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- 中国SC開発株式会社 営業本部 営業部
販売促進グループ 大西伶奈さん - 中国SC開発に入社後、旧広島駅ビルASSEで飲食・食品・ファッションフロアの担当業務を経験。ASSEの閉館やekieのグランドオープンにも携わり、ekieエキキタパークの立ち上げにも従事。現在、新しい広島駅ビルの開業販促やイベント施策、広報担当業務にあたっている。
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開発グループ 伊藤洋輔さん - 中国SC開発に入社後、旧広島駅ビルASSEやekieの飲食フロアの担当業務を経験。その後、JR西日本SC開発に出向し、天王寺ミオでフロア担当業務、リニューアル業務、催事業務などを担当。中国SC開発に帰任後、新しい広島駅ビルのオペレーション開発や開業販促、ネーミングプロジェクトを担当している。
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目次
新しい広島駅ビルの商業施設の名称が「minamoa(ミナモア)」に決定!
お二人と広島駅ビル開発プロジェクトの関わりについてお伺いします。大西さんは主にekieエキキタパークの運営をされているそうですが、いつから駅ビルのプロジェクトに参加されていますか。
大西:広島駅の北口にあったJR西日本広島支社の跡地を活用するプロジェクトがスタートしたのが2021年で、それと同時に駅ビルのプロジェクトに参加しました。暫定的ではありますが、何か賑わい施設が作れないかとJRから提案があり、新しい広島駅ビルの屋上の活用方法を検討する試験的な役割も見据えてコートや広場を備えた「ekieエキキタパーク」を整備し、2022年にオープンしました。
伊藤さんは新しい広島駅ビルの名称やロゴデザインを担当されていると伺いました。
伊藤:ネーミングプロジェクトの構想は2022年の夏ごろから始まり、どのようにして新しい広島駅ビルの名称を決めるのか社内で議論を重ねました。約半年間の準備を経て、2023年3月に名称を決めるためのワークショップをスタートさせました。
先日(5月23日)、新しい広島駅ビルの名称が「minamoa(ミナモア)」に決定したと発表がありましたね。ミナモアの意味を教えてください。
伊藤:広島の川面のゆらめきや海のきらめきを表す「ミナモ(水面)」、みんなという意味の「ミナ」、もっとという意味の「モア」を合わせて「ミナモア」になりました。地域の皆様の想いを集めて作り上げた名称になっています。
ワークショップを重ねて名称が決まったとうかがいましたが、まずはワークショップを行うことになったきっかけから教えてください。
伊藤:名称を決めるには、公募する、他の会社にお願いして名称を考えていただくなどいくつかの方法がありますが、今回は何よりも広島の皆様の想いを形にしたいということから、市民、県民の皆様にご参加いただくワークショップを行うことになりました。そこでご意見をうかがい、名称だけではなく、駅ビルの開発にも生かしたいという考えもありました。
何回ぐらいワークショップをされましたか。
伊藤:一般の方を対象にしたものが3回、広島県内の大学と高等専門学校合わせて13校を対象に17回、合計20回行いました。
20回も!どのように実施されたのですか。
伊藤:県民参加型ワークショップは一般公募しました。老若男女集まったからこそのご意見や、駅を利用する立場としてのご意見も数多くいただき、大変参考になりました。学生の皆さまのワークショップは、先生や学生の専門分野など、得意とされている分野に沿って開催したので、専門的なご意見もいただくことができました。
たくさんの意見が出て、まとめるのが大変だったのでは?
伊藤:20回も行ったので膨大な量のご意見がありました。広島を表すようなものがいいなどのご意見もあれば、広島を前面に押し出す名称ではない方がいいなどさまざまでしたが、私たちが目指していたのは、広島の皆さまに「私たちの駅ビル」だと思っていただくことでしたので、それを念頭に置いていました。ワークショップでうかがった想いやご意見を集約して皆さまの思いを束ね、そして6本の川や瀬戸内海といった広島の特徴も合わせた「ミナモア」が誕生しました。
ワークショップでの意見は、名称以外にも生かされるとのことですが、具体的にはどのようなことがありますか。
伊藤:待ち合わせスポットやシンボル、サウナなどが欲しい、広島駅で一日中過ごせるようにしてほしい、広島のスポーツチームの情報が分かる掲示板があるといい、作品を展示できるスペースがあれば…などさまざまなご意見をいただきました。そんな皆さまの思いを受け止め、広島駅が交通の通過点やお見送りする場だけにとどまらず、日常的に利用していただけるような場所にするべく検討を重ねています。また、五感を意識していく、というご意見もいただきました。例えば川のせせらぎが聞こえたり、特産品のレモンの香りがしたり、買い物だけでなく場所全体で楽しめる場にもしたいですね。ワークショップなどから出たご意見を元に実験的な挑戦を行っているのがekieエキキタパークになります。
現在、ロゴデザインの検討も進められていますよね。少し前に公開審査会も行われました。今後の予定を教えてください。
伊藤:県民の皆さまの思いを体現させたのが新しい広島駅ビルの名称「ミナモア」です。それを反映したロゴデザイン作りは、広島に住む方々とともに作り上げていきたいという思いから、広島在住でご活躍されているデザイナーの方々にお声をかけました。ロゴデザインは「minamoa」に込められた想いを体現するピースの1つ。広島の皆さまに愛されなければ意味がありません。そこで、公開審査会では新駅ビルに関わりがある方や、クリエイター、企業の方をオブザーバーとしてお迎えし、ワークショップとはまた違う軸としての意見を汲み取り、デザイン、アート、ものづくりの分野の専門家の方々とともにロゴデザインを決定しました。6月26日に発表する予定ですのでお楽しみに。
ekieエキキタパークでの運営経験を駅ビル屋上の賑わいづくりに生かす
ekieエキキタパークについては大西さんに伺います。これまでどのようなイベントをされてきましたか。
大西:ワークショップでも意見が出たサウナの他、夏祭り的なことや屋外シネマなども行いました。当社のみで行うこともあれば、ekieエキキタパーク、エキキターレ、JR広島駅北口1階のイベントスペースの3会場で連携し、賑わいを生み出そうという観点から、広島駅北側のエリアマネジメント団体など地域の皆さんと協力して数多くのイベントを実施しました。持ち込み企画ではピラティス、車椅子バスケのイベント、3×3などがあり、私たちが想像していた以上にさまざまな使われ方がされていたのも印象深いです。
イベントを行った結果を新しい広島駅ビルの屋上の運営に役立てるということでしたね。
大西:新しい広島駅ビルの屋上は、何か特定のことだけを行うコートではなく、柔軟にいろいろなことに使っていただけることを想定しているため、ekieエキキタパークでのイベントを通して皆さまからお声を頂戴し、私たちでは考えつかなかったような使い方なども教えていただきたいと思っています。どのようにしたら地域の方が使いやすいのか、今後も検討を重ねていく予定です。
ekieエキキタパークの運営の中には「遊び」というテーマもあると伺いましたが、具体的にはどのようなことですか。
大西:遊び=イベントだけでなく、ワクワクする、楽しいという感情を大切にしたいと考えています。その手段の一つがイベントであったり、何か仕掛けであったり。駅を訪れた人にワクワクしてもらうにはどうしたらいいのか、今まさに議論しているところです。
今年の3月に開催された「ガーデンコンテスト」に伺いました。主会場のekieエキキタパークの他に、広島駅2階北口でも展開されていて驚きました。
大西:広島駅2階北口のペデストリアンデッキを大々的に使わせていただいたのは「ガーデンコンテスト」が初めてでした。ペデストリアンデッキとekieエキキタパーク、点と点がつながって回遊性が生まれ、有意義な実証実験となりました。JRも非常に積極的に関わってくれており感謝していますし、広島駅全体を盛り上げるために、今後もお互いに協力していけたらと思います。
最も反響がすごかったイベントは?
大西:お子さんが出店し、お子さんが買う、いわゆる「キッズフリマ」が大変人気でした。常時500人ぐらいが会場にいるという盛況ぶりで、2日間で約4000人の方にお越しいただきました。昨年の夏には「流しそうめん」を行いましたが、経験したことがないお子さんが多く、また、近くの東照宮からお神輿をお借りして実施した、お神輿を担ぐ体験も人気でした。今は子ども会が無い地域もあり、こうした体験を行う機会が減っているんですよね。親御さんだけで準備するには限界があるので、このような体験を求めている方が多いのだと実感しました。
新しい駅ビルの屋上はどのような造りになっていますか。
大西:芝生スペースと、南側はウッドデッキになっていて、ベンチもあります。木陰でお仕事したり、駅ビル内のお店でテイクアウトした物を持って芝生スペースでピクニックをしたり、思い思いの時間が過ごせる場所になるのではないかと思います。そういえば大階段もあるんですが、そこからの眺めがとてもキレイなんですよ! しかも広島電鉄の路面電車を上から眺めることもできるんです。こんな空間、なかなかないのでは? 現在、広島駅の屋上だからこその魅力は何だろう?強みは?と社内で話し合っています。ekieエキキタパークでの実証実験やネーミングのワークショップなどの結果も合わせ、大人と子どもの両方が楽しめる場にしていきたいですね。
生の声を新しい広島駅ビルづくりに反映させ、実現していく面白さを実感
お話を伺うと、お二人ともとても大変なのでは…?と想像しますが、いかがですか。
大西:いつもはテナントさまを通してお客様のお声を聞くことがほとんどですが、イベントを通してダイレクトにお声をいただく機会を得ることができたのは非常に貴重でした。生の声を駅ビルづくりに反映させていけるというのはとても面白く、大変というよりも良い機会だったなと思います。
伊藤:私もいろいろな方の生の声を聞けたことがとても面白く、貴重な経験になりました。これだけ多くの方とお会いする機会を設け、つながりをつくることができたのは意義があることだと思います。何百何千といただいたご意見を、これからどのように新駅ビルで実現させていくか、難しいこともありますが、それ以上に面白さもあります。
プロジェクトの中でチャレンジされたことはありますか。
伊藤:私の場合は、駅ビルの「名称を作ること」自体が挑戦でした。JR西日本グループの中でも1、2年かけてワークショップ形式で名称を決めた商業施設は、私が認識している中では無かったと思います。今後は、皆さまからのご意見を駅ビルの中でどのようにカタチにしていくのか、引き続き地域の方々とも連携しながら進めていきたいと思います。
大西さんは、屋上をどのように運営するかがこれからの挑戦でしょうか。
大西:先ほど、ワクワクする感情を大切にしたいとお話しましたが、人の心をワクワクさせるのはかなり大変です。場所があるだけではお客さまに来ていただけないというのを実証実験を通じて感じているところです。賑わっている施設などを視察し、私たちができる役割を考えていかなければと思っています。
広島駅がこんなに変わるなんて! 生まれ変わるプロジェクトにプライドを持って携わる
広島駅ビルが大きく変わるということで、私たちもかなり期待しています。プレッシャーを感じていませんか。
大西:生まれも育ちも広島なので、このプロジェクトに携われるのはとてもありがたいですし、ずっと見ていたいという気持ちです。広島駅がこんなに変わるとは想像していませんでした。貴重な経験ですし、一市民としてプライドを持ってプロジェクトを進めていきたいです。
伊藤:私も広島生まれ広島育ちなので、広島駅が変わっていくというところが楽しみであり、こういった機会に携わることができたのは光栄です。
お二人とも広島生まれ広島育ちなんですね。どんな広島駅ビルになってほしいですか。
伊藤:広島市民、県民の方に「私たちの駅ビルなんだ」と感じていただけるような場所になってほしいですね。また、駅ビルは開業後も皆さまと一緒に育てて作り上げるものだと考えているので、駅ビルで日常をどう過ごしていくか、屋上広場をどう使うかなども一緒に考え、実現していきたいです。
大西:愛着を持っていただきたいというのが一番です。とはいえ、愛着を持っていただく駅ビルになるのはそう簡単なことではありません。開業に向けて、どのような形で皆さんの日常に溶け込んでいけるか、そして「私たちの駅ビル」と思っていただけるようになるか研究と議論を重ねているところです。