ハレの日の食膳 くり

丹波栗の栗ごはん。兵庫県中部の丹波地方は古くから栗の名産地。丹波栗は大粒で風味が良く、甘みが強い。

 日本の四季を彩る五節句の一つ、「重陽[ちょうよう]の節句」は旧歴の9月9日、現在の10月の中旬頃。古代中国では奇数を陽の数とし、陽数の最大値である「9」が重なる9月9日を重陽と呼び、五節句の中で最も縁起の良い日とされている。貴族たちはその日に菊の香りを移した菊酒を飲み無病息災や長寿を願った。

 重陽の節句は秋の収穫を終えた時期であり、節句を祝う行事食として庶民の間では、秋の味覚の「栗ごはん」を食べる風習が今に残る。江戸時代頃から続き、それゆえ重陽の節句は別名「栗の節句」とも呼ばれる。栗は「山の新米」と呼ばれるほど栄養が豊富で、ビタミンB1やビタミンCのほか鉄分や食物繊維など疲労回復力や抗酸化作用があるという。この時期、黄金色の栗がたっぷり入った栗ごはんは見た目にもおめでたい。

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