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March 2010 vol.129
「吉野葛」は、奈良県吉野地方で採れる厳選された葛の根を原料とし、古くから伝わる「吉野晒[さらし]」という吉野地方独自の製法で精製した葛粉のこと。大峯山で山岳修行をしていた山伏たちが葛粉を携帯用の食料として持ち歩いていたものを、各地から来た修験者や参拝者が持ち帰ったため、吉野葛の名が全国に広まったといわれる。
葛根を採取するのは、12〜3月の寒い時季。吉野の山奥に入り、地中深く生えている根を掘り起こす。葛粉をつくるためには、その根を粉砕し、地下水に晒して澱粉[でんぷん]をもみだし、ゴミやアクを流すという作業を89回くり返す。これが吉野晒で、澱粉を約2カ月自然乾燥させると、美しい白色の吉野葛ができあがる。
吉野葛は、なめらかな舌触りとつるんとした弾力、透明感が特徴だ。葛湯や葛餅、葛饅頭をはじめとする和菓子のほか、胡麻豆腐やうどん、葛きりなど、料理にも幅広く使われている。