Blue Signal
November 2009 vol.127 
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西日本 美味礼讃 イメージ
能登の寒ぶり 石川県能登町

 北陸地方は11月下旬から12月になると、雪雲が覆うとともに強風が吹き、雷鳴が響き渡る。この天気は「ぶり起こし」といわれ、寒ぶり漁の始まりを告げる合図とされている。産卵に向けて栄養を蓄えたぶりが時化を避け、能登沖や富山湾に回遊してくるためだ。この時期に水揚げされるぶりは特に身が締まり、脂ののりが良いため「寒ぶり」と呼ばれ、珍重されてきた。

 寒ぶりは能登沖に仕掛けられた巨大な定置網にかかり、能登町の宇出津港や富山県の氷見港へと水揚げされる。近年、宇出津港で水揚げされた10kg以上で品質の良い寒ぶりは「宇出津港のと寒ぶり」としてブランド化が進められている。
 ぶりは大きさによって名前が変わり、石川ではコゾクラ、フクラギ、ガンド、ブリと名を変える。出世魚であることから縁起物扱いされ、お歳暮として嫁ぎ先にぶりを贈り、嫁の実家に半身を返すという風習がある。また、薄切りのぶりをカブで挟んだ郷土料理「かぶらずし」などもあり、石川の冬にぶりは欠かせない。ほかにも刺身や照り焼き、ぶり大根、ぶりカマなど、さまざまな寒ぶり料理が食卓を飾る。 イメージ
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