Blue Signal
November 2008 vol.121 
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探訪 鉄道遺産
探訪 鉄道遺産 本州と九州をつないだ、新しい輸送の始まりの地。車両航送発祥の地〈山口県下関市〉
 本州と九州を隔てる関門海峡。現在、下関と門司は関門トンネルで結ばれているが、トンネルの完成までは鉄道連絡船が就航し、関門海峡をつなぐ大切な移動手段として活躍していた。

 1901(明治34)年に山陽鉄道が下関まで開通し、関門連絡航路により本州と九州が結ばれた。当時、荷物は艀[はしけ]に積み替えてから先方の貨車に運ばなければならず、大変な労力を必要とするうえ、破損や紛失が大きな問題となっていた。そこで荷物輸送を請け負っていた宮本組の宮本高次が、貨車を船に積み込み、そのまま海上輸送する「貨車航送」を発案。山陽鉄道の国有化後の1911(明治44)年に下関〜小森江(門司)間で日本初の貨車航送が行われた。以後、1942(昭和17)年の関門トンネルの誕生まで関森[かんしん]航路として効率的な車両航送を担った。

 かつての船着場は、「車両航送発祥の地」として下関駅前広場横のショッピングセンターの壁面にレリーフがはめ込まれており、往時をしのばせている。

【アクセス】山陽本線「下関駅」下車すぐ
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