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ニュースリリース

2014年9月17日
経営関連

9月定例社長会見

詳細

今年の夏は、豪雨や大雨に大きな影響を受けました。特に、8月16日の福知山・丹波地方、8月20日の広島市での豪雨は、各地に多くの被害をもたらし、大きな爪跡を残しております。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました方々に心からお見舞い申し上げたいと思います。豪雨では鉄道の設備にも被害があり、福知山線(石生〜福知山駅間)では11日間、可部線では12日間運転を見合わせ、ご利用のお客様にはご不便、ご迷惑をおかけいたしました。沿線の皆様のご理解、ご支援もいただき、鉄道に関しては復旧させていただきましたが、街全体の生活が戻るまでにはまだ時間がかかると思います。今後も地域と共に出来る限りのことをしてまいりたいと考えております。

 そのような中、昨年の豪雨で大きな被害を受けて復旧を行っておりました山陰線と山口線については、8月中に全線で運転を再開させていただきました。山口線のSLやまぐち号についても、新山口〜津和野駅間の運行を再開しております。運転再開時には、駅や沿線から多くの方々にご声援をいただき、あらためて、鉄道が皆様にとって必要とされ、愛されていることを感じるとともに、感謝しているところでございます。今後も、地域と共に歩みたいということで、地域活性化に貢献していきたいと思っております。

 8月27日には、北陸新幹線の金沢開業に伴う運行計画の概要を発表させていただきました。開業に向けて地元の熱い期待、熱意が伝わってくるとともに、あらためて関西圏と北陸圏のつながりを強化していくことの大切さを感じているところです。金沢駅での新幹線と在来線特急との乗り換えをスムーズにし、また、北陸と関西の結びつきをしっかりアピールし、関西と北陸の流動が大きくなるようにしていきたいと考えております。開業まで半年を切っておりますが、今後も着実に準備を進めてまいります。

1 最近の営業・輸送概況
  8月の運輸取扱収入は前年比103.0%でした。消費増税分を除くと、ほぼ前年並みか少し上回ったと見ていただければと思います。券種別では、近距離券が103.5%、中長距離券が103.2%、定期券が100.3%でした。定期券も100%を上回っておりますが、消費増税分を除くとまだ100%にはなっていないと見ていただければと思います。台風11号、12号の接近および大雨の影響があったものの、その際に出控えておられた方に月の後半にご利用いただいたということだと思いますが、月の後半のご利用が好調に推移し、前年実績を上回りました。
 9月は16日現在で大変良い数字が並んでおりますが、9月は、敬老の日の3連休のご利用が増えたことや前年の台風の影響の反動分が入っているということでございます。

○運輸取扱収入の状況(前年同日比)
対象期間 収入計 近距離券 中長距離券 定期券
8月 103.0% 103.2% 103.5% 100.3%
9月
(9月16日まで)
110.4% 110.9% 110.3% 110.1%
26年度累計
(9月16日まで)
100.2% 104.4% 103.8% 85.4%

 ※注釈 実績は直営の速報値です。駅などでの取扱高(消費税を含む)を示します。

ご利用状況についても、収入とほぼ同様でございます。8月の在来線特急は97%でしたが、これは豪雨の影響によって前年実績を下回ったものです。
 9月についても収入と同様、敬老の日の3連休のご利用が増えたことや、前年の台風によるご利用減の反動によるものでございます。

○ご利用状況(前年同日比)
対象期間 新幹線 在来線特急 アーバンネットワーク
8月 102% 97% 100%
9月
(9月16日まで)
103% 109% 107%

※注釈 9月の実績は速報値です。

 9月14日から「和歌山デスティネーションキャンペーン(DC)」がスタートし、特急くろしお号の出発式や、白良浜でのオープニングセレモニーなど、盛大にオープニングを行うことができました。今回のDCは、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録10周年を契機としたキャンペーンです。大阪市交通局や南海電鉄と連携した高野山への割引きっぷの設定や、高野山と熊野・白浜・勝浦を結ぶ「高野・熊野アクセスバス」の運行により、世界遺産を存分に楽しんでいただける新しい観光ルートをご提案しています。観光列車「ハローキティ和歌山」号や「トワイライトエクスプレス」車両の運行、近畿日本鉄道と共同で「しまかぜ」と「トワイライトエクスプレス」を乗り継ぐプレミアム商品を企画するなど、この期間だけの新しい旅の魅力創出をしています。
 和歌山には、3年前に台風12号で甚大な被害を受けた地域もございますので、今回のDCで多くの方に足を運んでいただき、地域の復興の一助となればと思っております。ぜひ、魅力あふれる和歌山へお越しください。

2 フリーゲージトレイン(FGT)の開発状況
 いよいよ来年3月14日に、北陸新幹線の長野〜金沢駅間が開通します。まずは3月14日に向けて準備を確実に進めてまいりますが、約10年後の平成37年度には敦賀までの延伸が予定されており、すでに工事も始まっております。その先の敦賀〜大阪間については、私どもは一日も早い「フル規格」での開業を待望しておりますが、まだルート選定などの見込みが立っておらず、敦賀開業後の大阪延伸にはかなりの時間がかかるものと考えられます。
 この間、関西と北陸の間を移動されるお客様には敦賀駅での乗り換えが必要となり、ご不便をおかけすることになります。一度の乗り換えによる精神的負担は30分に相当するともいわれています。このため、お客様の利便性を損なわないように新幹線と在来線を直通運転できるフリーゲージトレインの開発に取り組んできております。
 今回はフリーゲージトレインの開発の状況について説明させていただきます。

 フリーゲージトレインとは、新幹線1435ミリメートル、在来線1067ミリメートルという異なるレールの幅(軌間)を直通運転するために、車輪の間隔を軌間にあわせて自動的に変換できる車両のことです。

フリーゲージトレイン(FGT)とは

※注釈 フリーゲージトレインの仕組みはこちらをご覧ください。

 これまで、当社も参画していたフリーゲージトレイン技術研究組合が鉄道・運輸機構の委託を受けて開発を進めてきておりました。現在は、JR九州が長崎新幹線での適用に向けて、鉄道・運輸機構の委託を受け、新たな試験車両による走行試験を実施しています。当社におきましては、これまでに得た技術を基に、国や鉄道・運輸機構と連携して北陸新幹線に適したフリーゲージトレイン、北陸ルート仕様のフリーゲージトレインの実用化を目指して技術開発に取り組んでおります。

 その中でも、特に、北陸ルートの固有の課題が3つあります。

フリーゲージの3つのポイント

 1つめは、雪が降るエリアを走行するための「耐寒・耐雪」です。動く部分への雪の介在や台車に付着した雪を消すための消雪装置も課題として解決していかなければなりません。
 2つめは、新幹線は交流25000ボルト、在来線の敦賀以南は直流1500ボルトという異なる電化区間を通るという「交直流対応」です。特に今回のフリーゲージトレインは、在来線も走行するため新幹線より少し小さいものですので、機器の小型化、軽量化、そして騒音を出さないといったことも課題となってきます。
 3つめは、地震発生時に車両の大きな逸脱を防止するための「地震対策」です。北陸新幹線では車両逸脱防止L型ガイドというものが使われていますが、フリーゲージトレインには取り付けが難しいということで、工夫しなければなりません。
 こういった北陸ルートの固有の課題に対して、国、鉄道・運輸機構と連携しながら実用化を目指しております。

 これらの課題を解決するためにこれまで検討を重ねてきましたが、検討した対策の効果を検証するために、このたび、敦賀駅の機関車庫の跡地に長さ約180メートルの実験線を敷設し、今年の10月から試作機による試験を開始いたします。

模擬台車による軌間変換試験

 実験線では、車輪の間隔が変化する試作の台車(模擬台車)と、車輪の間隔を変える装置(軌間変換装置。以下、GCE)を設置します。そして、車体が付いていない試作台車単体を、けん引車を用いてGCEを通過させ、軌間変換の試験を行います。
 この試験では、軌間変換の動作がスムーズにいくか、耐久性があるか、雪が介在したときの挙動がスムーズにいくかなどについて確認を行う予定です。また、この実験線の設備を活用して、国や鉄道・運輸機構が進めている試験なども行うこととしております。
 このGCE実験線については、10月6日に開所式を行う予定です。

 今後の開発予定ですが、今年度中にはフリーゲージトレイン試験車の設計・製作に着手したいと思っています。この試験車には、敦賀のGCE実験線での試験結果も反映させていきます。
 計画では、6両編成の試験車を製作し、走行試験を平成28年度中に開始したいと考えております。走行試験は、新幹線区間としては北陸新幹線、在来線区間は北陸本線と湖西線で実施する予定です。

3 湖西線の強風対策
 琵琶湖の西側を走る湖西線は、比良山系から吹き降ろす強風により列車の運転を見合わせるなど、大きな影響を受ける線区となっております。そのため、平成20年12月に比良〜近江舞子駅間、平成24年2月には近江舞子〜北小松駅間に防風柵を整備し、線路上の風を遮蔽することで、安定輸送に一定の効果を上げてきました。これまで設置してきた区間につきましては、昨年度の実績では、運転見合わせに相当する時間をおおむね26%まで削減することができております。
 今回、志賀〜比良駅間の2.5キロメートルに新たに防風柵を設置いたします。

湖西線の防風柵整備

 防風柵は従来と同じ強化プラスチック製で、高さはレール面から2メートルとなっています。

設置イメージ

 この防風柵を設置することで、比良山系から吹き降ろす北風に対しては運転規制値を見直すことができます。従来は風速20メートル以上で徐行であったものが風速25メートル以上に、風速25メートル以上で運転見合わせであったものが風速30メートル以上となり、安全を防風柵で確保したうえで運行を継続できるようになります。これによりまして、新たに設置する区間につきましても、運転見合わせ時間をおおむね3分の1以下に減らせると見込んでおります。
 今年度内には設置工事に着手し、来年の冬には使用開始したいと考えています。完成しますと、志賀〜北小松駅間で全長6.7キロメートルの防風柵となります。

 さらに、強風対策だけではなく、湖西線の輸送品質を向上し、お客様にご迷惑をおかけしないために、和邇駅に折り返し設備を新設いたします。

和邇駅の折返し設備整備

 この折り返し設備の整備により、強風などで運転を見合わせる場合にも、ご利用のお客様の比較的多い和邇駅までの運転を確保できるようになります。また、京都駅で運転を取り止めていた新快速列車についても、堅田駅まで運転することができるようになり、お客様のご不便を解消できるのではないかと思います。
 和邇駅の折り返し設備については、運行管理システムなどとの関係もございまして、平成31年の使用開始を予定しております。

 最後に、来年3月10日に山陽新幹線が岡山〜博多駅間開業40周年を迎えます。
 それに先立ち7月10日に、博多総合車両所は開設40周年を迎えました。その博多総合車両所で10月19日に開催する「新幹線ふれあいデー」では、40周年を記念して特別にドクターイエロー車内見学会を行います。
 事前申込で当選された100組限定とさせていただきますが、これに加えて当日、J−WESTカード会員様、当日J−WESTカードにご入会された方対象の抽選会で当選した10組の方にも見学いただけるようにしたいと思います。
 新大阪から博多総合車両所へ直通する団体列車も運転いたしますので、ぜひ博多総合車両所一般公開「新幹線ふれあいデー」にお越しいただければと思います。

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