2020年7月 社長会見
1.営業・輸送概況
2.安全教育設備の充実
3.地元と連携した新たな観光の取り組み
今月は全国各地で豪雨が続き、各所で甚大な被害が発生しています。お亡くなりになられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様方にお見舞い申し上げます。
当社でも、斜面が崩れるなどにより、広島県内の芸備線、福塩線の一部で現在も運転を見合わせています。
お客様には大変ご迷惑をおかけしていることをお詫び申し上げます。
関係箇所と調整しながら、早期の復旧に取り組んでまいります。
また、昨日、阪和線にて信号トラブルを発生させお客様に大変ご迷惑をおかけしましたことを重ねてお詫び申し上げます。
原因究明をし、対策をとってまいります。
1.営業・輸送概況
【運輸取扱収入(速報値)】
収入ですが、対前年比が6月は53.1%、7月は19日までで48.5%です。近距離券は、6月は57.5%、7月は19日までで63.0%、中長距離は同じく36.5%、37.1%です。
一方、定期券は6月で117%、7月19日までで72.1%となっています。
6月が多いのは、外出自粛期間中にお買い求めにならなかったお客様の反動だと考えています。
なお、当社の通勤定期をお持ちの方は、6月の時点で、対前年で9割弱になっています。
一方、通学定期は対前年6割程度にとどまっています。主に沿線の大学でウェブ授業が行われている影響と考えています。
定期全体では対前年比8割程度となっています。
ちなみに、この数字は、定期券をお持ちの方の数であり、実際にご乗車いただいているかどうかは別になります。
【新幹線・在来線特急・近畿圏のご利用状況(速報値)】
山陽新幹線は6月で32%、7月は19日までで37%、近畿圏では6月で62%、7月19日までで67%です。いずれも数字は上昇していますが、7月に入って回復のペースは鈍化しています。天候不良や最近の感染拡大の影響もあるのではないかと考えています。
【先週(7月13日から19日まで)のご利用状況(速報値)】
先週13日から19日までの平日・土休日別のご利用状況はご覧のとおりです。おおむね横ばいの状況になっています。
なお、お盆期間11日間の指定席予約状況は、7月21日時点では、対前年比で新幹線は21%、在来線特急は25%です。
臨時列車の設定や、お盆期間以外でも、おトクにご利用いただけるような商品を発売していますので、できる限り分散してご利用いただければと思います。
2.安全教育設備の充実
【体感を重視した教育の実施】
当社では、安全最優先の意識を高めるとともに、安全に必要な技術力を維持・向上する教育を実施しており、中でも、机上教育だけでは身につけにくい内容については、肌で感じ、体感を通じて学び考えることを重視しています。
例えば、実際の車両を活用した訓練や、音やにおいの体感教育などがあります。
本日は社員研修センターに新しく完成した設備を2つご紹介します。
【在来線総合実習室】
主にJR京都線・神戸線を走行する225系車両を模擬し、運転士と車掌両方のシミュレータを備えたものです。
実際の車両に使われている部品で製作を行っており、さまざまな走行時の振動を再現し、現実に近い環境下での訓練が可能です。
新規追加機能と訓練内容のご紹介です。
運転台で機器を操作すると、併設しているパンタグラフ装置や、床下にある機器などが動作し、実際の車両に則した動作を間近で、関係立てて学習することができます。
また、模擬故障を発生させることができます。
車両故障発生時にどのような現象が発生するのか、どのような手順で対応するのかといった、従来のシミュレータではできなかった訓練を行うことができます。
電気回路など、電車の知識を習得する際に理解しにくい内容については、CG映像による教材を導入し、より深く、より分かりやすく学習できます。
故障対応訓練や異常時処置訓練が実施可能で、訓練パターンは約220あります。
この施設は、運転士、車掌、運輸指令員を養成する各研修で活用していきます。
【安全体感棟】
安全体感棟は、重大労災防止に向けて自らできる対策は何かを体感を通じて学び、考えるための施設であり、このたび鉄道安全考動館に併設する形でリニューアルしました。
VRを用いた労働災害の模擬体感、墜落衝撃体感など、労働災害が身近に起こりうることを学ぶ設備を設置しています。
また、鉄道システムを支える各専門分野の業務を学ぶ設備を併設しています。
この施設を活用する研修は、年間八千五百人のペースで実施している全社員対象の安全考動研修や、各職種別の養成研修などで、グループ会社も活用しています。
現在は新型コロナウイルスの影響で、計画通りの研修の実施は難しい状況ですが、感染防止対策を徹底し、新しい設備を活用して、充実した安全教育を行っていきます。
3.地元と連携した新たな観光の取り組み
新型コロナウイルス感染拡大によるトレンドの変化、社会情勢や地元のご理解などを踏まえ、お客様に安心してご利用いただけることを前提に、引き続き地元の皆様と連携しながら、新しい観光スタイルを提供していきます。
1点目は、気軽に、ホテル並みの快適なサービスを受けられる新しいキャンプスタイルである、グランピング施設の展開です。
下電ホテルや倉敷市などと連携し、「自然」「貸切」をテーマとした「グランピング」事業の実証実験を岡山の鷲羽山で実施します。
今年9月以降、試行的に実施し、ご利用状況を踏まえた上で、来年4月以降の本格稼働を検討していきます。
将来的には、せとうちエリアの新しい観光スタイルのメインコンテンツに位置づけたいと考えています。
2点目は、JR西日本オリジナル自転車「しまなみレモンバイク」の開発です。
地元自治体、大学との連携で実施したプロジェクト、瀬戸内カレッジからの提案で誕生したもので、尾道市の自転車メーカーとコラボして、瀬戸田レモンをイメージしたものです。
お得な商品も発売していますので、しまなみエリアでの新たな観光スタイルとして、「気軽なサイクリング」を楽しんでいただければと思います。
【「WEST EXPRESS 銀河」の運行】
9月11日、京都から出雲市間で運行を開始し、11月28日までの間、関西と山陰をおおむね週2往復程度運行します。
車内における対策です。ビジュアルのピクトグラムにあるような対策に加え、フリースペースなどにパーテーションを設置します。ソーシャルディスタンスの観点から、定員の一部を減らして発売します。
当面の間、旅行会社主催の旅行商品限定で販売することで、万が一感染者が発生した場合にも確実に対応できる連絡体制を整備します。
途中停車駅などでの地域と連携したおもてなしについても、感染症対策を講じた上で実施します。
また、4号車のフリースペースを活用し、地元特産品輸送を実施します。
銀河で運んだ山陰エリアの地元特産品を、大阪駅などで販売することで、地域活性化のお役に立てればと思います。
最後に私から、現状に対する課題認識を申し上げます。
今月31日には、第1四半期決算の発表を控えていますので、決算に関わることは、本日は差し控えたいと思いますが、お客様のご利用も踏まえて、社会の行動変容が一過性でないことを想定し、当社も新しい生活様式に対応していく必要があると考えています。
お客様のご利用がコロナ前の状態に戻らない前提で、持続可能な経営を行うため、私どもの商品であるダイヤ、運賃・料金、サービス提供のあり方について大きな課題認識を持っています。