「資源」循環の取り組み
循環型社会の実現に向けて
グループ全体で、設備の保守や工事、駅や列車から排出される廃棄物のリデュース、リユース、リサイクルの3Rを推進しています。特に鉄道資材発生品や駅や列車から回収されるごみのリサイクルについては目標を定めて取り組んでいます。
設備の保守や工事における廃棄物に関する取り組み
鉄道の安全運行を確保するための設備の保守や工事で発生した廃棄物は、受託工事を含め平成21 年度19.8万トンでした。
資源を有効に使用し廃棄物を抑制する設計・工法を採用し、また、発生した資材の再利用の推進に取り組むことで、平成21年度は95.3%を再利用しました。



駅や列車から排出されるごみに関する取り組み
駅や列車から排出されたごみは、平成21年度2.4万トンでした。
分別ごみ箱を設置し、お客様にもご協力いただきながら、空き缶やペットボトルなど資源ごみの回収に取り組むことで、平成21年度は96.6%をリサイクルしました。


3Rの具体的な取り組み
リデュース(使用資源の削減及び廃棄物の発生抑制)
ロングレール化・PCまくらぎ化
鉄道の安全を支えるレールやまくらぎは、安心して長く使用できる材料でなければなりません。レールについては、継目をなくしたロングレール化を進めることにより、レールの長寿命化と継目材料の削減を図っています。なお、ロングレール化は列車の走行抵抗や騒音・振動の低減にも効果があります。また、まくらぎは、昔から木材のものが多く使われてきましたが、木より長寿命なコンクリートなどの材質のまくらぎに取り替えることにより、廃棄物の発生の抑制を図っています。このことは原料となる木の伐採を削減し、森林保護にも貢献できます。

PCまくらぎ
PCまくらぎとは、「プレストレスト・コンクリートまくらぎ」のことで、コンクリート内に、鉄筋のほか、PC鋼線を挿入し、コンクリートに事前に張力を加えるものです。これにより、ひび割れなどが防げ、まくらぎの強度も増します。
レールの摩耗防止
レールは、車輪との摩擦により、少しずつ摩り減っていきます。この摩耗を防止するための装置を沿線に設置していますが、一部に太陽電池を電源に利用した装置を導入しています。
摩耗防止でレールの長寿命化に寄与しているほか、その電源に太陽電池を用いることで、より環境に配慮した装置としています。

太陽電池を電源に用いた電動塗油器
IC乗車券「ICOCA」の導入によるきっぷなどの削減
近距離利用の利便性向上(きっぷの購入が不要、改札機にタッチするだけで利用可)などを目的として導入されたIC乗車券「ICOCA」は、繰り返し使用することができるため、従来の磁気きっぷや磁気定期券の発行枚数削減にも効果があります。
これまで平成15年に京阪神エリアに「ICOCA」を導入し、その後も、「Suica」との相互利用(平成16年)、「PiTaPa」との相互利用(平成18年)などにより利便性を向上させ、カードのご利用を増やしています。平成19年には岡山・広島エリアにも「ICOCA」を導入し、これによりJR西日本ICサービスエリアにおけるIC乗車券のご利用は、全体の5割強程度と伸びており、近距離きっぷ(磁気きっぷ)の割合が相対的に減少してきています。

ICOCA定期券
リユース(再利用)
新幹線から在来線へのバラスト・レールの再利用

新幹線で使用されたレールやバラストの一部は、社内のリサイクル施設で在来線の基準を満たすように整備したうえで再利用しています。また、再利用できないバラストについては、破砕や選別を行い再生砕石(注釈1)、再生骨材(注釈2)、再生路盤材(注釈3)にするなどリサイクルしています。
〈主な用途〉
- (注釈1)建物基礎下の地盤整備や道路用砕石やクッション用砂・埋め戻し用砂などに使用します。
- (注釈2)コンクリートを造るうえで、セメント、水と練り混ぜて使用します。
- (注釈3)道路舗装の一部を構成する部材として下層に敷き詰め、道路表層から伝達される荷重を分散して受け止め地表に伝える役割をします。
リサイクル(再資源化)
分別ごみ箱の設置
お客様に分別にご協力いただきやすいように、投入口の形の改善やわかりやすい表示を心がけ、駅のホームには透明で最大4分別できるごみ箱を設置しています。一方、列車内ではスペースを勘案し、2分別のごみ箱設置を進めています。

駅ホーム用 分別ごみ箱

列車内用 分別ごみ箱
大阪リサイクルセンターでの"資源ごみ"の分別
大阪リサイクルセンターでは、平成17年度より京阪神エリアの駅や車両基地から排出される資源ごみを細分化し、リサイクル業者へ引き渡しています。"資源ごみ"として平成21年度は2,471トンをリサイクルしました。
鉄道資材発生品のリサイクル
レールとまくらぎの間で列車の衝撃を緩衝するために使用しているゴムパッドをチップ化し、踏切路盤材としてリサイクルしています。

きっぷのリサイクル
使用済みの乗車券は、正しく使用されているかチェックしたのち、製紙会社に送られ、トイレットペーパーや建材向けのパルプとしてリサイクルしています。
オフィスごみの削減
本社や支社で発生するオフィスごみのリサイクルに取り組んでいます。たとえば、本社ビルで発生したごみは2008年度81.4トンあり、分別回収の徹底を図り、そのうち63%をリサイクルしています。また、社内LANの構築や文書の電子化を進め、紙使用量の削減に努めています。さらに、プリンターのトナーなどリサイクル可能物品についてもリサイクルを行なっています。

リサイクルボックス
駅ビルやホテルにおけるごみのリサイクル
鉄道だけでなく、駅ビルやホテルでのリサイクルも重要な課題と考えています。大阪ステーションシティ サウスゲートビルディング(旧アクティ大阪)ではテナントから発生したごみを分別回収しテナントごとに計量のうえ、食品ごみや段ボール、カン、ビンなどをリサイクルしています。こうした取り組みが評価され、平成20年度大阪市長表彰(ごみ減量優良建築物)に選ばれました。

サウスゲートビル

大阪市長表彰の盾

サウスゲートビルでのごみ計量
考動エコ:木まくらぎのバイオマス燃料化
三原地域鉄道部では、年間約1,500本もの木まくらぎを廃棄物として処理してきましたが、間伐材をチップ化してバイオマス発電の燃料として再利用している事例を知り、木まくらぎも同様に再利用できないかと考えました。破砕業者、発電施設等と協議を進めるなかで、条例にも制約があることがわかりましたが、チップ化する際に発生する臭気濃度測定・破砕チップの発熱量調査・焼却灰に含まれる残留物のデータ分析など、疑問点を一つずつ解決し、成果を得られました。

木まくらぎのチップ化作業

常に意識的に状況の改善や問題の解決を追求するよう心がけています。これを貫くことで、今回、地球環境保護の取り組みとしても、経費削減の観点からも成果を得られました。今後も変わらず改善を追求し、次の課題にも挑戦していきます。