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ニュースリリース

2018年11月14日
経営関連

2018年11月 定例社長会見
1.最近の営業・輸送概況
2.重大インシデントを踏まえた新幹線の安全性向上の取り組み

詳細

11月定例社長会見ビジュアル


1 最近の営業・輸送概況

【取扱収入】
 10月は、台風24号および25号の影響を受けたものの、昨年の台風21号の反動増などにより、収入計で対前年102.2%と前年を上回りました。
 11月は11日時点では、昨年の文化の日3連休の反動減などにより、対前年99.1%と前年を下回っております。

 取扱収入
 ※注釈:駅などでの取り扱い高(消費税を含む)を示します。
 ※注釈:直営の速報値です。(旅行会社発売分などを除く)

【ご利用状況】
 10月は台風24号および25号の影響により、山陽新幹線は対前年99%で前年を下回りました。北陸新幹線は前年と同程度となりました。
 在来線は台風24号および25号の影響を受けつつも、昨年の台風21号の反動増もあり、在来線特急同102%、アーバンネットワーク同105%と前年を上回りました。
 11月は、昨年の文化の日3連休の反動減により、山陽新幹線対前年98%、在来線特急同98%と前年を下回りました。
 また、2週目以降のご利用が好調で、北陸新幹線、アーバンネットワークは前年を上回りました。

 ご利用状況
 ※注釈: 実績は速報値です。

2 重大インシデントを踏まえた新幹線の安全性向上の取り組み
 私どもは昨年12月11日、新幹線の安全性に対する皆様からの信頼を大きく損ねてしまう重大インシデントを惹き起してしまいました。重大インシデントにおいては、台車の異常を発見できなかったこと、また異常を感じたにもかかわらず運転を継続したことを主な課題として受け止めております。その背景には「新幹線のシステムへの過度の信頼」による「新幹線の安全に関する感度の停滞」があったと認識しています。
 また、現場ディスカッションやヒアリング、有識者の意見などを通して、新幹線部門の風土に関しても課題があったと認識しています。これらの課題に対して高速鉄道である新幹線では小さなリスクも大きな事象に結びつく可能性があることや、頻度が低くとも被害は重大になる可能性が高いという特状があることを踏まえ、新幹線の安全性向上の取り組みを推進しています。

<新幹線の安全性向上の取り組み(全体像)>
 新幹線の安全性向上の取り組みについては、過日発生した東海道新幹線車内における殺傷事件や小倉〜博多駅間における人と列車が接触した事象などをふまえ、列車内および鉄道施設のセキュリティの確保・管理に努めるとともに、地震や豪雨などの自然災害への備えについても、取り組んできたところであります。その中で、重大インシデントにおいては、特に私どもの新幹線車両の安全および運行オペレーションについて、先ほど申し上げた課題を解消するための取り組みを進めてまいりました。このたび、その進捗状況をとりまとめました。

新幹線の安全性向上の取り組み


【新幹線車両の安全確保】
 重大インシデント以降、車両所で行う車両が静止した状態でのいわゆる静的な視点での検査において、台車の超音波探傷による点検や目視による入念点検など、検査内容を見直してまいりました。また、重大インシデント発生の当日、当該の台車については、振動や音、温度など、走行中に様々な状態の変化が顕在化していたことが判明いたしております。これを踏まえ、走行中の車両の状態を監視し異常を検知するなどの動的な視点からの検査をより充実させる取り組みにも力を入れて取り組んでいるところです。

新幹線車両の安全確保

<新幹線の安全性向上の取り組み(発表メニュー)>
 この動的な視点による車両の安全確保の取り組みについて4点、発生の当日に異常を感じたにも関わらず運行を継続させた課題について、運行オペレーションの改善の取り組みについても2点ご紹介させていただきます。

車両の安全確保と運行オペレーションの改善

【車両の安全確保】
(1)台車の異常を検知するセンサー類の整備について
  台車の異常を地上の温度センサーで検知する台車温度検知装置については、2019年3月に1台目を徳山〜新山口駅間に整備する予定です。残り4カ所については、候補地としてはこのビジュアルのとおり現在検討を進めているところであります。車上にて異常を検知する取り組みとして、N700Aタイプの車両に空気ばね圧力で異常を検知する機能を今年度末までに全編成整備します。また、九州新幹線に乗り入れているN700系8両編成には、台車の振動で異常を検知する機能を2019年3月から順次搭載します。

1の1 台車の異常を検知するセンサーの整備

(2)車両保守担当社員(走行管理班)の拡充について
  今年の2月に、岡山駅に車両保守担当社員を配置し、運行中の車両トラブルに対する即応性を高めてまいりました。車両トラブルの対応に加えて、定期的な添乗調査や、車両所での分析結果に基づいた空調や乗心地などの現車確認なども行っており、引き続き動的な視点での検査の充実に向けた、最前線での役割を担ってまいります。12月からは、更なる充実に向け、新たに広島駅にも車両保守担当社員を配置する準備を進めております。

1の2 車両保守担当社員(走行管理班)の拡充


(3)車両データを活用した品質向上について
  現在、運用中の車両状態データを分析し、機器の異常やその兆候の検出、定期検査における確認項目の支援などを行うシステムの製作を進めています。すでに、先ほど述べた車両添乗での調査に役立てるなど、一部機能の試行を開始しており、2019年度にシステムを完成させ、2020年度からそのシステムを用いた検査体制に本格的に移行する計画です。

1の3 車両データを活用した品質向上

(4)音から異常を判断する技術開発
  車両の異常を検知する新たなツールとして、列車の走行音から異常を検知できないかという観点での技術開発です。地上で収録する走行音を解析し、異常を検知して指令員に通知する技術につきまして、株式会社NTTデータ様などのIoTソリューションを活用し、現在、実証実験を推進中です。2019年度下期の導入を目指して、今後さらに検討を深度化させてまいります。

1の4 音から異常を判断する技術開発


【新幹線のメンテナンスの全体像】
 これらの取り組みを相互に連携させることにより、走行中の車両の状態を連続的に監視し、異常をより早期に検知し対応できる体制を実現してまいります。

新幹線車両のメンテナンスの全体像

【運行オペレーションの改善】
(1)東京新幹線総合指令所の改善
 車両に異常が発生した際に即応できる体制の整備として、今年1月末から車両保守業務経験者を東京新幹線総合指令所へ配置し、安全に関する判断が迅速かつ適切に行える体制を構築しています。また、今年2月からは指令所の指令員が現地の乗務員などを的確にサポートできるよう、タブレット端末を用いて複数名でやり取りできる会議用アプリを導入し、指令所と現地の間で車両状態などを相互に把握して、車両点検における詳細な点検箇所の指示や車両の復旧・修繕手配などに活用しています。これらの体制やツールの整備により、例えば乗務員から異音などの申告を受けた場合の対応などにおいて、効果を発揮しているものと考えています。

2の1 東京新幹線総合指令所の改善

(2)教育・訓練などの充実
 重大インシデントにおいて、関係者間の認識のズレや、判断の相互依存といった課題がございました。
 社員の教育・訓練につきましては、これらの解消に向けて取り組んでまいりました。「合同シミュレーション訓練」は、関係者間の連携を強化することを目的として、指令員、乗務員、車両保守担当社員といった異なる立場の社員が参加し実施しております。また、実際に本線上を走行する列車内での「列車走行訓練」を今年の5月に実施いたしました。これは先ほどの合同シミュレーション訓練などにより学んだことを実際の走行する車両においても実践できるかという観点で実施するとともに、「安全であることが確認できない場合は躊躇なく列車を停止させる」ことを実際に経験する訓練といたしております。
 また、車両で使用している油脂類が焦げたにおいや、車両から発生する音を実際に体感する教育を、全乗務員に対して実施いたしました。
 実際に体感することをとおして、通常と異なる状況についての感度を高めるために今後も継続的に実施してまいります。

2の2 実践的な教育・訓練の充実

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