5月定例社長会見
1 最近の営業・輸送状況
(1) 運輸取扱収入の状況
4月の運輸取扱収入につきましては、近距離券は前年比100.9%、中長距離券は102.0%でした。4月初めに大型低気圧の通過や淡路島地震があり影響を受けましたが、ゴールデンウィーク期間のきっぷの前売りなどが好調だったこともあり、近距離券・中長距離券ともに前年実績を上回りました。特に近距離券は、グランフロント大阪の開業によるご利用増の影響もあったと思われます。また、定期券は前年実績を下回っていますが、3月に定期券を事前購入するという購入時期のズレが原因だと思われます。
5月は20日までの実績ですが、ほぼ前年並みの実績となっております。特に昨年は、4月、5月が大変好調で、4月が前年比109.9%、5月が105.0%でありました。これは、一昨年の東日本大震災の反動で西日本エリアでの人の動きが非常に活発であったことが原因ですが、その好調であった昨年と比べてほぼ昨年並みとなったことについては、好調であるものと考えております。
対象期間 | 収入計 | 近距離券 | 中長距離券 | 定期券 |
---|---|---|---|---|
4月 | 100.8% | 100.9% | 102.0% | 98.4% |
5月(20日まで) | 100.6% | 103.9% | 99.8% | 99.4% |
※注釈 駅などでの取扱高を示します。
※注釈 直営の速報値です。
(2) 新幹線・在来線特急・アーバンネットワークのご利用状況
4月は新幹線及び在来線特急は前年比99%となっていますが、曜日配列も考慮するとほぼ前年並みと考えられます。
対象期間 | 新幹線 | 在来線特急 | アーバンネットワーク |
4月 | 99% | 99% | 100% |
5月(20日まで) | 101% | 100% | 102% |
※注釈 5月の数値は速報値です。
2 踏切の保安度向上に対する取り組みについて
当社は、4月からスタートしている「安全考動計画2017」において、踏切の保安度向上を重点項目に掲げていますが、これまで警報機や遮断機の新設、障害物検知装置の整備などさまざまな取り組みを実施してまいりました。障害物検知装置につきましては、1,980カ所で整備しており、過去5年間で約300カ所増設いたしました。踏切非常ボタンにつきましては、当社エリア内の踏切6,119カ所のうち1種踏切(警報機と自動遮断機のついている踏切)と3種踏切(警報機のついている踏切)に対して100%設置を完了しております。また、警報灯の視認性向上のため、従来の一方向型から吊り下げ式の全方位型踏切警報灯への切り替えを進めてまいりました。さらに、踏切の横断に関する啓発活動につきましても、踏切事故防止キャンペーンを実施してきました。
こうした取り組みを行ってきたものの、踏切遮断棒の折損が非常に多く、この対策として、平成22年度より「折れにくい遮断棒」の導入を進めました。踏切遮断棒折損については、総数の約6割が先端部分の折損であることから、この「折れにくい遮断棒」では、先端部にスリットを設けました。これらの取り組みの結果、踏切遮断棒折損件数はピーク時に約3,300件ありましたが、現在は3分の1の1,100件台に減少してきております。近畿圏では「折れにくい遮断棒」を導入した踏切656カ所において、折損件数が、22年度の821件から24年度は350件台と半分以下に減少しており、その効果が確認できております。
しかしながら、現在も踏切遮断棒の折損により、一時的に輸送障害が発生しお客様には大変ご迷惑をおかけしておりますので、スリットのある先端部だけでなく中間部および根元部への対策が必要であると考え、今回「さらに折れにくい遮断棒」を開発いたしました。
この遮断棒は、中間部の折損対策として、先端部との間に「屈折ユニット」を設け、その手前には「高強度遮断棒」を接いでいます。根元部につきましても、押されると斜め上方に可動する「折損防止器」を組み合わせ、遮断棒を斜め上方に逃がすことで折損を防止するというものです。
※注釈 さらに折れにくい遮断棒に関する動画はこちらをご覧ください。
この開発した遮断棒を、頻発に折損が発生していた踏切6カ所に昨年夏から設置して試験を実施しました。その結果、踏切6カ所で23年度に折損件数が41件発生していたものが、昨年夏から今年の3月末で7件に減少、1年間で換算すると9.6件と、約4分の1程度に減少しました。効果が確認できたと考えています。
私たちの「安全考動計画」では、削減目標を掲げています。踏切障害事故については4割減を目標に掲げているのですが、こうした施策を投入し、施策に裏打ちされた目標の達成に向け、努力していきたいと思っています。
3 訪日外国人向け無料公衆無線LANサービス開始
平成24年6月に発表いたしましたが、現在、175駅に公衆無線LAN整備を進めております。
一方、24年度の訪日外国人は837万人でしたが、その数を3,000万人にするという目標を掲げて、観光庁を中心に国を挙げて努力しています。当社も、このような動きの中で、インバウンド(訪日外国人誘致)の取り組みは大変重要な施策であると認識しております。当社の訪日旅行商品の発売実績では、現在、ご利用者数が20万人程度ですが、3月に発表いたしました中期経営計画では、2017年度の到達目標として、3倍の60万人を目指して取り組みを進めております。
観光庁が外国人旅行者に実施したアンケートでは、「旅行中に困ったこと」として、3位が「目的地までの公共交通の経路情報の入手」、2位が「コミュニケーション」、一番声が多かったのが「無料公衆無線LAN環境」という結果が出ております。
3番目の「目的地までの公共交通の経路情報の入手」につきましては、ホームページの時刻検索や主要駅構内図、路線図などの英語対応、はるか号の車内テロップの4カ国語表示などの対策に取り組んでおります。また、2番目の「コミュニケーション」の問題につきましては、案内標識の4カ国語表示や電話通訳サービスの導入などに取り組んでおります。一番要望の多い「無料公衆無線LANサービス」につきましては、7月1日から新たなサービスとして11駅で開始したいと考えています。
この11駅での訪日外国人向け無料公衆無線LANサービスでは、事前にゲストコードを取得していただき、11駅のサービス提供箇所で専用のID(SSID)を選択してゲストコードを入力していただくことで、インターネットを無料で利用していただくことができます。
こうしたサービスにつきましては、海外からお越しになられたお客様に日本でのご旅行を充実させていただけるように、当社のホームページで告知する他、海外で配布する資料、海外セールスや旅行博覧会などで告知してまいります。また、地元や地域の観光団体などにホームページへの情報掲載などの協力をお願いしていきたいと考えております。また、対象11駅の改札口や待合室などサービス提供箇所には、「FREE Wi-Fi」と記したステッカーを貼付します。さらに、事前にゲストコードの取得を忘れられたお客様には、関西空港でゲストコードを付与できるよう調整していきます。
当社の駅は1,222駅あり、そのうち有人駅530駅の約3分の1の175駅で公衆無線LANサービスを整備いたします。また、11駅を皮切りに外国人のお客様向けの公衆無線LANサービスを行ってまいります。
最後に、このような公衆無線LANサービスにつきましては、訪日外国人向け無線LAN、公衆無線LANともに、大規模災害や有事の際には、全てのお客様に無料開放いたします。災害時に情報収集しやすい環境を提供することで、早期の避難や被害の最小化のお役に立ちたいと考えております。