの姿を見て、チームワークの大切さを知りました。どんな工事や作業でも、チームワークが取れていないと安全、安心、正確な作業はできない、と身をもって感じました。

どのような思いで若手に接していますか。

「この子は、ずっとここで働く人だ」と思って接しています。異動はつきものなので、実際はいついなくなってしまうか分かりませんが、一緒にいる間は親身になって育てています。うちの職場のベテラン社員も、同じように思いを持っているように見えます。これからも職場全体で車両のスペシャリストを育てていきます。

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