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地球温暖化防止:省エネルギー・CO2削減にむけて

わが国の京都議定書の達成計画では、運輸部門として鉄道単体のエネルギー効率向上だけでなく、民生部門もCO2を削減することとしています。JR西日本では、地球環境保護の観点から列車運行エネルギーのみならず、列車運行以外の省エネルギーにも取り組んでいます。

JR西日本の省エネルギー、CO2削減の取り組み

列車運行エネルギーの低減

JR西日本では消費エネルギーの約8割を列車運行エネルギーが占めており、これを低減させることが重要でCO2削減にもつながります。新しく導入する車両については、VVVFインバータ制御や回生ブレーキなど高効率型機器を導入した省エネルギー車両としたり、地上設備では、送電設備を見直し送電ロスを低減すると同時に、上下タイき電方式の展開やハイブリッド給電システムといった省エネルギー設備も積極的に導入しているほか、新たな技術開発も行っています。さらにこうしたハード対策だけでなく列車運行を見直し、回送列車の運転本数を削減したり、お客様のご利用にあわせて編成両数を増減したりするなどの取り組みも行っています。

列車運行エネルギー低減の具体的取り組みの図

バッテリー電車の開発 〜技術による変革への取り組み〜

新たな技術開発を通じて、省エネルギーな鉄道システムの構築を目指します。

近年の蓄電池性能の向上という世の中の動向を受け、省エネルギーかつクリーンなバッテリー電車の開発を進めています。バッテリー電車は、架線の有無に関係なく回生ブレーキが使用でき、高い省エネルギー効果を得ることができます。本開発ではリチウムイオン蓄電池の採用を目指しています。現在、国内に鉄道車両の動力用蓄電池の試験規格がありません。今回、海外の規格を参考に試験項目を独自に設定し、鉄道車両における適用性を検証しました。 その結果、鉄道車両に適用できる蓄電池を確認できました。
今後、バッテリー電車の開発を通じ、沿線の皆様に愛される鉄道づくりに貢献していきたいです。

技術部 東海 勝人

列車運行エネルギーと省エネルギー車両の導入推移

さまざまな列車運行エネルギーの低減努力によって、平成22年度の車両キロあたりの消費エネルギー(1両を1キロメートル走行させるのに必要なエネルギー)は22.1メガジュールと、当社基準年の平成7年度に比較して11.2%削減しています。
さらに、省エネルギー車両の導入など、列車運行エネルギーの低減に向けた取り組みを進めています。

JR西日本が目標管理として用いている平成7(1995)年度の係数にて算出しています。

省エネ法に基づく新係数では、20.7メガジュールとなり、平成7(1995)年度との単純比較では、16.9%の削減となります。

列車運行エネルギーと車両キロあたりの消費エネルギーの推移グラフ
省エネルギー車両の導入推移(営業車)グラフ

考動エコ:省エネ運転の推進 〜技術による変革への取り組み〜

省エネルギー、安全性・乗り心地向上等に有効な運転理論の研究を全社的に進めています。

篠山口列車区 運転士 上井 康裕(左)和田 明久(中央)岡田 孝(右)

篠山口列車区では、3年にわたって「エコ運転」を研究してきました。回生ブレーキの上手な活用、無理・無駄のない運転等、テーマを毎年設定し、データ収集から水平展開まで、ECOプロジェクトチームが中心となり、輪を広げながら進めています。
取り組みの大前提は、安全性と「エコ」の両立です。安全面で抜かりがあっては、いくら「エコ」でも意味がありません。また、運転士同士、自分 の仕事である「運転」について、真剣に話しあうことを大切にしました。
こうした研究で運転技量の“引き出し”を増やすことが、様々な状況への対応力向上につながると考えています。
(平成22年度運輸関係業務研究本社発表会 最優秀賞)

駅、施設、オフィスなどでの省エネルギー化・CO2削減の取り組み

駅施設などで使用されるエネルギーは列車運行エネルギーに比べれば少ないものの、自動改札機やエレベーターなどで約51億メガジュール消費されています。これらのエネルギーは列車の安全・安定輸送のため、あるいはお客様の利便性向上のために必要不可欠でありますが、施設の充実や駅施設のバリアフリー化にともないエネルギー消費量は増加傾向にあります。エネルギーの低減に向け、使用中の機器について、老朽取り替えなどにあわせて現在の設備規模にあった高効率型の機器に順次替えていくとともに、新たに導入する機器についても省エネルギー化の配慮を行っています。

列車運行以外のエネルギー消費の推移グラフ

エスカレーターの省エネルギー運転

インバータ制御を採用したエスカレーターを導入し、人感センサーによりお客様がいない待機時間帯に微速運転を行うことで、無駄な運転を少なくし、消費エネルギーの削減を図っています。

大阪駅のエスカレーター

照明・信号機の高効率化

信号機や照明の高効率化も重要な課題と位置づけています。信号機を電球式からLED(発光ダイオード)式にすることで、乗務員の視認性が向上し、消費電力の観点からも省エネルギー化が図られます。
事務所やホームなどの照明についても、白熱電球の蛍光灯化や省電力型蛍光灯、LED照明など高効率な機器の採用を進めています。

LED式信号機

エコステーション構想の推進

環境に優しい「エコステーション」を目指し、今後、太陽光発電や屋上緑化、省エネルギー照明などを取り入れ環境に配慮した駅づくりを進めています。

山陽本線鴨方駅(岡山県浅口市)では、ホームも含めてLED照明を全面的に採用し、駅の照明にかかわる消費電力を大巾に削減しました。

山陽本線鴨方駅(岡山県浅口市)のLED照明

考動エコ:灯油の使用量削減


吹田工場 助役 堀内 聡(左)係長 橋村 雄一(中央)
(株)ジェイアール西日本テクノス 吹田支店 クーラー課 班長 多部 雅哉(右)(現(株)ジェイアール 西日本テクノス 本社事業統括本部 検修事業部)

東日本大震災を受け、灯油の使用量削減に取り組みました。灯油の使用量の大半はボイラーの燃焼用として消費されています。従来、朝から17時半まで使用していた作業工程やシフトを、16時までに見直し、使用量を約3割削減しました。

工程変更に伴い、始めは社員に戸惑いもありました。しかし、社員の疑問にひとつずつ応え解決してきたこと、また、随時取り組み成果の現れたデータを見える化して担当者に知ってもらい、社会への貢献を実感してもらったことで、グループ会社も含め多くの社員の協力を得られ、取り組みを進めることができました。

考動エコ:保守用車のアイドリングストップ

(株)レールテック 広島機械営業所 技術員 榊 旦充(左)広島保線区 係長 瀬戸 浩(右)

小さな気づきも粘り強く追求する姿勢を大切にしています。

省エネルギーの方策を考えるなか、保守用車でのアイドリングストップを思い立ちました。万一バッテリーが上がっても起動できるよう、予備バッテリーの設置を決めましたが、狭い運転台のどこに、どんな仕様のものを設置するか、関係会社を交え議論を重ねることになりました。

配線など難しい課題が多く、断念することも考えましたが、よい気づきをどうしても形にしたいと検討を重ね、バッテリーの設置を実現でき、安全を確保してアイドリングストップを実施し、燃料の使用量も大幅に削減できました。

  • 鉄道は環境負荷の少ない輸送機関
  • 地球にやさしい電車たち
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