旅のみやげもの 煙をたなびかせ、津和野の山里を走り抜けるSL「やまぐち」号。

島根県津和野町 源氏巻[げんじまき]

 島根県の南西に位置する城下町・津和野。藩校養老館などの古い武家屋敷や白壁の土塀が続き、掘割を鯉が泳ぐ殿町通りの風景などが郷愁を誘う町だ。文豪・森鷗外の故郷としても知られる。

 歴史と伝統が息づく津和野土産の定番が「源氏巻」だ。餡をカステラ風味の薄い生地で包んだ焼き菓子で、しっとりとした皮とほどよい甘さの餡がつくる上品な味を楽しめる。

 源氏巻が生まれたのは、元禄時代の頃。当時の津和野藩主・亀井茲親[これちか]が勅使接待役を命じられたが、指導役の吉良上野介[きらこうづけのすけ]から数々の辱めを受けたことで、吉良を斬ろうと覚悟する。それを知った家老の多胡外記[たごげき]が機転をきかせて吉良に進物を贈り、事なきを得たという。この時に使われたのは小判を包んだお菓子だったが、その後、小判の代わりに餡を包んだものとなり、津和野を救った縁起のよい菓子として親しまれるようになった。

 津和野では現在、多くの菓子店で源氏巻が製造販売され、代表的なこし餡のほか、つぶ餡や抹茶餡を包んだものなど、店ごとに特徴のある源氏巻が見られる。

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