Blue Signal
March 2004 vol.94 
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陶芸のふるさと
陶芸のふるさと
牛ノ戸焼[うしのとやき](鳥取県河原町)
鳥取市を南北に貫く千代[せんだい]川を遡り支流の曳田[ひけた]川に入ると、初代小林梅五郎が天保年間に開窯した牛ノ戸焼の窯元がある。古くから登り窯の高温で焼かれた堅牢さが重宝され、水壺、徳利、すり鉢などの多彩な日用陶器を主に生産してきた。明治時代には全国に出荷され隆盛を極めるが、陶器の大量生産という時代の波に押され、大正時代には遂に窯元の存亡も危うくなる。

昭和のはじめこれを復興したのは四代小林秀晴。現在の鳥取民藝美術舘の創始者である吉田璋也[しょうや]や民芸運動の父である柳宗悦[やなぎむねよし]らの支援により、実用性を追求した民間の芸術運動「民芸」の中に新たな活路をみつけ復活する。白釉[はくゆう]、黒釉[こくゆう]、緑釉[りょくゆう]など豊富な釉薬[ゆうやく]を用いた、掛け分け、梅絵といった独特の意匠は、作品に素朴で馴染みやすい風情を与えている。
イメージ
「梅鉄絵大徳利」 鳥取民藝美術舘蔵
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