東海・東南海・南海地震に備えた地震・津波対策について
阪神淡路大震災以降、当社では、ラーメン高架橋柱(以下、高架橋柱)、橋脚、トンネル、鉄道駅などの耐震補強対策のほか、列車の線路からの逸脱防止対策および地震計の観測体制強化などを順次進めているところです。
昨年3月の東日本大地震では、鉄道構造物などに被害が生じたことや津波発生時の早期避難の必要性を踏まえ、さらなる構造物の耐震補強対策の推進と津波からの避難設備の充実などについて検討してきました。
現在施工中の橋脚や鉄道駅などの耐震補強対策を継続するとともに、今後発生が予想される東海・東南海・南海地震に備えた耐震補強対策および津波対策として、以下の対策に取り組みます。
これらの地震・津波対策費の総額は約1,000億円となり、現在実施している対策を進めつつ、早期の完了を目指していきます。
1 耐震補強対策
(1)現在施工中の耐震補強対策
高架橋柱(せん断破壊先行型) | 約32,500本 | 完了 |
落橋防止対策 | 約1,450連 | 完了 |
トンネル | 2箇所 | 完了 |
鉄筋コンクリート造の橋脚 | 約1,800基 | 施工中 |
高架橋柱(せん断破壊先行型) | 約7,700本 | 概ね完了 |
落橋防止対策 | 約1,600連 | 概ね完了 |
鉄道駅 | 22駅 | 施工中 |
鉄道駅 | 12駅 | 施工中 |
※注釈 鉄道駅とは「1日の平均利用者数が1万人以上」かつ「折返し設備を有するまたは他路線と接続している」駅をいいます。
(2)東海・東南海・南海地震に備えた耐震補強対策
高架橋柱(曲げ破壊先行型) | 約2,500本 |
盛土 | 約1キロメートル |
鋼製橋脚 | 約20基 |
駅舎など | 約20箇所 |
高架橋柱(曲げ破壊先行型) | 約4,600本 |
鉄筋コンクリート造の橋脚 | 約180基 |
無筋コンクリート・レンガ積・石積造の橋脚 | 約50基 |
鋼製橋脚 | 約110基 |
駅舎など | 約150箇所 |
高架橋柱(せん断破壊先行型) | 約420本 |
落橋防止対策 | 約400連 |
橋脚 | 約150基 |
駅舎など | 約10箇所 |
※注釈 高架橋柱のうち、高架橋下を店舗などで利用している箇所については、利用者との協議がまとまり次第実施することとします。
※注釈 調査・設計後、対策可能な箇所から随時着手します。
※注釈 「東海・東南海・南海地震に備えた耐震補強対策」について詳しくはこちらをご覧ください。(PDF形式 726キロバイト)
2 津波対策
(1)現行の取り組み
●津波発生時における対処方を定めた「津波対処要領」を平成23年5月に見直し、浸水区域や避難場所を改めました。
●紀勢線において、津波浸水地図・津波避難誘導看板を整備するなど津波発生時の避難誘導対策を進めてきました。
〔主な取り組み〕
○地震・津波情報の伝達
・緊急地震速報(気象庁)を列車運転台へ自動放送
・GPS運転士支援装置に浸水区域内在線警報機能を追加
・乗務員に携帯ラジオを配布
○避難にかかわる環境整備
・津波浸水地図を策定し津波避難誘導看板を整備
・運転台に避難ハシゴを搭載
・避難誘導設備の整備(線路から高台などへ階段を整備)
・全駅に避難ルートマップを掲示
(2)今後の主な取り組み
●紀勢線においては、非常に短い時分で津波が進来すると想定されることから迅速に避難できる環境をさらに充実していきます。
○地震・津波情報の伝達
・緊急地震速報および津波警報(気象庁)を駅などへ自動放送
・地域の防災無線を駅などへ整備
・指令から駅(無人駅含む)へ遠隔自動放送
○避難にかかわる環境整備
・避難誘導設備の整備(階段や昇降設備など)
※注釈 各自治体のハザードマップをもとに、津波到達時分が短いと想定される他の線区にも紀勢線と同様の対策を展開していきます。