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- 株式会社ホテルグランヴィア広島
企画部 新館開業グループ 課長
谷直美さん - 1989年に株式会社ホテルグランヴィア広島に入社。ほぼ全種類のレストラン店舗とブッフェレストランのリニューアルオープンを経験している、レストラン業務のプロフェッショナル。
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企画部 新館開業グループ 課長代理
永田浩一さん - 2001年に株式会社ホテルグランヴィア広島に入社。フロントや予約担当をはじめとした宿泊の全部署と他を経験した、宿泊業務のプロフェッショナル。
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企画部 新館開業グループ係長
谷口正さん - 2017年に株式会社ジェイアール西日本ホテル開発に入社。ホテルグランヴィア京都で宿泊とレストラン業務を経験し、2022年に開業した「ホテルヴィスキオ富山」の開業準備を経験。
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企画部 新館開業グループ主任
森碧伊さん - 2020年に株式会社ジェイアール西日本ホテル開発に入社。ホテルグランヴィア京都と広島でのレストラン業務を経験。
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企画部 営業企画グループ主任
藤村亜澄さん - 2016年に株式会社ホテルグランヴィア大阪に入社。大阪、京都、広島で宿泊やレストラン、企画など合計7カ所の部署を経験。
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目次
各部署のプロフェッショナルが集結した「ホテルグランヴィア広島サウスゲート」開業グループ
新しい広島駅ビルと同時に、ホテルグランヴィア広島の新しいホテル「ホテルグランヴィア広島 サウスゲート」も来年3月24日に開業されますね。開業に向けてプロジェクトチームがあると聞きました。いつ頃からスタートしたのでしょうか。
谷口:2019年3月、広島駅ビルの建て替え計画について発表されました。当社では、2023年6月に「新館開業グループ」を組織し、そこからスタートしています。
新館開業グループのメンバーに選ばれたときのお気持ちはいかがでしたか。まずは開業に向けたスケジュール管理などをされている谷口さんからお聞かせください。
谷口:実は、2019年6月からサウスゲートの実施設計に関わっていまして、当時は関西にいましたが、サウスゲート開業約2年前のタイミングで広島への出向希望を出しました。サウスゲートがオープンするまで、最後まで携わりたかったんです。
オープンのために出向希望を?その思いがすごいですね!レストランを担当されている谷さんと森さん、宿泊などを担当されている永田さんはどうでしたか。
谷:2年前ぐらい前からホテルグランヴィア広島の料飲(レストラン)部門を担当し、新館開業グループに加わったのは今年の6月からになります。それぞれのプロフェッショナルが集まっていて、こういうメンバーと一緒に働く機会はなかなかないと思うのでありがたいですね。私自身は、料飲部門と兼務しています。
森:入社した時はホテルグランヴィア京都で働いていました。私は岡山県出身ですが、以前広島県で過ごしていたこともあり、岡山や広島で働きたいとずっと思っていました。2022年6月、念願が叶って広島勤務となり、谷さんとともにホテルグランヴィア広島のレストランを担当してきました。2023年10月に新館開業グループに異動となり、最初にそのお話を聞いたときは「やったー!楽しそう!」ととてもうれしかったです。大きなプロジェクトですので、それに携わることができるのは光栄です。
永田:2023年6月に新館開業グループに異動になりましたが、異動の1週間ぐらい前にお話をいただき、驚きました。最初は「よし、やってやろう!」と意気込んでいましたが、実際にやってみると結構大変だなと実感しています(笑)。
広報を担当されている藤村さんはいかがでしたか。
藤村:私の場合、新館開業グループとは少し違い、営業企画グループとしてホテルグランヴィア広島の商品企画、販促、広報を受け持っています。でもまさかサウスゲート開業の広報までさせていただけるとは思っていませんでした。サウスゲートの内装なども決まり始め、「これから認知度を上げていくぞ!」という時期に関わらせていただくのはとても良い経験になってうれしいです。
「瀬戸内の玄関口」をコンセプトに、館内随所で感じる瀬戸内の息吹

開業までのスケジュールや協力会社との調整などについて教えてください。
谷口:今年に入り、タスクを全て洗い出しました。約160項目をどのタイミングでやるべきか、過去の実績も踏まえてリスト化しました。それを参考にしながら、「このタイミングでこれをしよう」とみんなに伝えています。2022年に開業した「ホテルヴィスキオ富山」の立ち上げを経験したことがあり、開業までの全体の流れが何となく分かっているので、その経験も生きていると思います。
また、ITシステムや調度品などの企業、商社などの協力会社は多岐にわたり、商品選びや見積もりによる比較、スケジュール交渉などを行っています。取引先を選定する際、まずは平仄(ひょうそく)をきちんとしなければなりません。私達の中で「チャンバを合わせる」と言っているんですけど…。
チャンバを合わせる??
藤村:事務所内で隣のデスクエリアにいるんですが、新館開業グループからよく「チャンバは合っているのか」って聞こえてくるんです。でも、そんな言葉はこれまで聞いたことがない(笑)。
谷口:前の上司から教わった言葉で、その上司は建築出身でしたので建築用語かと思ったら違いました。でも新館開業グループ内では通じます(笑)。
サウスゲートのコンセプトは「瀬戸内の玄関口」とのことですが、どのようなところに「瀬戸内」を取り入れられていますか。
谷口:ホテルグランヴィア広島のコンセプトが「国際平和都市広島の玄関口」でして、サウスゲートはどのような違いを出すか話し合い、新しい広島駅ビルのコンセプトも踏まえて「瀬戸内の玄関口」に設定しました。

広島に住む人にとっては、まずはレストランをよく利用することになると思います。レストランでの「瀬戸内」はどのようなところで感じられますか。
谷:コンセプトの「瀬戸内の玄関口」にちなみ、レストランの店名は「UmiShima Dining」にしました。広島レモンサーモンなど、瀬戸内にちなんだ食材を使った料理などを提供する予定です。まだ詳しくお話できないのですが、海を思わせるような調理方法も取り入れていくつもりです。現在、試行錯誤中です(笑)。
ドリンクは、瀬戸内ですのでやはりレモンや八朔などの柑橘系が多いですね。瀬戸田町や因島などの農家に行ってお話を聞き、収穫もさせていただきました。農薬を使わないなどこだわりの強い方が多く、熱く語っていただきました。収穫して食べさせていただくと日頃食べているものと全然違っていておいしさにビックリ!カットの仕方によって味が変わるというのも勉強になりました。「瀬戸内の玄関口」を意識した料理とドリンクのマッチングにこだわっていきたいですね。
藤村:この間、新館開業グループのみんなが試飲してすごい盛り上がっていましたよね。違うグループの私は飲めなかったんですけど(笑) 。でも楽しみです。

ドリンクメニューでは紅茶の数も多いと聞きましたが、提供される紅茶は決まりましたか。
森:18種類の紅茶のサンプルを取り寄せ、おなかがチャプチャプになるまで全て試飲しました(笑)。私だけでなく、たくさんの方に飲んでいただき、どの紅茶がいいか意見を出し合っています。

宿泊部分では、「瀬戸内」をキーワードにした「香り」を取り入れるそうですね。
永田:取り寄せたサンプルを実際にディフューザーで試し、新館開業グループのみんなで香りをかいで比較検討しているところです。ロビーで香るようにする予定で、瀬戸内なので、やはり柑橘系が多くなりそうです。
バスアメニティーもこだわっていると聞きました。
永田:さまざまな業者にお声がけしました。シャンプー10種類、コンディショナー10種類、ボディソープ10種類といった具合にサンプルをいただき、家に持ち帰って香りや泡立ちなどを全て試しました。新館開業グループだけでなく、宿泊部の方たちにも試していただきました。また、男性より女性の方が気にされる方が多いと思うので、たくさんの女性のスタッフに使っていただき、感想を聞きました。その他、熊本県に本社と工場がある会社に行き、どういう思いでこの商品を作られているのかお話をお聞きしたところもあります。
熊本まで行かれたんですか!
永田:はい。オーガニックにこだわっているところなどに共感し、実際に見に行ってみようということになって、見学に行きました。
選び抜かれた商品と癒やされる客室で上質なホテルステイを
それぞれご担当されている中で、「瀬戸内」以外にこだわっていることはありますか。
谷口:「ホテルグランヴィア」ブランド全体のコンセプトとして「上質な旅の起点」というのがありますので、「上質さ」を意識しています。そのためさまざまな商品や素材選びをこだわり、お客様の満足度を上げていきたいと考えています。また、ホテルは地域との架け橋でもあると思います。そのため、地域にちなんだアイテムを使うことを心掛けていますし、新館も「瀬戸内の玄関口」として「地域共生」も意識していきたいですね。
谷:現在、レストランで使う食器を選んでいるところです。店内はカジュアルな雰囲気ですので、少し落ち着いたモダンカジュアルな雰囲気にしたいと思っています。
永田:例えばベッドで言えば、マットレスの中にあるコイルの大きさなどが違いますよね。そこでいくつかのマットレスを取り寄せ、新館開業グループや宿泊部のメンバーが寝心地を試しました。「外国の方はこういったベッドを好まれる」「日本の方はこういうベッドが好きかも」など皆さんの意見を聞き、それを踏まえて決めました。マットレスも香りと同じく、グランヴィアフロアはさらに上質なマットレスにする予定です。
そういえば客室の窓が大きいと話題になっていました。どのような景色が広がるのでしょうか。
永田:海側(南)も山側(北)もどの部屋も窓が大きいのが特徴です。特に上層階の海側は、天気が良ければ瀬戸内海まで見えるのがポイントです。また、ホテルグランヴィア広島もそうですが、サウスゲートでも客室から新幹線や在来線が見えます。サウスゲートについては、海側の部屋から広島電鉄の路面電車が広島駅ビルに入る様子が見られるのも、かなりポイントが高いですね。鉄道や電車が好きな方にとってはたまらないのではないでしょうか。
広島の方にとっては県外から来る親戚や知人に宿泊を勧めたくなるホテルがあるとうれしいのですが、他に新館のセールスポイントはありますか。
森:サウスゲートのレストラン「UmiShima Dining」は屋上広場からふらっと入りやすいような少しカジュアルな雰囲気づくりをしたいと考えております。コーヒー一杯からでもぜひ楽しんでいただきたいです。自分らしく過ごせる時間をお過ごしいただけるような仕掛けを計画中です。
藤村:バスルームが大きく、足を伸ばして入ることができるので、旅の疲れをゆっくり癒やせます。客室からの景色を眺めながらのんびりしていただき、上質なホテルステイが堪能できると思います。そこに「瀬戸内」「広島」といったホテル内の仕掛けが加わり、広島に来たことを実感していただけるのではないでしょうか。

この流れで広報担当の藤村さんに伺いたいのですが、今後どのような広報を展開される予定ですか。
藤村:私自身は2023年4月にホテルグランヴィア京都から広島に異動になり、これまでは大阪や京都のサービス業務を中心に仕事をしていました。広島で初めて広報を担当したのですが、2年目の今、これだけ大きな仕事をさせていただくことになり、正直なところ一人では何もできないと感じています。ですが、JR西日本の広島駅プロジェクトの方々をはじめとした社外のご担当者の方と密にやり取りさせていただく中でたくさんお話を伺い、アイデアや情報をいただいています。その中から、「これをやってみよう」と提案したり、時には周りの皆さんに相談に乗っていただくこともあります。このご縁を機に広島駅でイベントを行うなど、皆さんの力をお借りして、今までの広報とは異なる展開ができている、それはサウスゲートの開業準備ならではだと思っています。
広報担当として心がけていることは何でしょうか。
藤村:やはり企業ですので、一番の目標は売り上げを伸ばすことではありますが、私の場合、ホテルのスタッフ、今であれば新館開業グループの思いや苦労を一番に感じ取って、それをお客様が求める言葉に変換して皆さんに伝えることが、結果、ホテルの成果に繋がると考えています。そのため、ニュースをリリースする際、各部署の担当者と話して思いを汲み取り、バトンを受け取った私がアンカーとなって発信する、そんな架け橋になれればうれしいですね。
新館サウスゲートならではの広報の一環として、子ども向けのイベントをされていましたね。
藤村:元々、JRの制服を着て新幹線と一緒に撮影し、トレインビューの部屋に宿泊するという子ども駅長体験プランがあったのですが、広島市さんに許可をいただいて高い場所から工事現場を見学したり、JRの駅長室見学や、広島電鉄さんの制服を着て撮影するといったことを加えたイベントを行いました。私だったら完成前の建物を見られたらうれしいですし、そこで愛着がわき、将来このホテルで働くといったストーリーができたらいいなと、ワクワクしながら企画を立てました。皆さんに協力を仰いだところ、ぜひ「やろう」ということに。イベントに参加してくれたお子さんがホテルグランヴィア広島や新しい広島駅ビル、JR、広島電鉄のファンになり、将来的に彼らが広島駅を、そして広島全体を盛り上げていってくれることを願っています。今後もイベントなど、楽しんでいただけることを行っていきたいです。
このイベントの一つとして、10月に広島駅などで行われた開業半年前イベント「みんなMore Enjoyひろしまえきフェス」に出店されましたね。
森:広島県産のレモンを使ったアイスレモンティーなどを販売しました。レモンティーは、たくさん試飲した中でおいしく、レモンに合う紅茶を選び、何度も試作したものをご提供しました。
地域共生を意識したホテルを目指し、新しい広島駅ビルの屋上広場とも協力
サウスゲートのロビー階(7階)と新しい広島駅ビルの広場が繋がっています。この繋がりを生かした取り組みはありますか。
谷口:ロビーの前のテラスは中国SC開発さんが運営されます。結構大きなスペースがあるので、一緒にイベントができないかと話しています。ちなみにレストランの「UmiShima Dining」も同じく7階にあるので、もしもイベントが実現できたら、そのイベントに参加された方がレストランにふらっと気軽に入ってきていただけるような仕組み作りも考えています。
森:SDGsを意識し、地域の方にも参加していただいてアピールできるような、地域共生型のロビー装飾ができたらいいなと思っています。
藤村:新館開業グループは、会議以外にも普段からああだこうだと雑談しながらアイデアを出し合っているのがよく聞こえます。そんな雑談から良い案が出ることもあるんですよね。笑顔の絶えない、和気あいあいとしたチームです。
サウスゲートや新しい広島駅ビルに期待することはありますか。
永田:広島の繁華街というと紙屋町や八丁堀を指すことが多いですが、広島新駅ビルや新館のサウスゲートができることによって、広島駅エリアも繁華街の一つになればと思っています。最終的に紙屋町・八丁堀エリアと広島駅エリアの2エリアが栄え、広島駅から紙屋町・八丁堀までの電車通り一体も、どの電停で降りても楽しめるほど栄えてほしいですね。
森:今までの広島駅は紙屋町・八丁堀に行くための通過点だったと思います。ですが商業施設の「ミナモア」などもでき、人の流れも大きく変わるのではないかと思っています。広島駅を目的に来られる方も増えるのではないでしょうか。私のメイン担当はレストランなので、広島駅に来られた方がレストランにたくさん来ていただけるようにしたいですね。ホテルのレストランは入りにくい印象を持たれるかもしれませんが、そのイメージを払拭するためにカジュアルな食器を選んだりしています。他の商業施設に入っている飲食店と同様に、一つのレストランとして見ていただいて、気軽に入っていただけるような場所にしたいです。
谷口:「ホテルヴィスキオ富山」の開業に携わった際、人流が変わったのを目の当たりにしました。今回の広島新駅ビルや新館サウスゲートの開業で、人流が大きく変わると思います。このエリアが広島の新しいランドマークになればいいなと思います。
最後に、皆さんの今後の取り組みを教えてください。
谷口:まずは、無事に(来年3月24日に)開けるということですね(笑)。このような開業事業は、人生で一回体験できるかどうかの中、私は二回目の経験なので、その知見も生かしながら開業に向けてスケジュール管理などを行っていきたいです。
谷:目の前のことを着実にこなし、開業に結び付けるのが大きな目標です。地域に長く愛されるホテルを目指します。
森:現在、チームで最も力を入れているのは、レストランのメニュー作りです。ホテルグランヴィア自体が「食へのこだわり」を持っていますので、料理を重視し、シェフとともに考えています。先ほどカジュアルな雰囲気づくりとお話しましたが、提供する料理やドリンクは妥協したくないという思いがあります。チーム全員で開業ギリギリまで試行錯誤して進めていきたいです。
永田:ベッドやバスアメニティーなど備品の選定も大切な部分ですが、ホテルの第一印象はスタッフの姿勢やオペレーションで決まる部分もあるため、ソフト面も重要です。私自身、元々現場にいましたし、そちらを得意にしていますので、これまでの経験を生かしてソフト面も充実させていきたいですね。
藤村:広島市の方には新しい広島駅ビルやサウスゲート開業のことを知っていただいていますが、今後は、県外、関東、関西、北海道、沖縄、全国の方から楽しみにしていただけるように、県外にPR・キャンペーンしていきたいと思っています。
皆さんが、とても和気あいあいとされているのが印象に残りました。
藤村:いつもこんな感じで仕事をしています。谷さんは管理職ですが、それ以外のメンバーは一般職で、しかも若手メインです。開業という大きな事業で若手メインというのは珍しいと思いますが、若いからこそのフレッシュな感覚で事業を進めていきます!