鉄道に生きる

山田 江美 やまだ えみ 鳥取駅 管理係

お客様の立場になって、より良い旅を案内する

目の前のお客様にベストを尽くす

「お客様との接点が多い営業の仕事が大好きです」。周囲がパッと明るくなるような笑顔でやりがいを語る山田。駅での業務は主に「営業」と「輸送」に分かれる。「営業」にはみどりの窓口にてきっぷの発売、変更を行う出札業務、精算所にてきっぷの払い戻しなどを行う精算業務、列車を利用するお客様のきっぷを拝見する改札業務などがある。また「輸送」には、輸送室で列車の通過・停車などの合図を出す駅運転取扱い業務、ホームでの列車入換業務などがある。山田は2008年の入社以来、営業・輸送の業務をひと通り経験し、2012年より鳥取駅の営業に携っている。

乗車券の販売や払い戻しの状況を若手と確認。コミュニケーションを密にすることで業務を円滑に進める。

「私自身が、おばあちゃん子だったこともあり、ご年配のお客様を見かけると自然にお声を掛けたくなるんです」。輸送業務ではなく、お客様との接点が多い「営業」を志望したのは、子どもの頃から高齢者と親しんできた彼女の体験によるところも大きい。

「ご年配のお客様には、若い方とは違う心遣いが必要だと思います。特に“分かりやすくご案内する”ということには気を付けています。例えば乗り換えなどのご案内も、印刷されたものより、手で大きく書いてさし上げた方が読みやすいし、間違いにくい。小さなことですが、お客様の立場になれば自然とそういうことが気になりますし、その時できることをしてさし上げたいと思います」。

お客様への思いは、自分自身に返ってくる

旅の見どころに足を運んで作った案内ボード。手書きのコメントから臨場感と温かさが伝わってくる。

 お客様の立場になって対応する。山田にはその大切さが再確認できた出来事がいくつかある。

「ジパング倶楽部に入会されている関東からのお客様が帰路、鳥取駅からご乗車される列車の発車時刻が迫っており、私がお荷物を持って乗車までご一緒したことがありました。後日、そのお客様からお礼のお手紙を頂戴し、とても感激しました。私にとっては特別なことではなかったのですが、お客様にとっては旅のうれしい思い出になっていたのだと知りました」。

 また、鳥取駅では駅全体としてお客様満足度向上のための取り組みがいくつかあり、その一つとして旅の魅力を伝える手作りの旅行案内ボードを作成したことがあった。

「自分たちで実際に観光地を巡って、そこで見たことや感じたことを書き込んだボードを皆で作成しました。お客様から『このボードを見て行ってきたけど、とても良かったよ』と言われた時は、やっぱりうれしかったです」。

 自分たちがお客様のことを考えて行動したことは、お客様から結果が返ってくる。そのことを経験から学んだ山田は、さらにお客様のために自分自身を高めていきたいという思いが強くなったという。

「先輩方は、何を聞かれても答えが早い。それはさまざまな選択肢からベストの答えを選ぶ根拠を持っているからです。私にはまだ自分の答えがベストだと思える根拠が乏しいと感じています。鉄道にはとても多くのルールがあり、判断に迷うことも多いですが、ルールの範囲内で、お客様に対してより良いご案内ができるように日々の勉強は欠かせません」。お客様のために。これからも絶えず学びを重ねていきたいと山田は考えている。

※ジパング倶楽部
年会費3,770円(税込)でJR全線の運賃・料金が最大3割引。
男性65歳以上、女性60歳以上で、ご夫婦のどちらかが65歳以上なら夫婦揃って入会できます。

駅全体でより良い接客のために

先輩が退職し、新しい若手社員が増えていくなかで、先輩の知識や経験を吸収し、さらにそれを若手社員に伝えることも担っていきたいと山田は語る。

「新人の頃、先輩社員が笑顔で接客している姿に触れて、自分もそうなりたいと思いました。これからは、私が若手の手本になる番です」。

 若手社員と共に、お客様がいい気分で旅立ち、いい気分で帰ってこられる駅を作っていきたい。その思いを行動として示したい。

キャンペーンの魅力を伝える壁面装飾をチームで制作。

「お客様満足度向上のための研修の一環として、人気のテーマパークに行ったことがあるのですが、そこで“掃除”のすごさに気が付きました。空間がきれいになって気持ちがいいだけでなくて、掃除をしている人は親しみやすいというか、とても話しかけやすいんですね。これは大事なことだと思って、さっそく私も始めました」。

 一人で始めた“いい気分の駅空間に”活動も今ではその輪が広がり、他の社員たちにも意識が芽生えている。

「職場をきれいにしよう!というスローガンや自己満足では意味がありません。ベースとしてお客様のことを考えながら、さまざまな取り組みに皆を巻き込んでいきたいです」。

 駅全体でより良い接客のために。これからも山田の挑戦は続く。

ページトップに戻る
ローカルナビゲーションをとばしてフッターへ