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輝く匠

安全・安心を支える技術(第36回)

下関総合車両所 車両検修センター 秋山 容一 技術主任

昭和50年国鉄入社。昭和52年10月より幡生工場(現 下関総合車両所)で整備係として配属され、旋盤などの各種工作機械の取り扱いや部品の製作などに従事。自動車メーカーへの出向中、技能検定に打ち込むなど積極的に技能向上に取り組む企業風土に刺激を受け、さらに腕を磨いていく。現在も工作機械での部品製作などに携わるかたわら、若手社員への技術継承に精力的に取り組んでいる。
 

「秋山さんは職場に出ると顔つきが変わります」。「温厚」という言葉がぴったりと当てはまる秋山だが、ひとたび工具を持てば、その顔は職人へと変貌する。普段は愛用の工具を手に車両部品を作り、車両故障などの不具合が起これば、その対応もこなす。真剣なまなざしと寸分の狂いなく作業する姿には、ついつい見入ってしまう。「お客様に安全で乗り心地の良い車両を提供する」というこだわりが、秋山を自然とそうさせるのだろう。今回は、部品から安全を支える車両の匠を追った。

「精度の秋山」と呼ばれるまで

国鉄入社後に車両所に配属されて以来、工作機械の取り扱いと車両部品の製作・修繕に長く従事。当時から仕事には非常に熱心で、「四六時中仕事のことを考えていました」と振り返る。自分の仕事に合う道具はないかと、機械や工具の展示会には今でも欠かさず足を運ぶ。

長年培った秋山の知識を求め、部下、上司、さらには他社からも頼られる秋山だが、入社当時は技術の習得に苦労したという。最初に配属された部署は退職を間近に控えた先輩が多く、技術の習得が急務だった。必死で仕事を覚えようと先輩を追いかける日々の中、寸法を測るのに必要な測定器を粗末に扱ってしまい怒鳴られ、パートナーとも呼べる工具の大切さに気付かされたこともあった。その秋山を語る上で不可欠な言葉が「精度」である。精度が求められる部品作りや数値の測定では、秋山に全幅の信頼が寄せられる。

秋山は「自身の原点になった」というエピソードを語る。軸箱の修正加工を指示されたが、当時の秋山には経験がない。時間をかけ悩みながら作業の段取りを進めたが、先輩から「この方法ではひずみが出るじゃないか」と一喝され、一から指導を受けた。準備作業をこなすことに傾注するあまり、精度にまで気が回らなかったのだ。この反省をもとに、ひずみが金属加工に与える影響やひずみを発生させない方法など、精密な加工について考え追求するようになった。

日々の業務をまっとうしてこその信頼

先輩が退職されて数年後、難題が立ちはだかった。業者も断ったという前例のない部品加工が秋山に課せられたのだ。若い頃に助けてくれた先輩はいない。それでも、悪戦苦闘しながら何とか加工をやり遂げた。「事前の段取りやイメージを練り精度を高めるといった、注意すべき点をしっかりと先輩方から教わっていたおかげです。あらためて感謝すると同時に、突発の事象に対応できたことが自信につながりました」と謙虚に語った秋山だが、教えを吸収する素直さ、ひたむきに努力を続ける実直さがあったからこそやり遂げられたのだろう。数十年後、SLやまぐち号が不具合を起こし急きょ対応にあたった時にも、この経験は大いに生かされ、限られた時間の中で入念に準備しわずか1日でやり遂げた。それ以降SLに関する仕事にも関わるようになったという。

突発的なことにも対処できる秋山だが、日々の整備にこそ秋山の真価がある。他人が気付かないわずかな異常も見逃さない。気を付けていることは、「車両は生き物だと思う」こと。車両は摩耗や腐食によって微妙に変化する。その変化を把握し、臨機応変な対応をすることが大切だと語る。こうした実直な姿勢と仕事ぶりが、秋山への厚い信頼につながっている。

魂を次世代へ

今秋山は、自身が先輩から受け継いだ技術と心意気を、若手に懸命に伝えようとしている。自分が教わったように、ときには一歩引いて見守り失敗に気付かせ、ときには同じ目線で作業をして足りない視点を助言する。そんな秋山の指導に若手も応え、職場では24年ぶりとなる普通旋盤2級の国家資格合格者を生んだ。

秋山は私たちに呼び掛ける。「車両、部品に対してお客様への気持ちがないと、いい仕事はできません。同じように見える作業でも、一つひとつは微妙に違っています。その違いを見極める力をつけ、こだわりを持って仕事に取り組んでほしいですね」。素直さと実直さに支えられた熱い思いが、今日も車両を守る。

  • 加工に使用する工具の磨き方を指導する秋山。工具の手入れにも余念がない。
  • 真剣なまなざしは、他人では気付けないようなちょっとした異常も見逃さない。

未来の匠

岩谷 浩紀

秋山主任は、高い技術力と温かい人柄から、年齢、職場を問わず信頼が非常に厚い方です。技術継承や業研のサポートなど若手の指導にも積極的です。何より素晴らしいのは、相談ごとには必ず耳を傾け親身になって助言をしてくださるところです。
よく「この仕事は秋山さんに」と相談してくる方がいます。そう言われる秋山主任を尊敬すると同時に、それだけ立派な方と働いていることにプレッシャーを感じることもあります。私も秋山主任のDNAを受け継ぎ、技術者としても人としても立派になりたいと思います。

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