2009年度 法令順守の取り組み
地球環境保護における法令の順守は、事業活動の基盤をなす重要な課題であるとの認識のもと、日常業務における化学物質や廃棄物の適正な管理に取り組んでいます。さらに、環境汚染の防止や騒音・振動など地域の生活環境への配慮にも取り組んでいます。
特定化学物質の削減
PRTR法への対応
各事業所において、使用する化学物質の種類や量を把握するとともに、保管・管理の徹底、使用量の削減に取り組んでいます。
平成20年度にPRTR法(注釈1)に基づき行政に排出量・移動量を届け出た事業所は13箇所で、車両メンテナンス時の塗装工程で使用される有機溶剤や気動車の不凍液の主成分が届出対象となっています。
(注釈1)PRTR法とは、有害性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どのくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握し、集計し、公表する仕組みを定めたものです。(正式名称「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」)
化学物質名称 | 大気への排出量 | 移動量 | |
---|---|---|---|
下水道 | 当該事業所外 | ||
エチルベンゼン | 2,090キログラム | 47キログラム | 130キログラム |
エチレングリコール | 0キログラム | 0キログラム | 23,392キログラム |
キシレン | 12,020キログラム | 43キログラム | 445キログラム |
1,1′-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b) | 3,400キログラム | 0キログラム | 540キログラム |
スチレン | 360キログラム | 0キログラム | 1,260キログラム |
トルエン | 7,500キログラム | 190キログラム | 5,550キログラム |
PCBの削減
PCBが使用された変圧器、コンデンサ、蛍光灯安定器やPCB油が付着したバラストや汚泥などのPCB汚染物については、「廃棄物処理法」や「PCB特措法」に定められた基準などに従って厳重に保管・管理しています。
「PCB特措法」では平成28年までの処理が義務付けられており、平成19年1月よりJESCO(日本環境安全事業株式会社)の処理施設である北九州事業所、大阪事業所で当社保管のPCB機器の処理を開始し、平成20年2月からは北海道事業所で当社金沢支社管内の処理を開始しました。この結果、平成20年度末までに累計で116トンを処理しました。今後も保管・管理を徹底するとともに、法令に基づき確実に処理を進めていきます。

PCB搬出作業
PCBとは、ポリ塩化ビフェニルの略称です。難分解性のため環境に蓄積し、人の健康に影響を与えるとして、現在は使用が禁止されています。
揮発性有機化合物などの管理
列車の車体や地上設備など、多くの場所で塗料を使用していますが、塗料の種類によっては環境に悪影響を与える可能性のある物質を含んでいます。
塗料の使用量を削減するために、ステンレスの車体を採用したり、橋梁・電柱などへの構造物へ塗装の必要がない耐侯性鋼材を使用したりしています。また油性塗料から水性塗料への転換の検討も行なっています。

ステンレス車体

耐侯性鋼材を使用した橋梁
ジクロロメタン使用量の削減
特定化学物質専門部会では、塗料の剥離剤や接着剤などの一部に含まれるジクロロメタンの使用量削減に取り組んでいます。ジクロロメタンを含まない材料への代替を図るなどして、2000年度約7,060キログラム使用していたものを2007年度には全廃しました。
オゾン層破壊物質の管理
現在、車両や建物の空調機などに冷媒としてフロンガスを使用しています。そのうちCFC(クロロフルオロカーボン)とHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は、太陽が発する強力な紫外線から地球を保護しているオゾン層を破壊する物質として「オゾン層保護法」によって使用が規制されています。
これらの物質を、よりオゾン層に与える影響が少ない物質に転換するとともに、空調機のメンテナンスや廃棄の際には大気への放出を防止するために専用の回収器を使用し、オゾン層保護に努めています。

フロンガスの回収
環境汚染への配慮
土壌汚染の措置
用地の売却や建設工事において、その土壌から土壌汚染対策法に定める指定基準値を超過する特定有害物質が検出された場合は、同法に定める措置方法により適切に処理を実施しています。平成20年度については大阪駅新北ビル建設用地などで砒素・セレンなどの特定有害物質が検出されていましたが、行政の指導を受けながら、同法に則った方法で土壌搬出を行うなど、適切に処理を行っています。
排出水の管理
車両のメンテナンスを担当する事業所では、車体洗浄などで発生した汚水を処理するために排出水処理装置を設置しています。これら装置により、排出水は法規制を遵守した処理を行うとともに、装置の維持・管理に万全を期しています。

米子施設区では、西鳥取車両支部の排水処理装置の老朽取り替えにおいて、環境に配慮した検討を行い、エネルギー消費量が少ない電解処理方式を採用しました。
沿線環境への配慮
新幹線の騒音、振動、及び在来線の新設・大規模改良時における騒音に対しては、基準や指針などが定められており、地上設備、車両の両面から対策を推進しています。
新幹線においては、地上設備では、防音壁の設置やレールの削正(注釈1)、弾性まくらぎの敷設(注釈2)などを実施しています。また、車両では新幹線N700系において、車両の平滑化、低騒音パンタグラフの採用などを行い、環境との適合に配慮しています。
在来線においては、新設や大規模改良などの機会にあわせて、必要により防音壁の設置やロングレールを敷設するとともに、車両のモーターファンの低騒音化、車輪フラット削正(注釈3)などを行っています。保守作業においては、作業時に作業空間を遮蔽する遮音板を装備したマルタイ(注釈4)を使用し、作業騒音の低減に努めています。
- (注釈1) レールの削正:
列車が走ることでレールにできる凹凸を平らにすること。レールと車輪が走行中につねに密着するため騒音が低減します。 - (注釈2) 弾性まくらぎ:
コンクリートまくらぎの底面にゴムを貼り付けたもので、通過する列車の騒音・振動が低減します。 - (注釈3) 車輪フラット削正:
車輪に生じた偏摩耗を削って、もとの円に戻す作業のこと。 - (注釈4) マルタイ:
線路の上下及び左右方向の狂いを修正し、バラストを締め固める大型機械。

新幹線の防音壁

マルタイ
一般廃棄物における不適切な取り扱いについて
駅ごみ・列車ごみなど、一般廃棄物の処理については、地元の適正な事業者と委託契約を結び処理を行っていましたが、平成20年9月、米原駅など湖北地区の駅において、地元の行政機関の許可を得ていない事業者とごみの収集・運搬委託契約を結ぶという不適切な取り扱いがありました。契約については行政指導のもと改善しました。再発防止に向け、社内教育、ルール化の徹底を行い、事業者選定の厳正化を行います。