Blue Signal
November 2007 vol.115 
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鉄道に生きる【野呂 孝[のろ たかし](48)新幹線管理本部 大阪西車掌所 車掌】
お客様の安全を運転士ともに第一線で守り、お客様の快適な旅をサポートする車掌。
車掌の業務は車内放送や車内改札、ドア操作、お客様対応など多岐にわたる。
今回は山陽新幹線で活躍する車掌を訪ねた。
常にお客様の立場に立ったサービスをめざして
新幹線に携わる誇り
新幹線において、列車の安全運行や行き先案内、車内でのお客様とのコミュニケーションを行う大切な役割を担っているのが、車掌だ。

野呂孝は「小さい頃から鉄道が好きで、鉄道員になるのが夢でした。昭和52年に国鉄に入社し、駅に2年間勤務した後、車掌試験を受けて在来線の車掌となりました。そして平成8年に念願の新幹線の車掌に採用されました。新幹線は、鉄道に携わる者のあこがれであり誇りですから、嬉しかったですね」と瞳を輝かせる。

その野呂の車掌としての信条は、「まず何よりもお客様の立場で」。安全確保を第一に、車内で快適に過ごしていただくためのサービスの提供に努めている。
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車内改札は、ご乗車いただいた感謝の気持ちをこめて笑顔で対応。
お客様が何を求めているのか
「在来線の列車と違って新幹線の場合は移動距離が長いため、お客様と接する時間も長くなります。車掌の対応ひとつでお客様の旅の思い出が変わることもありますから、お客様サービスというのは大切な業務です」と野呂。

大阪西車掌所では、サービス向上のための勉強会や委員会を独自で設け、さまざまな取り組みを行っている。
「お困りのお客様が声をかけやすい表情とは?とか、車内放送は音量に注意を払いゆっくり分かりやすい放送を心がけるなど、お客様に快適に気持ちよく過ごしていただくための具体的な取り組みについて考えて実践しています。大切なのは、お客様が何を望んでおられるかを常に考えること。たとえば、天候などの影響でダイヤが乱れてしまった場合には、在来線との乗り継ぎ、接続を心配されます。これを車内放送で的確にご案内することも、サービスです」と語る野呂は、お客様から「ありがとう」の声をかけていただくことが一番の喜びだという。ホテルや百貨店といった他の接客業の対応を見本とするなど、よりよいサービス提供のための努力は惜しまない。
お客様の安全を守ることが何よりのサービス
車掌の仕事のひとつに巡視検査という業務がある。車両故障を未然に防ぐための巡視、万が一の故障時の応急処置ができる技術の修得などが必要とされ、巡視検査訓練が定期的に実施されている。

「カバンの中には、0系からN700系までの携帯用電車故障応急処置ブロック図が入っています。巡視検査訓練は岡山の訓練センターまで出かけて行います。また、訓練とは別に、常に乗務員同士でコミュニケーションを密にとって情報交換と共有化を図っています。お客様の安全はみんなで守るんです」と野呂。後輩たちへの指導にも熱が入る。

「私たちも先輩の背中を見て目標にしてきましたから、同じように目標としてもらえるように努力しています。新幹線車掌であるという誇りを持って、お客様によりよいサービスを提供していきます」にこやかな笑顔の中に、野呂の車掌としての信念が見えた。
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乗務点呼。運行状況や業務注意事項を同乗する乗務員と共有する。
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乗務前にはきちんと身だしなみを整える。
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「開通表示よし」「側灯よし」。発車前の指差喚呼。
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車内の温度調整や確認も巡視検査のひとつ。
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到着時刻や乗換え案内などを車内のお客様へご案内。
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