2007年度 環境報告書
地球環境を汚染する可能性がある物質については適正に保管・管理するとともに、使用量の削減や代替品への見直しによって排出量を少なくするための取り組みを進めています。
PRTR法への対応
各事業所では、排出される化学物質の量を環境管理システムにより把握するとともに、保管・管理の徹底、使用量の削減に取り組んでいます。
2006年にPRTR法に基づき行政に排出量を届け出た事業所は12箇所となっています。塗装工程などで使用される有機溶剤や気動車の不凍液として使用される物質が届出対象となっています。
PRTR法に基づく届出排出量
名称 | 排出量 |
---|---|
キシレン | 15,371キログラム |
トルエン | 16,660キログラム |
スチレン | 3,660キログラム |
ハイドロクロロフルオロカーボン | 5,000キログラム |
エチレングリコール | 68,330キログラム |
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 | 100キログラム |
エチルベンゼン | 4,086キログラム |
石綿 | 430キログラム |
3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン | 15キログラム |
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) | 100キログラム |
ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル | 1,900キログラム |
ベンゼン | 93キログラム |
PRTR:有害性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握し、集計し、公表する仕組み。
オゾン層破壊物質の管理
現在、車両や建物の空調機などに冷媒としてフロンガスを使用しています。そのうちCFC(クロロフルオロカーボン)とHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は、太陽が発する強力な紫外線から地球を保護しているオゾン層を破壊する物質として「オゾン層保護法」によって使用が規制されています。
これらの物質を、よりオゾン層に与える影響が少ない物質に転換するとともに、空調機のメンテナンスや廃棄の際には大気への放出を防止するために専用の回収器を使用し、オゾン層保護に努めています。
フロンガスの回収
CO2以外の温室効果ガスの管理
CO2以外にも、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、PFC(パーフルオロカーボン)、SF6(六フッ化硫黄)など、地球温暖化の原因となるガス類に対しても使用から廃棄に至るまでの状況を把握し、大気への放出防止や厳重な管理を行なっています。
HFC、PFCについてはオゾン層破壊物質(CFC、HCFC)の代替品として使用されています。また、変電所の整流器などの冷却材としても使用されていますが、2004年12月に電化開業した加古川線では、自然空冷式の整流器を使用した変電所を建設しています。
排出水の管理
車両のメンテナンスを担当する事業所では、排出水処理装置を設置し、法規制を順守した万全な検査とチェックを行ない、徹底した排出水の管理を行なっています。
排出水処理装置のメンテナンス
排出水の管理
揮発性有機化合物などの管理
列車の車体や地上設備など、多くの場所で塗料を使用していますが、塗料の種類によっては環境に悪影響を与える可能性のある物質を含んでいます。
塗料の使用量を削減するために、ステンレスの車体を採用したり、橋梁・電柱などへの構造物へ塗装の必要がない耐侯性鋼材を使用したりしています。また油性塗料から水性塗料への転換の検討も行なっています。
ステンレス車体
耐侯性鋼材を使用した橋梁
ジクロロメタン使用量の削減
特定化学物質専門部会では、塗料の剥離剤や接着剤などの一部に含まれるジクロロメタンの使用量削減に取り組んでいます。ジクロロメタンを含まない材料への代替を図るなどして、2000年度約7,060キログラム使用していたものを2006年度には38キログラムまで99.5%削減しています。
PCB汚染物の処理
変圧器、コンデンサ、蛍光灯安定器やPCB油が付着したバラストや汚泥などのPCB汚染物については、「廃棄物処理法」や「PCB特措法」に定められた基準等に従って厳重に保管管理しています。
「PCB特措法」では2016年までの処理が義務付けられており、処理施設の受け入れ体制が整ったことから2007年1月よりコンデンサから順次処理を開始しました。
PCB含有機器の保管状況
コンデンサ積込
環境汚染事故への対応について
当社の各事業所において展開している環境管理システムでは、環境汚染事故の防止に対しての取り組みを実施しています。しかしながら、平成18年5月に和歌山の変電所において、低濃度PCBを含む絶縁油の漏油事故を発生させてしまいました。あらためて、地域住民の方々をはじめ関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。この事故を受け、緊急時連絡体制やPCB廃棄物の保管状況、有害化学物質の取り扱い等について、全支社に対して緊急点検指導を実施しました。また、環境汚染事故の対応につきましては、平成15年から敷地内での極少量の油漏れなど「事故の芽」的なものも含め、迅速かつ適切な事故処理と関係各所へ情報伝達できるように、当社の内部基準として、初動時の対応から、事故処置手順、教育の実施や必要備品の整備等について「環境汚染事故等対処要領」を定め実施しております。また、発生した事故については原因を究明し、その対策を水平展開し、事故の再発防止に努めております。