2021年 4月社長会見
1.営業・輸送概況
2.福知山線列車事故追悼慰霊式
3.オープンイノベーションで支える技術ビジョンの実現
1.営業・輸送概況
【運輸取扱収入(速報値)】
収入ですが、対前々年比で3月は59.0%、4月は7日までで61.3%です。
【新幹線・在来線特急・近畿圏のご利用状況(速報値)】
ご利用については、山陽新幹線は対前々年比で3月は42%、4月も42%、近畿圏では3月は72%、4月は70%です。
新幹線や近畿圏のご利用とも、2月以降は緩やかな回復基調が続いてきましたが、感染の再拡大の状況もあり、足元では再び減少傾向が見られます。
また、昨年秋の業績予想時の年度末時点での見込み、具体的には、山陽新幹線のご利用がコロナ前と比べて6割程度まで回復するという見込みには残念ながら及んでいません。
詳細については、月末の決算発表の際にご説明させていただきます。
2.福知山線列車事故追悼慰霊式
間もなく4月25日を迎えます。弊社が福知山線列車事故を惹き起こしてから16年となります。
改めまして、お亡くなりになられた方々に深くお詫び申し上げます。心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様、お怪我をされた方々とご家族の皆様には、重ねて深くお詫び申し上げます。
すでにお知らせしておりますとおり、当日は「祈りの杜」において、追悼慰霊式を開催いたします。
昨年は、緊急事態宣言が発令され、移動や社会活動の厳しい制限が行われたことにより、やむを得ず慰霊式の開催を取りやめさせていただきましたが、本年は、皆様のご理解とご協力を賜り、開催させていただく予定です。
私としましても、改めて厳粛な気持ちで臨みたいと考えております。
ただ、現在も新型コロナは予断の許さない状況が続いております。このような中、式典の開催時間を短縮するなど、感染防止に最大限留意した上で執り行わせていただきたいと考えております。
慰霊式には現時点で式典会場へ約190名の方にご出席をいただく予定で、一昨年よりも大幅にご参列の方は少なくさせていただいております。
4月25日当日は、「祈りの杜」へのご来場を終日ご被害者様限りとしているため、一般の方はご入場いただけません。ご理解とご協力をお願いします。
また、ご被害者の皆様には中継会場やご自宅でも慰霊式の様子をご覧いただけるようにするなど、皆様それぞれのご意向に沿えるよう、準備を進めております。
4月25日は私どもにとって特別な日です。
「福知山線列車事故のような重大な事故を二度と発生させない」という変わらぬ決意を一人ひとりが日々の具体的な実践につなげていくため、4月は全社員があらためて事故を心に刻む機会としています。
さらなる安全性向上に向け、私自身も先頭に立って取り組んでいきます。
3.オープンイノベーションで支える技術ビジョンの実現
【オープンイノベーション※の取り組み】
※注釈:自社だけでなく、外部がもつ技術や知識などを組み合わせ、製品やサービス価値を創造する手法
4月9日にお知らせしましたが、当社はオープンイノベーションの取組成果を挙げている企業として、「知財功労賞」経済産業大臣表彰を受賞しました。
これまでの取り組みを評価いただいたということであり、大変うれしく思います。せっかくの機会ですので、本日はオープンイノベーションの取り組みについて、ご紹介します。
当社の取り組みの概要です。
3年前の2018年に、概ね20年後のありたい姿として「技術ビジョン」を掲げ、オープンイノベーションを活用していくことを宣言しました。
専属の組織としてオープンイノベーション室を設置し、体制も充実させながら、オープンイノベーションやデータ分析を通じて得られたソリューション技術を活用し、技術による解決策や仕組みの変革を加速してきました。
また、うめきた地下駅を技術ビジョン具現化に挑戦する未来駅として位置づけ、そこに行けば駅の未来が見える、そのような位置付けの駅とする挑戦をすすめています。
【これまでのオープンイノベーションの成果】
新たな価値創造の成果として3つの事例を紹介します。
鉄道の安全に貢献する技術では、「世界初のフルスクリーンホームドア」と「車いす段差解消機構」です。これらの取り組みが今回の受賞理由のひとつとして評価いただいたと聞いています。
どちらもこれまで会見や報道公開でご紹介したもので、試作機は継続して改良を重ねています。
他社との協業における意思決定のプロセスの違いなど、多くの見えないギャップを乗り越え、意図した技術のマッチングができたことにより、新しい価値創造につながっています。
生産性向上につながる技術では、「自動改札機のCBMソリューション」です。自動改札機のメンテナンスを行うグループ会社と協同でデータとAIを活用するとともに、故障予測を行うプログラムを開発し、点検頻度の最適化を図っています。
【今後の取り組み】
外部資源の社内への取り込み、安全性や生産性の向上に資する取り組みを着実に推進するとともに、成果を他社、他業界へ展開し、新たな事業機会を創出していきます。
例えば、先ほどご紹介した自動改札機のCBMソリューションは既に社内で保守コスト3割減を達成しており、同じ悩みを抱える他の鉄道会社へ展開したいと考えています。