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ニュースリリース

2015年8月21日
安全

山陽新幹線 車両部品の落下原因および今後の対策について

 平成27年8月8日、山陽新幹線 小倉〜博多駅間を走行中の車両(「さくら561号」)の側フサギ板(※注釈)が落下し停電を発生させ、多くのお客様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、あらためまして深くお詫び申し上げます。この事故に関する原因および今後の対策について報告いたします。

 ※注釈 側フサギ板とは、騒音の軽減や床下機器の保護のために車体側面下部に設置しているカバーです。

詳細

1 概況
 平成27年8月8日(土曜日)17時27分ごろ、「さくら561号」(新大阪駅 14時59分発 鹿児島中央駅 19時1分行 8両編成)がトンネル内を走行中に、当該車両の側フサギ板が落下し舞い上がり、車体側部に数カ所当たった後、トンネル上部の架空電線間で地絡し、停電し、列車が停車しました。その際、側フサギ板の衝撃により乗車中のお客様1名がおけがをされました。

2 調査内容
 当該側フサギ板は、上部を車体側に掛け、下部をボルト2本で取り付けていますが、当該車両ではボルト2本がいずれもなくなっていることから、ボルトが外れた原因について調査するため、関係者への聞き取りや当該車両部位の状態の確認を行いました。

3 調査結果および原因
 当該車両は走行試験に伴う付帯作業(7月24日実施)において、作業管理体制に不備があったため、通常の検査(※注釈)時に側フサギ板を取り付ける作業とは異なる作業となり、所定のボルトの締結力が不足したものと推定されます。締結力が不足していた理由およびそれがその後の交番検査(※注釈)で発見できなかった理由としては以下の3点が考えられます。

 ※注釈 通常の検査とは、ここでは、ボルト式の側フサギ板を取り扱う作業を伴う全般検査および臨時検査のことをいいます。
 ※注釈 交番検査とは、30日ごとまたは3万キロメートルごとのどちらか早く達する場合に行う検査であり、車体などの状態、作用および機能について在姿状態で行うものです。

(1)通常のボルト締結作業では、一人の作業者が「仮締め」から「本締め」(※注釈)、「合いマーク」(※注釈)まで一貫して行うところ、今回の作業時には、複数の作業者で分担していたため、「本締め」がなされないまま、後確認でも発見できず、作業完了に至っていた可能性があります。

 ※注釈 「本締め」とは、トルクレンチで所定のトルクに締めることです。
 ※注釈 「合いマーク」とは、所定のトルクでボルトを締めた状態で、ボルト頭部と車体に直線マークを入れ、以後ボルトの緩みがないかを確認するためのものです。

(2)通常のボルト締結作業では、新品の「特殊座金」(※注釈)に取り替えるべきところ、今回の作業時には、結果として「特殊座金」を再利用していたことにより、締結力の低下につながった可能性があります。

 ※注釈 「特殊座金」とは、特殊な構造によりボルトの緩みを防止する座金です。

(3)今回の作業後の交番検査(8月6日実施)において、「合いマーク」の確認が確実にできていないことによりボルトの緩みを発見できなかった可能性があります。

 以上が直接的原因であると考えておりますが、その背景として、今回のような通常の検査以外の作業時(技術開発に関わる試験や、教育・訓練など)を含めた新幹線車両に関わる品質の維持向上について、会社として、作業実態を踏まえた仕組みや教育などの継続的改善が不十分であったと考えております。

4 対策
 以下の対策を直ちに実施するとともに、本社、支社が主体となり、新幹線車両に関わる検査・作業全般について、品質の向上に向けた取り組みを進めてまいります。特に通常の検査以外の作業時のルールの明示とその厳格な運用を徹底してまいります。

 <直ちに実施する対策>
(1)通常の検査以外の作業時における作業管理体制を再構築します。
 ・一人の作業者によるボルトの「仮締め」から「本締め」、「合いマーク」までの一貫作業の徹底
 ・取り扱い箇所とその担当者が明確になるチェックシートの使用
 ・ボルトを締結した作業者と別の確認者が、トルクレンチを用いて締結力を再確認

(2)側フサギ板の取付作業においては「ボルト」「特殊座金」「回り止め座金」(※注釈)を一式で交換します。
 
 ※注釈 「回り止め座金」とは、座金の一部が下向きに曲がっており、曲がった部分を溝に入れ、ボルトが容易に緩まないようにする座金です。

(3)交番検査における「合いマーク」の確認を再徹底します。また、汚れにより確認し難い場合は、清掃後にあらためてトルクレンチを用いて締結力を確認し、「合いマーク」を記入します。

 引き続き原因究明に向けた調査や試験を踏まえて、更なる改善を図ってまいります。

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