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経営企画部長 保井隆宏さん - 1998年にJR西日本に入社。2021年に本社から広島支社に人事課長として着任。2023年6月から広島駅ビルプロジェクト課長に異動し、2024年10月から部長に就任。広島駅ビルプロジェクト全体調整を担当。
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経営企画部主査 齋藤賢太郎さん - 2007年にJR西日本に入社後、駅の係員や車掌、駅業務部駅設備担当などを経て2023年6月から広島駅ビルプロジェクトに参加。関係各社との調整など全体総括を担当している。
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経営企画部担当 箱田晃平さん - 2011年にJR西日本に入社後、駅の係員や車掌、運転士を経てベンチャー企業に出向。2023年8月から広島駅ビルプロジェクトに参加し、機運醸成を目的としたイベント企画や広報業務を担当している。
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経営企画部担当 大下優芽さん - 2019年にJR西日本に入社後、建物の施設管理業務に従事。2024年6月から広島駅ビルプロジェクトに参加し、広報業務や開業準備業務を担当している。
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目次
数十年に一度のビッグプロジェクトに大きな期待

まずは広島駅ビルプロジェクトチームに入るまでの業務について簡単に教えてください。
保井:JR西日本に入社以来、人事系の仕事が長く、2021年7月に広島に来てからも人事課長を2年ほど務めていました。2023年6月に広島駅ビルプロジェクトチームが発足したのと同時にこの部署の課長となり、昨年の10月から駅ビルの課長を兼務しながら部長を務めています。
齋藤:最初は関西地区の駅に配属され、広島に異動になってからは車掌を4年半、その後、広島の駅部門で駅の設備や改良工事などの業務を行い、呉駅でも勤務していました。2023年6月、保井部長と同時に広島駅ビルプロジェクトメンバーになりました。
箱田:博多駅で駅の係員をした後、広島で車掌を約3年、運転士を4年弱ほど務めました。その後、JR西日本のポスト公募という制度を利用してベンチャー企業に出向し、2023年8月から広島駅ビルプロジェクトチームに異動になりました。
大下:2019年に入社後、駅などの設備管理や保守管理を行う建築区という部署にいて、2024年6月に広島駅ビルプロジェクトチームに加わりました。
広島駅ビルプロジェクトチームに入ると分かったときのお気持ちは?
保井:人事課長は社員の人事に携わることが多いのですが、まさか自分が駅ビルの仕事に異動になるとは思っていませんでした(笑)。これまで人事や総務の仕事が多かったので、最初は大丈夫かなと思いましたが、広島地区で何十年に一度のプロジェクトに関われるのはありがたいですし、楽しくやりきりたいと思いました。
齋藤:異動というと、これまでの仕事に関係する部署に行くことが多いのですが、新たなチームが発足し、前例がない部署に行くというのは滅多にないことなので不安もありました。でも僕は何ができるのかなという楽しみの方が大きかったですね。保井部長と何をしていくのか計画を立てて進めていく作業は、結構ワクワクしていました。
箱田:出向先(大阪)にいたときに「広島駅ビルプロジェクトチームに異動です」と連絡が来て、「なんだそのかっこいいプロジェクトは!」と驚きました。最も旬なところにアサインされるということで、齋藤さんと同じく期待がすごく大きかったです。
大下:ずっと現場にいたので、今回のような部署に行くとは思っておらず驚きが大きかったです。
これまで携わってきた業務がこのプロジェクトに活かせると思ったものは?
大下:図面や工程表が読めるということですかね。どの時期に何がされているか建物を建てる流れが分かるので、広告用の撮影をこの時期に撮ったら絵になるかなとか、この場所がいいかなとか考える際に役立ちました。
箱田:駅の係員、車掌、運転士、ベンチャー企業でセールスをしてきて、これが活かせるという具体的なものはありませんが、失敗してもまたそこから修正すればいいと前向きになれるのはベンチャー企業にいた経験があるからこそかもしれません。
齋藤:以前から保井部長を知っていましたし、箱田さんは運輸系統の部署に業務体験(他部署を知るための体験コース)に来たことがあり、大下さんは駅設備業務をしていたころから知っていました。業務上、いろいろな部署の方と業務をすることが多かったので、その繋がりを持って業務を進められるというのは、これまでの経験が活かされたことだと思います。
保井:本社でも広島でも人事関係の業務をしていたので、これまでも多くの人と関わりがありました。私自身は調整をする仕事が多いのですが、何かトラブルがあったり、困りごとがあったときに相談するには、他の部署の人のことを知っているのと知らないのとでは大きく違います。周りには知っている方やお世話になった方も多かったので、事業を進めるときに協力してくれますし、中国統括本部は人数が少ないのでみんなが助け合うという風土があり、これまで培った人脈が役に立っています。
関係各社との良好な関係を築き、ユニークな広報活動も実践

皆さんそれぞれどのような業務を担当されていますか。
保井:駅ビルを建てるのはゼネコンさん、SCを運営するのは中国SC開発さん、ホテルはグランヴィア広島さん、という専門家がいて、それぞれは別に我々がいなくても個々で事業を進められるわけです。とはいえ何かトラブルが発生することもありますし、全体で同じ方向に向かって何かを決める、進める必要があるときには、誰かが動かなければいけないことになり、そういった調整する立場の人も必要なので、私たちが黒子となって調整役を務めています。
齋藤:全体の予算管理や部内調整などさまざまな業務を行っています。今しかできないこのプロジェクトの勢いをどう展開すべきか常に考え、プロジェクトチーム発足時から部外に行って繋がりをつくり、関東エリアの鉄道会社のイベントに参加したりしました。そのような広報活動のほか、途中で出てきた課題について部内はもちろん関係する方の協力を得ながらクリアしていくことを主な業務としています。
大下さんが来た後は、箱田さんと大下さんに広報関係を任せていますが、2人ともうまい具合に進めてくれています。
大下:でも齋藤さんもメディア担当として発信されていますよね。
齋藤:鉄道模型会社が発売する商品を紹介する動画チャンネルがあるんですけど、「鉄道会社の社員に商品説明をしてほしい」と依頼があり、今年8月に発売予定の鉄道模型について話しています。
(動画の一部を見て)JRと広島電鉄がラッピングコラボした鉄道模型ですね?!
齋藤:そうです、私が担当したラッピングコラボです。実際の鉄道のラッピングコラボを行い、それを模型化できて、やりたいことが全部できて満足です(笑)。
箱田:僕の役割は社内外の機運醸成というのが一番大きいところになると思います。その中で最初に保井部長からJR西日本のサイト内にあるプロジェクトページをもっと良くできないかと言われ、改善に取り掛かりました。そんなときある会社のホームページで、どんな思いで仕事をしているのか人にフォーカスした記事があるのを見て、これだ!と。今回のプロジェクトに関わっている人の思いを載せたら、温かみのあるページになるのではないかと思い、人物インタビューを入れるなどしてリニューアルしました。
また昨年10月には、現場で働いている方たちに、何をしたら面白くなるかを考えていただき、事務局側として一緒に形にして広島駅でイベントを実施するという企画を行ったのですが、とても面白いアイデアが挙がってきて、いろいろな人を巻き込みながら仕事をするのが楽しいと思いながら進めています。
大下:昨年6月にチームに加わりましたが、同じ広報を担当している箱田さんが昨年7月から今年の2月まで毎週2日間は大阪にある本社へ行き別業務を行っていましたので広報業務を引き継ぎました。どのようなことを行うかはある程度決まっていたので、それを継続していくのが私の役割でした。私は準備が大変そうなことや他の人の手間になりそうなことに恐縮してしまいがちで発案することがにがてですが、箱田さんはアイディアマンで…さまざまなアイディアを発案されるので、一緒にいろいろ実現してきて、意外とできるじゃん、と驚くとともに今は恐縮せずにやってみるだけやってみようとポジティブに考えられるようになっている気がします。

担当される中で最も注力されたことは何ですか。
大下:何でしょう…。
箱田:とりあえず全部全力でやろうと思ってやってきたので、どれが一番か…。
齋藤:大下さんの場合は、動画やポスターのレイアウトの見せ方とか、どのような展開をしたらいいか、こういうこともできそうですよなど、我々が思いつかないようなことを提案してくれました。それがどんどんブラッシュアップされて、最後の方はカメラマンと相談しながらいろいろなパターンのポスターなどを作り、それがどれもバシッと目に留まるものになっていて、そこに注力してくれたんだと感じました。
大下:そういえばチームに異動してきた当初、友人に新しい広島駅のことを聞いてみたら「なにかできるの?」「あ、シネマが入るん?」というほどの感触だったので、地元の人にさえどんな駅ビルができるか浸透していないことを感じ、それで関心や期待を高めるための広報活動に力を注ぎました。
齋藤:箱田さんは「失敗を恐れずに」と言っていましたが、 結構失敗してきましたけども(笑)。箱田さんのすごいところは、普通だと怒られるかもしれないことを「すみません、これ分からないんですけど」「どうやるんですか」とズカズカと相手に聞いていくところですね。そうすると周りの皆さんが助けくれるんですよ。普段気難しい方も「もう!」と言いながらも手を差し伸べてくれるんです。そういう天性の(?)取柄があり、また全力で頑張っているのが分かるから周りも助けてくれるのだと思います。
保井:中国統括本部がコンパクトで垣根が低いので、みんなが協力する雰囲気があると思うんですが、あと駅ビルに対する期待感もあり、駅ビルの仕事はみんなで協力しようという雰囲気になっています。あとは箱田さんのパーソナリティーですね。
箱田:謎の度胸(笑)。あんまり気にしない。
保井:もうちょっと勉強してから行ってほしいというのはあるんですけどね(笑)。
齋藤:私自身は、力を入れているのか、それともやりたいことをやっているのかというところなんですけど(笑)
保井さんご自身はどのようなことに注力されていましたか。
保井:JRの社内だけではなく、グループ会社や広島市さん、広島電鉄さんと一緒に事業を行っているので、敬意と共感を持ちながらコミュニケーションを取るように努めています。広島市さんも広島電鉄さんも良い方ばかりで、これまでの方々が良好な関係を築いてくださっていたおかげで今の仕事もできているのだと思いますが、だからこそこの関係を崩さないようにしつつも、でも言うべきことは伝えるようにしてきました。
手紙をきっかけにマツコ・デラックスさんの番組に出演し、新しい広島駅ビルをPR

思い出に残っているエピソードはありますか。
保井:マツコ・デラックスさんの番組に出たことですかね。
昨年6月に放送されたのを見ました!箱田さんがマツコさんに手紙を送られて、それでマツコさんが広島に来られましたよね。手紙を送ることになったきっかけは何だったんですか。
箱田:あれ、僕が呼んだみたいになっていますが、前任の部長と保井部長、齋藤さんとご飯を食べに行った際、マツコさんの別の番組で広島駅ビルの話が出ていたよねという話になり、そしたら前部長から「手紙を書いて送ったら?」と言われ、普段はあまりそんなことを言わない保井部長も「送ろう送ろう」と盛り上がって。じゃあ本当に送りますよ、手書きで送りますよって言って本当に書いて皆さんに見せてから送ったんです。そしたら半年後ぐらいに東京のテレビ局から広島駅ビルを取材させてほしいというメールが来て「マジか!」と(笑)。
放送して時間が経っていますが、今でも周りの人から「出とったよね」と言われます。先日も立ち飲み屋さんに行ったときに、近くのお客さんと話していて、マツコさんが広島駅に来ていましたねっていう話になったとき、僕の顔を見て「あなた出ていた人じゃないですか!」「やばい手紙(※)を送った人じゃないですか!」と言われたこともありました。
(※)縦書き便せんに「百万倍」を縦書きで1000000倍と書くなど面白く書き、マツコさんから突っ込みを受けていました。
他にも何か記憶に残っていることはありますか。
大下:情報を出すと全てがすぐにニュースになることが驚きでした。
齋藤:広島のメディアの皆さんには駅ビル関係についてはとても関心を持っていただき、記事にしていただいたり、テレビで報道していただいたことはありがたかったですね。
個人的にはJRと広島電鉄のラッピングコラボが印象に残っていますが、反響はどうだったのでしょう?
齋藤:鉄道会社同士のラッピングコラボはありますが、JR西日本が他の鉄道会社とコラボをしたのは初めてでした。お客様の声で「広島はすごく熱いですね」「盛り上がっていますね」「びっくりしました」というコメントが寄せられ、うれしいです。
あと思い出に残っているのは、関係した方々と交流したことですかね。
保井:広島市や広島電鉄など関係している皆さんとの懇親会を何度か行いました。カープの試合を見に行ったり、マツコさんの番組が放送されるのをみんなで集まって見たり。プロジェクトに関わっている各社の担当者が入り混じって広島駅ビルのことを語っている光景はとても美しかったなと。例えば各社の広報担当者が同じテーブルに座って話していたりとか。普通なら同じ会社の人同士が集まりそうなのに、みんなが自然と交流している姿にある意味感動しました。
大下:私自身印象に残っているのは、広島駅ビルに関することをPRするためにメディアに出たことで周りの方から「見たよ」と声をかけられることですかね。でもまさかこういった仕事をするとは思ってもいなかったんですけどね(笑)。それまでは列車を当たり前に運行させていつもの日常を提供することが仕事だったので、メディアに取り上げていただき、非日常を提供する仕事に携わっていることに新鮮さとやりがいを感じました。
プロジェクトを進める上で大変だったことはありますか。
保井:民間企業である広島電鉄さんや当社と、行政とでは立場が違うのはやむを得ないことです。特に公共事業を行う行政と一緒に事業を行う場合、配慮が求められるなどの制約がありました。ですが、何か課題が起こったときはみんなでカバーするという雰囲気があり、大きなトラブルにはなりませんでした。
大下:問題があっても大事になる前に走り回ってトラブルを未然に防いでいましたよね。
齋藤:そうですね、調整したり代替案を出したりしました。プロジェクトができる前から広島市さんや広島電鉄さんのメンバーを知っていたので、トラブルになりそうな案件が出てきたときは各担当者から連絡が来たりして、みんなで話し合っていました。通常なら「うちの会社は関係ない」となることがあるかもしれませんが、各社の皆さんが協力的で、メンバーに恵まれていました。
箱田:部内もですが、各社の皆さんにも何でも言いやすい雰囲気なんですよね。普通だったら言いづらいことでも話し合える関係性がつくれていると思います。
全館が憩いの場になり、どの駅にも負けない魅力的な広島駅ビルへ

JR西日本の管轄する駅の中で、広島駅のここが他の駅に負けないというポイントはありますか。
齋藤:やっぱり路面電車が広島駅ビルの2階に入ってくることですね。世界でも稀ですから。それと皆さんの憩いの場になってほしいというコンセプトがあり、屋上にも大きな広場や大階段など時間を過ごせる場所があり、広島駅ビル全体が憩いの場所になるのではないかと期待しています。そんな駅ってあんまりないですよね?
箱田:これだけ斬新な駅はないのではないでしょうか。
齋藤:広島駅ビルって全館が楽しめるものになっていますよね。でも本来は、営利を求める民間企業からすると屋上広場などは「無駄なスペース」と捉えられがちなんですよね。本当ならそのスペースにテナントを入れて収益を上げる方がいいと思うんですが、新しい広島駅ビルは市民が憩い、くつろげる場になってほしいという意味でこのレイアウトになっているので、それだけの思いが込められているのだと思います。
保井:大阪駅にも大きな広場や電車を眺められる空間があり、大阪で勤務してきた私はそれを見てきましたが、負けず劣らずというか空間としては広島駅の方が圧倒的にゆとりがありますし、あとやはり駅ビル内に路面電車が入ってくる、さらに路面電車が眺められる自由通路があって市民の方が自由に行き来できる、そこにJRの駅もあって、実に稀有な空間だと思います。
広島駅ビルが開業しました。どのような駅ビルになってほしいか一言ずつお願いします。
保井:広島の皆さんに愛していただける、普段使いをしていただける広島駅になってほしいですね。ぜひ開業後は皆さんお気軽に公共交通機関を使って来ていただきたいです。
齋藤:まだロータリーの工事が残っていて、ペデストリアンデッキも延伸されていくので、もっともっと発展すると思います。広島駅ビル開業後もワクワクが継続できたらいいなと。また、ほっこりとしてもらえるような駅ビルになってほしいと思います。
箱田:今までは交通手段として広島駅を利用される方が多かったと思うんですけど、これからは交通手段に加えて、「駅に遊びに行こう」「駅に何かをしに行こう」「駅で時間を使おう」「駅で誰かと会おう」みたいな感じで幅広いシーンで活用いただけたらすごくうれしいなと思います。
大下:以前このインタビューに登場された前田大輔さん(vol.11)もおっしゃっていましたが、「居心地がいい場所」になると思います。それぞれがお気に入りの場所を見つけて、居心地がよくて長く居たくなる場所になると思います。
大下さんはプロジェクトチームの中で唯一広島のご出身ですが、広島出身者としてどんな広島駅ビルになってほしいですか。
大下:広島駅ビルがASSEだったときに、エスカレーター付近にベンチがあって、よく日が当たっていましたよね。そこでもみんなくつろいでいましたが、新しい駅ビルにはあのような場所がいろいろな所にできるので、くつろぎというか、家と職場以外の第三の居場所みたいな、みなさんがつい寄ってしまう居心地のいい駅ビルになるといいなと思います。