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「新幹線は日本の鉄道技術の粋を集めたものです。
その信頼を揺るぎないものにするためには、私たち運転士が確かな技術をもち制御しなければなりません」。
そう語るのは、大阪新幹線運転所の石田三洋。昭和54年に入社し、電気機関車の機関士を経て、昭和61年から新幹線の運転士となった。0系からN700系までの新幹線車両に乗務する。
「入社後、運転士になるための試験を受けましたが、そう簡単には運転台に座らせてはもらえません。さまざまな部所での研修や技能訓練、異常時の措置の習得、学科試験などを重ね、電気機関車の機関士として運転を始めたのは昭和57年です」と石田。運転士としての経験を重ねるうち、新幹線の運転士になりたいという夢がふくらんだ。
「新幹線と在来線との一番の違いは、やはりスピードです。風雨による走行条件の違い、勾配での速度調節など、高速運転下でのコントロールを正確に行えることが新幹線運転士の条件です」。この言葉を実践するため、現在も定期的な訓練会で技能向上を図るだけでなく、乗務の合間に時間を見つけては、運転シミュレーターを使った機器の制御の訓練を自主的に行っている。こうした日々の研鑽があってこそ、新幹線の運転台に座ることが許されるのだ。
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最新のN700系の最高速度は300km/hにもなる。新幹線運転士は、高速運転を行いながら、秒単位の正確なダイヤを守り、滑らかなブレーキ操作で駅に列車を導く。毎日あたり前のように行われていることだが、その実現の裏には、運転士の緻密な計算がある。
「天候によって同じ場所でも走り方は変わります。新大阪から博多まで長い距離を走る新幹線は、晴天で出発しても途中は豪雨に遭遇するなど、1回の乗務の中でも天候の変化を幾度となく経験します。ですから走行中はとにかく、確認、確認です。速度計などの計器、信号、架線柱横のキロポストを逐次確認しながら運転しています」と石田。
「ブレーキ操作も、お客様の乗り心地を損なわないよう細心の注意を払って行っています。自分の後ろには1,000人以上ものお客様がいらっしゃることを常に意識しています」。お客様の安全を守り、快適な旅を届けるという使命を全うするための石田の信念である。
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石田の運転へのこだわりは乗務の間だけではない。彼が何よりも気をつけているもの、それは自身の健康管理という。
「技術面の向上はもちろんですが、万全の体調で乗務することが何よりも大切です」と語る石田は、健康維持の基本として、うがいや手洗いを毎日欠かさないのは当然として、水分をとる時間、量にも気を使う。これは一度の乗務時間が2時間半にも及ぶため、身体のリズムそのものを乗務時間に合わせて調整するためだ。
石田は指導操縦者として若手育成の任にあたる際にも、技術面だけでなく、運転士としてのあり方についての指導も繰り返し行っている。「運転士の最大の使命はお客様に安心して目的地までご旅行いただくことです。そのために必要なことは、すべて伝えていきます」と、運転士一筋に歩んできた石田は、今日も新幹線の安全を守るべく、指先に力を込めて信号を喚呼する。
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「時刻よし!」。速度、信号などを指差確認喚呼する。 |
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さまざまな計器類が並ぶ「700系ひかりレールスター」の運転席。 |
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乗務前には、その日の行路の注意事項などを確認する。 |
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次の運転士へ運転状況を報告し、列車を引き継ぐ。 |
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乗務をすべて終えた後の終了点呼では、運転状況を報告する。 |
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