
日本最大規模の水仙群生地「越前海岸」。開花シーズンの12月〜1月にかけて、白い絨毯のように水仙が咲き誇る。(写真提供:福井市)
「羽二重餅[はぶたえもち]」は、もち粉、砂糖、水飴だけで作られる福井県の和菓子。県の特産品である絹織物「羽二重」が由来で、口の中でほんのりととろける絹のようになめらかな食感が特徴だ。
羽二重餅発祥の店で知られる老舗「羽二重餅総本舗 松岡軒」は、もともと織物屋を営んでいた。二代目は家業を継がず東京の和菓子屋で修行し、その技術を福井に持ち帰って和菓子店を開業した。1905(明治38)年に発売を開始すると、織物屋や商社が土産物として次々と買い求め、全国的に知られるようになったという。
羽二重餅の最大の特徴である「ひらひらとしたしなやかな風合い」は、創業者が考案したもち米の配合で決まり、現在も変わらずに伝承されている。
絹を彷彿とさせる白く、艶やかな銘菓は、今ではくるみ入りなど各店が個性を競い、福井県を代表するお土産の逸品として人気を博している。

主材料のもち米は京都丹波亀岡産のもち米と、福井県産のもち粉をブレンド。京都丹波のもち米は力強く、コシがあるのが特徴だ。

絹のしなやかな風合いを和菓子で表現した羽二重餅。もち米のやさしい甘さが広がる餅菓子。