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ニュースリリース

2015年12月16日
経営関連

12月定例社長会見

詳細

 先週の12月11日(金曜日)、JR神戸線 摩耶の新駅建設予定地において工事用の足場が倒れ、長時間にわたりお客様にご迷惑をおかけする事態を発生させました。ご利用のお客様に多大なるご迷惑をおかけしましたことにつきまして、あらためておわびを申し上げたいと思います。解体作業の施工ステップごとで、強風に耐える力の確認が不足していたと考えられます。当社におきましても、鉄道の安全運行確保は非常に大事なことでございますので、施工会社との関係など問題を洗い出しまして、さらに原因究明をしたうえで再発防止に向けた対策をしっかりと講じてまいります。

【2015年(平成27年)の振り返り】
 1年を振り返りますと、3月には北陸新幹線が金沢まで開業するという大きなイベントがございました。また、今年は山陽新幹線全線開業40周年ということで、当社の収入状況が大変好調に推移しておりますのも、北陸が注目されておりますが、ボリュームの大きい山陽新幹線が5%以上のご利用増となっていることが大きく寄与しております。非鉄道事業につきましては、昨年来仕込んでまいりましたさまざまなリニューアル案件や「LUCUA 1100(ルクア イーレ)」の開業、あるいは不動産関係の分譲といったことが今年花開くときになっているということもございまして、経営面では1年大変順調に過ごさせていただきました。
 一方で、先ほどおわび申し上げましたようなことや車両部品の落失、架線の切断、そして長時間の輸送障害も発生しておりまして、反省すべき点も課題も見えてきたと思っております。
 来年4月に開業予定の「京都鉄道博物館」、再来年に運行開始をめざしております「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」などにつきましても、しっかりと準備を進めてまいります。

1 最近の営業・輸送概況
 11月の運輸取扱収入は、対前年103.7%と前年を上回りました。これまで北陸新幹線の開業効果は4ポイント程度あるのではないかと申しておりましたので、それを差し引きますとほぼ対前年100%くらいですが、11月は文化の日が飛び石の連休になったということで、前年と比べまして少しマイナス要素であったわけですので、比較的好調に来られたのではないかと思っております。
 12月の運輸取扱収入は、14日現在で105.4%となっており、引き続き好調に推移しているのではないかと考えております。
 12月25日から1月5日までの年末年始期間の予約状況につきましては、対前年108%となっております。北陸新幹線の開業効果が大きいわけですが、今年は年末年始が休みのとりづらい曜日配列となっている中で、概ね昨年と同程度のご予約をいただいております。

 北陸新幹線のご利用状況は、開業から11月末までの平均で1日あたり約27,000人のお客様にご利用いただき、10月までとほぼ同様でございます。昨年の特急「はくたか・北越」との比較では308%ということで、引き続き多くの方にご利用いただいております。
 ご利用状況につきましては、収入状況とほぼ同傾向で推移していると見ております。

○運輸取扱収入の状況(前年同日比)
対象期間 収入計 近距離券 中長距離券 定期券
11月 103.7% 100.6% 105.4% 100.6%
12月
(12月14日まで)
105.4% 101.3% 106.9% 103.1%
27年度累計 109.4% 104.1% 110.5% 110.7%

 ※注釈 実績は直営の速報値です。駅などでの取扱高(消費税を含む)を示します。

○ご利用状況(前年同日比)
対象期間 山陽新幹線 在来線特急 アーバンネットワーク
11月 101% 101% 101%
12月
(12月14日まで)
106% 102% 103%
北陸新幹線 ご利用者数(万人) 前年比
11月 86.7 319%
12月
(12月14日まで)
28.7 309%

 ※注釈 実績は速報値です。
 ※注釈 北陸新幹線は「上越妙高〜糸魚川駅間」のご利用実績です。
 ※注釈 北陸新幹線の前年比は在来線特急「はくたか・北越」(直江津〜糸魚川駅間)のご利用実績との比較です。

2 さらなる報告文化の醸成に向けた取り組み
 福知山線列車事故以降、このような重大事故を二度と発生させないためには、事故の背景要因に基づくさまざまな分野にわたる対策と分析が必要であると考えております。特に、未然防止に向けましては、安全に関する情報を多く収集し、それを安全対策に活かすことが重要であると考えております。
 事故直後に策定した「安全性向上計画」におきましても、軽微なミスを処分の対象外として、報告しやすい環境づくりに着手すべきだということで取り組んでまいりました。その後、平成20年に「安全基本計画」をスタートさせるにあたり、リスクアセスメントという考え方を導入いたしました。リスクの洗い出しと同時に、より報告しやすい環境を整えるため、軽微なミスについては処分の対象外とするということで、「安全報告」という概念を拡大していこうということで取り組んでまいりました。こうした取り組みの成果は、ヒューマンエラーのバックアップとしての設備・機械、いわゆるハード対策に活かされてきたと認識しております。
 しかし、機械は故障することもありますし、最後は人間により事故を防止する必要がありますので、ヒューマンファクターという、いわゆる人系のソフト対策も大切であるという認識を持ってきておりまして、安全研究所を設立して以降、ヒューマンエラーの問題について研究をしてまいりました。このようなプロセスを経まして、ヒューマンエラーがなぜ発生したのかなど、ヒューマンエラーに関する情報をこれまで以上に社員から積極的に収集し、分析した結果を教育や新たな対策に活かしていく必要があるという考えに至ってきており、それらを実現していくためにさまざまな議論をしてまいりました。一方で、福知山線列車事故のご被害者様や社外有識者の方々にもご参加いただき、さまざまな計画を積み重ねると同時に、「安全フォローアップ会議」においてもご提言をいただいてまいりました。結果といたしまして、軽微な事象以外につきまして、ヒューマンエラーであっても処分の対象としている現在の社内の仕組みを見直し、特に私どもが事故当時に指摘された個人の注意力に依存する傾向を見直すことで、さらなる報告文化の醸成と「全員参加型の安全管理」の実現をめざしていくことが不可欠であるとの認識を深めてまいりました。
 以上のことから、今回、これまで処分、マイナス評価の検討対象としてまいりました「鉄道運転事故」「輸送障害」「注意事象」につきましても、本人が十分注意していたにもかかわらず発生した「ヒューマンエラー」に起因するものであれば、処分、マイナス評価の対象から除外することとしたいと考えております。当然でありますが、意図的なルール違反など悪質なものにつきましては、従来どおり処分、マイナス評価の対象とすることは必要であると思っておりまして、そのような重大なものにつきましては、一定の判定をするような委員会で判定していくことを考えております。
 いずれにしましても、「ミスを問わない」ということは「ミスをしてもよい」ということではなく、長期的、継続的な観点から、重大事故の未然防止に向けて安全に関する情報を得るために行うものです。社内の認識をしっかり意思統一して、来年春から実施できればと考えております。繰り返しになりますが、事故・事象に至ったプロセスの情報を重大事故の未然防止に使いたいというところが主眼でございます。お客様に被害が及ぶような事故につきまして、事象によりましては、社会的にも個人的な法的責任が問われることがありますが、被害が出ているにも関わらず社内処分を科さないということもありうるわけでありまして、そういった点につきまして、私どももなぜといったところをしっかりとご説明したうえで、私ども社内の問題だけではなく、趣旨についてのコンセンサスが得られるようにお話をしてまいりたいと思っております。平成28年4月1日より実施したいと考えておりまして、この方針の社内への浸透をしっかりとやらせていただいて、全員で報告文化を醸成していけるような安全管理をめざしていきたいと考えております。

事故区分と処分の検討対象の変遷(ヒューマンエラーに起因する事象)

3 新たな防風柵の完成とさらなる追加整備の実施
 琵琶湖の西側を走る湖西線は、強風による米原回りのう回運転など輸送障害も発生しており、これまでも対策を立ててまいりました。平成20年には比良〜近江舞子駅間で、平成24年には近江舞子〜北小松間で防風柵を整備し、整備前と比較しますと、運転見合わせでお客様にご迷惑をおかけする時間を概ね6割から7割程度低減することが可能になっております。防風柵を整備いたしますと、運転見合わせの規制値を風速25メートルから30メートルまでに緩和できるといったことがございます。徐行につきましても同様に、風速で5メートルほど緩和できます。
 現在は志賀〜比良駅間で約2.5キロの防風柵を整備しており、来年の2月初旬には完成をむかえることとなりました。これにより、同区間での運転見合わせの時間は整備前と比較して概ね7割程度低減することを見込んでおります。
 これらに加えまして、和邇〜志賀駅間、近江中庄〜永原駅間、永原〜近江塩津駅間でも新たに防風柵を追加整備することといたしました。和邇〜志賀駅間は平成28年度内、他2区間は平成29年度内の完成を予定しております。

湖西線の防風柵整備

 日本海に面して走る北陸線も、同様に風規制でかなりの時間ご迷惑をおかけしておりまして、防風柵の設置を進めてまいりました。
 手取川橋りょうの防風柵は11月末に完成いたしました。梯川橋りょうの防風柵も来年3月には完成する予定でございます。これにより、同区間での運転見合わせの時間は整備前と比較して概ね7割から8割近くまで低減することを見込んでおります。

北陸線の防風柵整備

 湖西線、北陸線いずれもレール面から2メートル程度の柵を設置します。防風柵の整備によりまして、運転見合わせの風速が緩和されるということでございます。引き続き、列車運行の安定輸送確保のための対策を強化いたしまして、輸送サービスの向上に努めてまいります。

 防風柵(志賀から比良)(能美根上から加賀笠間)完成写真

4 山陽新幹線における携帯電話不感地対策
 今年、新大阪から新山口まで携帯電話がつながるサービスの提供区間を拡大しました。さらに、小倉〜博多駅間でも整備を進めておりまして、12月25日よりサービスを開始することとなりました。残りの新山口〜小倉駅間につきましても、関係機関と協議を進めながら、できるだけ早く整備できるよう努力してまいります。

携帯電話不感知対策

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