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ニュースリリース

2018年2月 1日
経営関連

2月定例社長会見
1.最近の営業・輸送概況
2. JR西日本グループ鉄道安全考動計画2022

詳細

2月定例社長会見


1 最近の営業・輸送概況
【取扱収入】
運輸取扱収入の状況
 ※注釈:駅などでの取扱高(消費税を含む)を示します。
 ※注釈:直営の速報値です。(旅行会社発売分などを除きます)

【ご利用状況】
新幹線・在来線特急・アーバンネットワークのご利用状況
 ※注釈:実績は速報値です。

2 「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2022」
【福知山線列車事故以降の安全計画】
 当社は福知山線列車事故の反省を踏まえ、「安全性向上計画」「安全基本計画」「安全考動計画2017」を策定し、安全性の向上に向け取り組みを進めてきました。
 これらの計画を引き継ぎ、2018年度から新たな安全に関する5カ年計画である「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2022」をスタートさせます。
福知山線列車事故以降の安全計画
【福知山線列車事故の反省と事故以降の安全の取り組み】
 このたび、新たな安全計画を策定するにあたって、安全の取り組みの原点である福知山線列車事故に立ち返りました。
 福知山線列車事故の反省は、尊い人命をお預かりしている企業としての責任を果たしていなかったことです。
 事故後、反省すべき当社の課題を振り返り、さまざまな安全の取り組みを積み重ねる中で、なぜ福知山線列車事故を未然に防ぐことが出来なかったのかをあらためて考えると、「組織全体で安全を確保する仕組み」と「安全最優先の風土」の構築が不十分でした。
 その結果、安全を維持する鉄道システムが不十分となりました。
福知山線列車事故の反省
 これまでの安全の取り組みを、鉄道の安全を構成する要素の観点で振り返りました。
 「安全を維持する鉄道システム」については、ハード面では、保安装置の整備による運転事故対策、耐震補強などの自然災害対策、ホーム・踏切の安全対策を進めてきました。
 ソフト面では安全確保に向けたルールの整備、実践的な教育を進めてきました。
 「組織全体で安全を確保する仕組み」については、鉄道運行にかかわるリスクを予測し事前に対処するリスクアセスメントの導入、安全管理体制に対する第三者評価の導入などを進めてきました。
 「一人ひとりの安全考動」については、安全に関する情報の報告、安全・安定輸送を実現するための弛まぬ努力などに取り組んできました。
 「安全最優先の風土」については、安全研究所の研究成果を活用したヒューマンファクターの理解の浸透を図るとともに、福知山線列車事故を心に刻む研修を継続してきました。
福知山線列車事故以降の安全の取り組み

【福知山線列車事故の反省に基づく安全の取り組みの振り返り】
 これらの安全の取り組みを積み重ねる中で、なぜあの事故を防ぐことが出来なかったのかをあらためて考えると「組織全体で安全を確保する仕組み」と「安全優先の風土」について、反省すべき点がありました。

 「組織全体で安全を確保する仕組み」については2つの反省すべき点がありました。
 1点目として、経営施策の実施にあたって、計画、意思決定、実施後の各段階において、リスクを抽出し、対処する仕組みがありませんでした。
 2点目として、ペナルティと受け取られることのある再教育を実施するなど、ヒューマンファクターを考慮した社員教育などの仕組みに不備がありました。

 「安全最優先の風土」については、4つの反省すべき点がありました。
 1点目として、経営全般にわたる効率化を進めたことから、業務上の余力が減少したため、日々のオペレーションの維持に終始し、その結果、技術力が停滞し、安全に対する感度を高めることが出来ていませんでした。
 2点目として、「ヒューマンエラーは原因ではなく結果である」というヒューマンファクターの理解が不足していました。
 3点目として、過度の上意下達の風土により、ものが言いにくい雰囲気が醸成され、上司と部下のコミュニケーションなどが不十分な状態となっていました。
 4点目として、安定した経営実績などの成功体験を重ねる中で、過信に陥りやすい気質が芽生え、謙虚に外部に学ぶ姿勢が次第に薄れていきました。

 これらの反省に基づき、これまでの安全の取り組みを振り返りました。
 「組織全体で安全を確保する仕組み」については、潜在リスクを抽出の仕組みに課題があることから、より有効な仕組みに改善を図ります。
 また、環境の変化に伴い、ルールを見直す仕組みが不十分であったことから、ルールを改善する仕組みを構築します。
 「安全最優先の風土」については、ヒューマンファクターの理解は進んできましたが、実践に結びつくまでの理解という点で課題があることから、浸透に向けて取り組みます。
福知山線列車事故の反省に基づく安全の取り組みの振り返り

【新幹線における重大インシデントを踏まえた安全の取り組みの振り返り】
 これらの振り返りの上で、新幹線における重大インシデントを重く受け止め、あらためてこれまでの安全の取り組みを振り返りました。

 「組織全体で安全を確保する仕組み」については、今回のように事象発生の頻度は低くとも被害は重大となるリスクに気づくことが出来ませんでした。
 「安全最優先の風土」については、既存のルールで対応できない場合などに安全最優先の判断や行動をとることが出来ませんでした。

 「組織全体で安全を確保する仕組み」については、潜在リスクの抽出の仕組みに課題があることから、新たな観点の手法を導入し、リスクアセスメントを充実します。
 「安全最優先の風土」については、安全最優先の判断や行動の徹底に課題があることから、一人ひとりがリスクを具体的に考え、判断や行動につなげます。
新幹線における重大インシデントを踏まえた安全の取り組みの振り返り

【新たな計画策定の考え方】
 これまでの安全の取り組みを通じて、「組織全体で安全を確保する仕組みの構築」と「安全最優先の風土構築」を進めることで、バックアップ装置などのハード対策、ルール整備などのソフト対策を充実してきました。

 しかしながら、福知山線列車事故と重大インシデントを踏まえた2回の振り返りを通じ、次の課題認識を持ちました。
 「組織全体で安全を確保する仕組み」については、潜在リスクを抽出する仕組みの改善とルールを見直す仕組みに課題があります。
 「安全最優先の風土」については、安全憲章などの理解と具体的な実践との結びつけと、ルールがないときに対応できないといった安全最優先の判断や行動の徹底に課題があります。

 これらを踏まえ、新たな計画では、組織全体で安全を確保する仕組みをより有効なものとするとともに、「何よりも安全を優先する判断や行動」を一層推進します。
新たな計画策定の考え方

【新たな計画策定の考え方(現計画との比較)】
 現在の「安全考動計画2017」においては、「安全・安定輸送を実現するための弛まぬ努力」「リスクアセスメントのレベルアップ」「安全意識の向上と人命最優先の考動」「安全投資」に取り組んできました。
 新たな「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2022」では、これまでの安全の取り組みを継続するとともに、「組織の安全管理の充実」と「安全最優先の意識の浸透」に注力します。
 「組織の安全管理の充実」については、リスクアセスメントやルールの策定・維持の仕組みなどの組織の安全マネジメントの仕組みをより有効なものに改善します。
 「安全最優先の意識の浸透」については、「一人ひとりが具体的にリスクを考える」からスタートし、安全最優先で判断や行動をします。
新たな計画策定の考え方(現計画との比較)

【新たな計画の全体像】
 新たな安全計画においては、「安全最優先の意識の浸透」を土台とし、「組織の安全管理の充実」「一人ひとりの安全考動の実践」を通じて、「安全を維持する鉄道システム」の充実を図り、「全員参加型の安全管理」を実現し、重大事故と重大労災の未然防止を目指します。
 そのために、一人ひとりがリスクを具体的に考えること、すなわち、お客様や仲間の安全を確保するために、一人ひとりがいったん立ち止まって「リスクを具体的に考える」ことからスタートし、何よりも安全を優先する判断や行動につなげます。

 社会に貢献する企業グループとして信認を得られるよう、JR西日本グループの一人ひとりが使命感をもって、それぞれの立場で役割を誠実に実行し、安全な鉄道を築き上げます。
新たな計画の全体像


【安全考動計画2017の進捗】
 2017年度までの5年間を通じた目標である「お客様が死傷する列車事故ゼロ」については、事象は発生していないものの、新幹線における重大インシデントなどの事象を発生させてしまいました。
 「死亡に至る鉄道労災ゼロ」については、この間に2名の尊い命が失われました。
安全考動計画2017の進捗
 2017年度の到達目標である「ホームにおける鉄道人身障害事故3割減」については、12月末の段階で目標である9件を上回る12件が発生しており、未達となりました。
 「踏切障害事故4割減」「部内原因による輸送障害5割減」については、掲げた目標に近づきつつあり、残る期間、到達に向けて取り組んでいきます。
 「安全考動計画2017」では到達目標を掲げて、全員で取り組むことで、具体的な取り組みが進むなどの効果が見られたことから、未達となった項目の反省も踏まえた上で、新たな計画でも継続して到達目標を設定して取り組むこととします。
安全考動計画2017の進捗


【新たな計画の到達目標】
 「福知山線列車事故のような事故を二度と発生させない」という決意を具体化するため、2018年4月1日からの5年間を通じて、お客様が死傷するという重大な列車事故を発生させないことを引き続き目標とします。
 目標の達成に向けて、お客様が死傷する列車事故につながる重大な事象の防止に取り組みます。

 また、「安全考動計画2017」の期中に触車と墜落による死亡労災が発生した反省を踏まえ、JR西日本グループおよび協力会社における労働災害による死亡を発生させないことをあらためて目標とします。
 それを実現するために、各箇所で具体的な項目を定めて実行し、重大な労働災害の防止につなげます。

 「お客様が死傷する鉄道人身障害事故」については、「安全考動計画2017」では「ホームにおける鉄道人身障害事故」として取り組んできましたが、ホーム以外にも範囲を拡大して、さらに1割減をめざして取り組みます。

 「踏切障害事故」についても、さらなる削減に努めます。

 列車が遅延することは、通常とは異なる手続きなどが必要となることや、線路内作業などの計画を変更せざるを得なくなることなど、ヒューマンエラーを誘発する要因となる可能性があります。
 また、ホームの混雑など新たなリスクも発生します。
 このことから、安全の維持のためには安定輸送の確保も重要であるとの認識のもと、引き続き部内原因による輸送障害の削減に努めます。
新たな計画の到達目標


【主な取り組み内容】
 主な取り組みについては、「安全最優先の意識の浸透」「組織の安全管理の充実」「一人ひとりの安全考動の実践」「安全を維持する鉄道システム」を4本の柱として取り組みます。

 「安全最優先の意識」については、「福知山線列車事故を心に刻む取り組みと安全にかかわる方針の理解と実践」と「安全に対する感度の向上と安全最優先の判断と行動」に取り組みます。
 前者については、福知山線列車事故を心に刻み、安全について深く考え、安全最優先の行動に結びつけるため、「安全考動研修」を充実させます。
 また、「安全憲章」をみずからの業務に落とし込み、具体的な考動につなげるための職場ディスカッションを実施します。

 「安全に対する感度の向上と安全最優先の判断と行動」については、列車を止める判断において、結果として止める必要がなかったとしても、何よりも安全を優先して判断し行動できたことと安全が確認・確保できたことを大切にする価値観をJR西日本グループ全員で共有します。
 また、安全に対する感度の向上に向け、自らが列車を止める判断を行う場面を考え、対応を確認する教育・訓練を実施します。
 安全に対する感度の向上に向け、新幹線における被害の重大性を考慮した潜在リスクの洗い出しを実施します。主な取り組み「安全最優先の意識の浸透」

 「組織の安全管理の充実」については、「リスクアセスメントの質の向上」「安全マネジメントシステムの充実」「現実的なルールを策定・維持するための仕組みの構築」に取り組みます。

 「リスクアセスメントの質の向上」については、新幹線重大インシデントを踏まえ、潜在リスク抽出に向けた手法の充実を図ります。
 必要な安全対策がとられていることを確認した上で経営施策を意思決定する仕組みを明確化し、運用します。

 「安全マネジメントシステムの充実」については、継続的な改善に向けたPDCAサイクルの構築し、運用します。
 また、相互依存に陥らないよう、自らの責任を果たすための相互連携の充実に取り組みます。

 「現実的なルールを策定・維持するための仕組みの構築」については、安全の確保を前提として、実際の場面で遵守しやすい現実的なルールを策定・維持するために、ルールの有効性や妥当性に関する実態を把握し、改善する仕組みを構築します。

 「一人ひとりの安全考動の実践」については、「ヒューマンエラー」に対する処分・マイナス評価の見直しの趣旨の浸透を引き続き図るなど、さらに報告しやすい環境作りを進めます。

 また、一人ひとりが「リスクを具体的に考える」ことで、エラー低減に向けて自発的に取り組む「自己対策」、業務の質の向上に向けた体調管理をはじめとする「自己管理」を実践します。
主な取り組み「組織の安全管理」と「一人ひとりの安全考動の実践」

 
 「安全を維持する鉄道システムの充実」については、ハードを軸としながらも、その効果を最大化するためにソフトを組み合わせる、もしくはハードで及ばない範囲をソフトで補うなど、ハードとソフトの両面から、鉄道システムの充実を図ります。

 「ハード」については、山陽新幹線、近畿エリア、広島エリアなどへのより安全性の高い新製車両導入をはじめとする現在の設備の機能を維持・向上するメンテナンス投資を実施します。

 また新幹線安全対策やホーム・踏切の安全対策など、高い安全レベルを実現させるための投資や技術開発を進めます。

 さらに、重大労災の防止に向け、労働災害につながる作業自体を解消することが有効であることから、電柱ハンドリング車の導入など、機械化による作業の解消とシステムチェンジに向けた投資を行います。

 「ソフト」については、一人ひとりがルールの趣旨や根拠を理解した上で、主体的にルールを遵守するとともに、鉄道事業を支える基礎である技術・技能の向上に努めます。

 またVRなどを活用した、実践的なヒューマンファクター教育を実施します。

 さらに、ルールだけでは対応できない状況に備えた、安全最優先の柔軟な対応力の向上を図ります。
主な取り組み「安全を維持する鉄道システムの充実」

【「重大インシデントに係る有識者会議」からのご提言】
 新幹線における重大インシデントにおいて、ヒューマンファクターの視点で当社の検証内容と対応策に対する評価および提言をいただく目的で設置した「新幹線重大インシデントに係る有識者会議」からのご提言についてお知らせします。

 1月8日、1月23日の2回の有識者会議を踏まえて、中間報告をいただきました。
 中間報告における主なご提言と新たな安全計画への反映について、概要を説明します。

 1点目は、未知の事象に対する判断と対応についてです。
 これまで、新幹線は在来線に比べ大きな事故やトラブルの発生頻度が低いことから、めったに起こらない事象が発生した際の対応について提言をいただきました。
 新たな安全計画においては、新幹線における技術・技能の向上に向けた実践的な教育を進めます。

 2点目は、ヒューマンファクターの明確化とその対策についてです。
 相手に情報が伝わっただろうという思い込み、においや異音を正常の範囲内だろうと感じた判断などについて提言をいただきました。
 新たな安全計画においては、立場にかかわらず確認し合うコミュニケーションスキルの習得を進めます。

 3点目は、ハード的なバックアップ装置による判断基準の見える化についてです。
 科学的根拠に基づく車両の状態判断について提言をいただきました。
 新たな安全計画においては、新幹線台車の異常を検知する装置を導入します。

 これらのご提言を踏まえた取り組みを、着実に実行していきます。

 また、「新幹線重大インシデントに係る有識者会議」については、今年度中にさらに2回の会議で議論を深め、最終報告をいただく予定としており、いただいた提言を踏まえ、引き続き新幹線の安全性向上に取り組んでいきます。
「新幹線重大インシデントに係る有識者会議」からのご提言

 本日、「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2022」および「『新幹線重大インシデントに係る有識者会議』からのご提言」についてお知らせしましたが、安全の取り組みに終わりはありません。
 「福知山線列車事故のような事故を二度と発生させない」という変わらぬ決意のもと、JR西日本グループ全員が不断の努力を着実に積み重ねるとともに、安全を追求するために、あらゆる角度から鉄道システム全般にわたって改善を図っていきます。
 本計画の完遂に向けて、私自身がその先頭に立ってリーダーシップを発揮し、全力で取り組んでいきます。

【新幹線に係る新組織設置準備室の設置】
 なお、先日の会見でご案内しましたとおり、新幹線の安全マネジメント体制の強化に向けて、新幹線事業の組織のあり方についても検討を進めております。
 先般1月5日に、新幹線担当の副社長を配置いたしましたが、その指揮のもと、新幹線の体制強化に向けた組織のあり方の検討・準備を行う専任チームとして、本日付けで、「新幹線に係る新組織設置準備室」を立ち上げることといたしました。
  今後、本準備室を中心に迅速に検討を進め、新幹線の安全性に対する信頼回復に向けて取り組んでまいります。

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