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ニュースリリース

2013年6月19日
経営関連

6月定例社長会見

詳細

1 最近の営業・輸送状況
 (1) 運輸取扱収入の状況
 5月の運輸取扱収入は、前年比100.6%でした。4月が前年比100.8%であり、ほぼ前年を少し上回るペースであると言えます。
 6月は、17日時点で前年比103.2%となっております。6月の前半が終わった段階であり、分析は難しいですが、ゴールデンウィーク終了後の方がお客様の動きが出ているように感じています。ゴールデンウィーク期間中の中長距離券の発売は必ずしも良くなく前年を下回ったものの、その後の平日におけるご利用が好調で、前年実績を上回りました。
 近距離券は、4月26日に開業したグランフロント大阪による効果も出ていると考えられ、前年実績を上回りました。大阪駅のご利用状況も引き続き好調です。
 定期券は、購入時期のズレにより、前年実績を下回りました。

○運輸取扱収入の状況(前年同日比)
対象期間 収入計 近距離券 中長距離券 定期券
5月 100.6% 102.1% 100.6% 98.6%
6月(17日まで) 103.2% 106.7% 101.9% 103.2%

 ※注釈 駅などでの取扱高を示します。
 ※注釈 直営の速報値です。

 (2) 新幹線・在来線特急・アーバンネットワークのご利用状況
 運輸取扱収入同様、新幹線は5月後半のご利用が好調でした。
 アーバンネットワークについても、先ほど申し上げた通りです。加えて最近では、「あべのハルカス」が開業し、天王寺駅やショッピングセンター「天王寺ミオ」のご利用状況も好調に推移しており、例えば天王寺駅では、6月12日以降、近距離券が前年比125%となっています。
 また、「ピオレ姫路」が開業した姫路駅や、「umie」(ウミエ)が開業した神戸駅のご利用状況も引き続き好調であり、アーバンネットワークのご利用増加につながっていると考えております。

○ご利用状況(前年同日比)
対象期間 新幹線 在来線特急 アーバンネットワーク
5月 103% 102% 101%
6月(17日まで) 101% 102% 105%

 ※注釈 6月の数値は速報値です。

2 地震発生時の対応 今後の方向性について
 
先般の淡路島付近での地震の際には、輸送上たいへんご迷惑をおかけしました。その後、運転規制の仕方につきまして、いろいろと検討をしております。
  一つには、地震発生時に列車を停止させなければならず、現在、地震に対して即時性の高いガル値を使用しています。これにつきましては、引き続き停止させるためには、ガル値を使うべきであるとの判断をしています。しかし、その後の運転規制の考え方につきましては、「計測震度」の考え方を取り入れたいと考えております。現在のガル値での制御の仕方を説明しますと、地震が発生した場合、80ガル以上で一度停止させて、その後時速15キロで最寄り駅に収容して、全線を徒歩で巡回し、その上で初列車が時速30キロの徐行により確認しています。また、40ガル以上80ガル未満では、要注意箇所があるかどうかでスポット巡回をするかどうか変わってきますが、要注意箇所がない場合、初列車が時速15キロ、その確認後に時速45キロの確認をした上で所定運転となりますので、時間を要しています。しかし、新幹線ではガル値ではなく、「計測震度」という考え方を取り入れています。計測震度は構造物に対する破壊力や被害の影響度を測ることができます。この考え方を取り入れて、運転規制の判断の材料にし、早く復旧できないかと考えています。
  次に、徐行パターンの見直しですが、現行80ガル以上で時速30キロ、それ未満で時速15キロ、時速45キロの3パターンある徐行パターンを、整理・統合できないか検討しているところです。先般の淡路島地震では、2つの区間で停止、8つの区間で徐行となりましたが、これらが大幅に少なくなることが見込まれます。

現行の地震発生時の運転規制フロー
 
 また、情報発信の方法ですが、淡路島地震の際には、こうした運転規制の徐行がありましたので、運転再開とご案内をしてしまうと、通常ダイヤに戻ったと受け止められ、混乱がありました。このことの反省から、5月末からホームページと駅のディスプレイにおいて、「本数わずか、徐行」というご案内メニューを増やし、6月8日に発生した和歌山北部での地震の際にはこのようなご案内をいたしました。

駅のディスプレイでのご案内イメージ
 
 最後に、淡路島での地震につきましては、ご利用の皆様方に大変ご迷惑をおかけしましたので、このことをお詫び申し上げますとともに、今後できるだけ早急に改善策を講じて、安全の確保を前提にしながら、スムーズな運転再開・ご案内ができるよう努めてまいります。

3 奈良線 輸送品質向上の取り組み
 奈良線は、平成2年頃に一日平均2万人を超えるご乗車がありましたが、現在は約2倍の5万人超となっております。当社発足当時との比較では約3倍となっており、輸送改善施策によって着実にご利用数の伸びが見られる線区です。

奈良線のご利用状況(東福寺〜上狛駅間)

 一方で、踏切の多さやホームの混雑などの安全面から課題が残っております。また、単線区間では一旦輸送障害が発生しますと、ダイヤ乱れが増幅されて回復に時間が掛かるという課題も残っております。
 「中期経営計画2017」では、近畿エリアをブラッシュアップするという戦略のもと、輸送品質の向上を掲げておりますが、このたび、地元の7つの自治体のご協力のもと、複線化事業を進めていく合意のめどが立ちましたのでお知らせいたします。

 (1)複線化事業 
 今回の事業では、新たにJR藤森〜宇治駅間、および新田〜城陽駅間を複線化いたします。これにより、京都〜城陽駅間が全て複線となります。また、山城多賀〜玉水駅間の複線化も行い、奈良線全線で34.7キロメートルある中で22.2キロメートル、全体の64パーセント、現在の3倍弱の区間が複線となります。(現在は8.2キロメートル、全体の24パーセントが複線区間)

奈良線 輸送品質向上の取り組み

 (2)踏切保安度向上などの取り組み
 複線化に合わせて、踏切の安全対策も考えております。
 まず、障害物検知装置について、従来は、レーザー光線を使って、「線」で障害物を検知するものでしたが、新たに、「立体的」に一定のエリアの障害物を検知する「3次元レーザーレーダー式障害物検知装置」を10カ所程度に導入することを検討していきたいと考えております。

3次元レーザーレーダ障害物検知装置

 また、踏切警報時間の制御についても改善いたします。従来は、列車が接近すると、通過・停車の区別なく、踏切警報装置が鳴動して遮断しておりました。
 新しく考えておりますのは、通過列車と停車列車を区別することで、踏切警報時間を短くするというものです。国交省では、「賢い踏切(通称)」という名称を付けられておりますが、これを10カ所程度に導入したいと考えております。
 これらの取り組みによって、踏切の保安度向上による安全性向上や、安定輸送の確立といった効果が期待でき、異常時でのダイヤの回復が飛躍的に早くなると考えております。嵯峨野線の複線化によって、遅れる列車の割合が23%から8%になったことから、奈良線でも遅れる列車の割合が3分の1程度に減少するのではないかと見込んでいます。

踏切警報時間制御装置

 (3)京都駅奈良線ホーム、および六地蔵駅の改良
 さらに、京都駅の奈良線ホームである8番・9番ホームの幅を4メートルから5.5メートルに拡幅いたします。また、現在は8番・9番ホームから橋上駅舎へ迂回する形で移動していただいておりますが、8番・9番ホームから橋上駅舎に真っすぐ移動いただけるよう、橋上駅舎につながるエスカレーター・階段を新設いたします。合わせてエレベーターの新設も考えております。これにより、8番・9番ホームから橋上駅舎まで移動するのに現在130秒程度要していますが、70秒程度に半減する効果が見込まれるとともに、混雑が解消され、安全につながると考えております。

京都駅 奈良線ホーム改良 平面図

京都駅 奈良線ホーム改良 写真

 次に、六地蔵駅の改良についてです。複線化事業に合わせ、ホームを京都方に移設し、ホームの幅を広げます。六地蔵駅のホームは地形上カーブが急で、列車とホームの間に隙間ができ、現在は櫛状ゴムを導入して隙間対策をしております。ホームを京都側に移し、真っすぐにすることにより、列車とホームの隙間が改善されます。

六地蔵駅ホーム改良

六地蔵駅ホームの現状

 そのほか、複線化に合わせ駅のアクセス向上を図るべく、バリアフリーや駅周辺の整備につきまして、沿線市町村と検討を進めてまいります。

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