2019年12月 定例社長会見
1.最近の営業・輸送概況
2.降雪災害への備え
3.大阪駅がさらに西側へ広がります〜新改札口整備、高架下開発、新駅ビル開発など〜
就任会見でも申し上げましたが、当社が惹き起こしました福知山線列車事故を重く受け止め、その反省にたち、経営の三本柱を経営の中軸に据えながらすすめてまいります。
冒頭1点申し上げます。
2年前のきょう、12月11日に弊社は山陽新幹線重大インシデントを発生させました。
台車の異常を発見できなかったこと、また異常を感じたにもかかわらず運転を継続したことの反省をもとに、より高いレベルの安全を目指して、さまざまな取り組みを進めています。
先月の会見でもお知らせしましたが、車両の状態を確実に把握する仕組みの導入や、関係する社員間の連携強化・異常時の対応力を高めるための教育・訓練を継続的に行っています。
今後も、お客様に安心してご利用いただける新幹線を目指していきます。
1 最近の営業・輸送概況
【取扱収入】
11月は、収入計で対前年101.0%でしたが、消費税増税分を除くと、99.2%となります。
近距離が好調に推移したものの、北陸新幹線のご利用が低調であったことなどが影響したものと考えています。
12月の収入計は、7日時点では、対前年102.1%、消費税増税分を除くと、100.2%です。
※注釈:駅などでの取扱高(消費税を含む)を示します。
※注釈:直営の速報値です。(旅行会社発売分などを除く)
【ご利用状況】
11月は、山陽新幹線は、対前年100%と前年並みでした。
北陸新幹線は直通運転見合わせの影響が続いたことなどにより、同90%と前年を下回りました。
在来線特急やアーバンネットワークは、休日を中心にご利用が堅調に推移したことなどもあり、前年を上回りました。
12月は、7日時点では、休日のご利用が好調であったことなどもあり、山陽新幹線は対前年101%、在来線特急は103%、アーバンネットワークは105%と前年を上回っています。
北陸新幹線は、直通運転見合わせの影響が依然続いていることなどにより、97%と前年を下回っています。
2 降雪災害への備え
【降雪に対する考え方】
当社は、北陸や山陰エリアなど、降雪が多いエリアがあり、安全かつ安定的に列車を運行するため、備えを行っています。
まず、「積雪予防」です。線路設備に積雪を生じさせないため、屋根を設置したり、積雪した雪を融かすための融雪器や散水装置などを設置しています。
線路設備に積雪が発生した場合は「除雪」を行います。
除雪作業は、ラッセル車やモータカーなど、機械的な除雪のほか、マンパワー、つまり人力で行っています。
さらに、降雪状態でいかに列車を運行するか、または積もった雪をいかに除雪するか、という運行計画や除雪計画を立てます。
気象会社との連携、積雪監視カメラの設置、車両の雪落とし作業などのほか、訓練・対策会議を行っています。
以上のように、さまざまな対策を行っていますが、雪の影響により、列車の遅延や運休が発生する場合もあります。
【列車への着雪と落雪への備え】
金沢発大阪行きのサンダーバード号の事例で紹介します。
北陸エリアの降雪時には、車両の下部や屋根上に雪が付着し、気温の低いエリアを走行中にそれが固まります。
その列車が京都や大阪など比較的気温の高いエリアにさしかかると、雪が溶け出し、その塊が線路へ落下し、バラストという線路上に敷き詰めている石にあたって砕けるとともに、線路外へ飛散します。
車両下部の装置やATSなどの線路上の設備の破損、他の列車のガラス割れに加え、当社用地外への飛散など、さまざまな被害を発生させます。
これらを防ぐため、駅での着雪点検や着雪量に応じた列車の徐行、JR京都線や湖西線など約60キロメートルにわたるバラスト飛散防止ネットの設置などを行っています。
これらの対策により、列車の遅延が発生することもありますが、さまざまな被害の発生軽減のため、ご理解いただければと思います。
【過去の雪害と対策】
過去にも列車の長時間の立ち往生や、数日間の列車運休などにより、お客様に多大なご迷惑をおかけしました。
特に、列車の立ち往生は、お客様の安全面からも防止すべきであり、より踏み込んだ対策をとっています。
予報エリアの細分化や、平野部への積雪監視カメラ・積雪深計の増設により、現地の映像把握やデータ収集ができ、柔軟で的確な計画策定を可能としています。
なお、立ち往生が想起される豪雪予報があった場合は、台風の際と同様にあらかじめ列車を運休する場合があります。
列車の運休は、お客様に多大なご不便をおかけしますが、お客様の安全確保が最優先ですので、ご理解いただければと思います。
【北陸新幹線台車部着雪量予測の精度向上(データサイエンスの活用)】
データサイエンスを活用した取り組みも進めています。
北陸新幹線の台車部分に付着する雪が一定量以上見込まれる場合に、糸魚川駅上りホームで雪落とし作業を行っています。
雪落とし作業の実施判断は気象予報をもとに、前日に決定し多数の要員を配置し、糸魚川駅に全て停車させる臨時ダイヤを計画しますが、結果として着雪量が少なく雪落とし作業が不要となり、お客様へのご迷惑やロスが発生する場合があります。
そこで、AI予測モデルをもとに、精度の高い着雪量予測モデルを構築しました。
現在、試験運用の段階にあり、より効果的かつ安全で安定した輸送を提供するため、本運用に向けた検証を進めています。
3 大阪駅がさらに西側へ広がります 〜新改札口整備、高架下開発、新駅ビル開発など〜
【計画概要】
大阪駅周辺では、東海道線支線地下化・新駅設置事業やうめきた2期地区開発計画など、西側地区を中心に、周辺地域との一体的なまちづくりが進められています。
青色エリアの「新改札口整備」、赤色エリアの「高架下開発」、緑色エリアの「新駅ビル開発」を柱とする基本的な計画がまとまりましたので、お知らせします。
【新改札口整備】
まず、大阪駅の新改札口整備です。
各ホームに円滑にアクセス可能な新改札口を、西側高架下に整備します。
2023年春の時点では、一部暫定的な使用開始、2024年夏に全面的な使用開始を予定しています。
これにより、既存の改札口のご利用が分散することに加え、環状線ホームの西側への延長や、ほかのホームのご利用範囲拡大などで、ホーム上の混雑緩和・安全性向上を図ります。
また、新改札口と各ホームとを結ぶエレベーター・エスカレーターを整備することで、バリアフリーの拡充に努めます。
西側地区へのアクセスが向上し、周辺地区との回遊性が創出されます。
新改札口が西側地区の新たなゲートとなることで、地区全体のポテンシャル向上に寄与します。
【高架下開発】
次に、新改札口周辺に延床面積7,000平方メートルの高架下開発です。
多様なニーズに対応する商業ゾーンを展開し、快適で魅力あふれる駅空間を創出するとともに、バスターミナルを新設し、大阪駅の交通結節機能のさらなる強化を図ります。
【新駅ビル開発】
3つ目は、地上23階、地下1階、延床面積59,000平方メートルの新改札口に隣接した新たな駅ビルの整備です。
高層部には新たなビジネス活動拠点としてオフィスゾーンを整備し、中層部には多様なニーズに対応する商業ゾーンを展開することで、にぎわいや交流、憩いの場を創出します。
低層部には広場空間を設け、うめきた2期地区開発と連携し、周辺地区における歩行者の回遊性向上を図ります。
【大阪駅西地区開発の決定】
これら3つのJR西日本グループによるプロジェクトと連動した、大阪駅西地区開発の始動についてです。
日本郵便様、JTB様と当社グループによる共同開発として、旧大阪中央郵便局跡地などの再開発事業である、大阪駅西地区開発の始動についても正式に決定しました。