6月定例社長会見
1.最近の営業・輸送概況
2. 吹田総合車両所のリニューアルについて
【京阪神エリアで発生した地震について】
6月18日(月曜日)に発生した地震について、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、お怪我をされた方の一日も早いご快癒を願いたいと思います。
当社管内でも、地震発生後の安全確認のため、新幹線・在来線とも長時間列車を停止させました。京阪神エリアでは、多くの線区について、運転再開見込みを延長することとなり、運転再開が22時以降となってしまいました。また、6月19日(火曜日)朝も、JR京都線で線路の確認を行った影響で一部区間が運転見合わせとなりました。ご利用のお客様には大変ご迷惑をおかけいたしました。
【山陽新幹線 博多〜小倉駅間で人と列車が衝突した事象について】
6月14日(木曜日)、山陽新幹線博多〜小倉駅間において人と列車が衝突した事象により広島・博多間は運転を長時間見合わせることとなり、当該列車にご乗車いただいていた約200名のお客様をはじめとして、4万人を超えるお客様に多大なご迷惑とご不安をおかけしました。あらためまして、この場をお借りしてお詫び申し上げます。今回の事象を受けての課題をしっかり取り組んでまいります。
1 最近の営業・輸送概況
【取扱収入】
5月は、曜日配列(休日1日減)により近距離では前年を下回ったものの、概ね堅調な推移となりました。
6月は、14日時点では、各券種とも堅調に推移しています。
※注釈:駅などでの取扱高(消費税を含む)を示します。
※注釈: 直営の速報値です。(旅行会社発売分などを除きます)
【ご利用状況】
5月は、曜日配列によりゴールデンウィーク期間後半(5月1日から6日まで)が低調に推移したことにより、山陽新幹線対前年100%、北陸新幹線同98%、在来線特急同100%となりました。
アーバンネットワークは、同101%と堅調に推移しました。
6月は、14日時点では、各線区とも堅調に推移しております。
※ 実績は速報値です。
2 吹田総合車両所のリニューアルについて
JR西日本グループ中期経営計画2022における鉄道事業戦略の基本戦略に掲げる「安全を維持する鉄道システムの充実に向けたハード対策の推進」および「メンテナンスのシステムチェンジ」として、車両や設備の労働集約型メンテナンスの再編成、機械化の推進に向けた吹田総合車両所のリニューアルを行うこととしました。
吹田総合車両所は、1921年(大正10年)に湊町(みなとまち)から現在の吹田の地に移転以来、まもなく100年が経過します。現在は当社の近畿エリアを中心に運行する在来線車両の検査・修繕を担っております。これまでも、車両の更新や輸送力の増強にあわせ、建物の増築や設備を増備するなどの対応を図ってまいりましたが、今回、安全性の向上、生産性の向上を目的とした主要設備の更新、シンプルな検査・修繕ラインへの変更を行います。また、あわせて大規模地震に備えるため、主要な建物の建替えや耐震化工事も行ってまいります。
【現在の吹田総合車両所と、リニューアル後の完成予想図との比較】
リニューアル後のオレンジ色部分が建替えを行う建物、青色部分が耐震補強を行う建物となります。新たに建設するオレンジ色の建物は、新検修棟、新入出場棟、新倉庫の3つで、合計の延床面積は約2万平方メートルです。耐震補強を行う青色の建物の中には、現在複数の職場が混在しておりますが、リニューアル後は台車検修棟とし、台車の検査・修繕ラインへと改良いたします。その延床面積は約1.5万平方メートルです。結果として、建替、耐震補強を行う建物の中で検査・修繕の大半を賄う仕組みとすることが可能となり、災害時の事業持続可能性を確保してまいります。
【オレンジ色の建物のうち、新検修棟部分の拡大図について】
こちらの建物は総2階建てとし、1階部分において車両の車体を、2階部分において部品の検査を行います。1階と2階の部品搬送は、立体倉庫を経由するか、昇降機を活用しますが、いずれにしても、極力人手をかけない設備とするように計画してまいります。
【検査・修繕ラインについて】
これまでは、部品の検査を行う場所が所内の各所に点在しておりました。また、車体の検査についても少しずつ移動させながら行う必要があり、特に部品の搬送に無駄が生じておりました。今回のレイアウトへの変更によって特に搬送の無駄を解消し、検査工程の効率化が図れます。
【リニューアル工事について】
今回のリニューアル工事では主要設備も更新し、安全性の向上、人手をかけて行う作業の機械化などを進めていく計画としております。下記にお示ししているのは、検査・修繕のため車体と台車を切り離す装置です。現在は、連結された編成を1両ずつに切り離し、2つの大型クレーンを用いて車体と台車の切り離し作業を行っております。今回、連結された編成のまま一括して昇降装置で車体と台車の切り離し作業を行う方式とすることで、作業の安全性が向上し、かつ作業効率も高められます。
下記にお示ししているのは、台車枠を検査する際に必要となる、台車枠を反転させる装置です。現在はクレーンを用いて台車枠を反転させておりますが、今回の装置を導入することで、反転作業が安定し、より確実なものとなります。作業安全性の向上はもちろんのこと、効率も高まります。
あらためまして、今回のリニューアル工事により得られる効果は大きく3つあると考えております。
1つ目は、新たなラインでスムーズに検査・修繕を行うことで、生産性・車両品質が向上するという点です。2つ目は、リスク低減対策を実施することで、作業安全性・作業環境を向上させることができるという点です。そして3つ目は、大規模な地震が発生した際にも近畿エリアの安全運行を確保することができるという点です。
本リニューアルの総事業費は約470億円を見込んでおります。
工期は2019年春から2028年度末を予定しております。