Blue Signal
September 2007 vol.114 
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探訪 鉄道遺産
探訪 鉄道遺産 人々に時を告げた、響き渡る鐘の音 大阪駅時鐘(交通科学博物館)
1874(明治7)年5月、初代大阪駅が大阪―神戸間の鉄道開業に合わせて誕生した。通称「梅田ステンショ」とも呼ばれたこの初代大阪駅唯一の遺産が「大阪駅時鐘」である。

この時鐘は青銅製で、高さ58cm、重さ100kgと大きく、英国人技師が持ち込んだといわれる。大阪駅の正面から向かって右側にあった築山の前にあった木造の時鐘台に吊され、列車出発の5分前になると「カーン、カーン」という鐘の音で人々に時を告げていた。当時の大阪人にとって汽車といえば、この鐘の音が連想されるほどだった。

大阪駅の名物となった時鐘だが、いつしか使われなくなり、行方もわからなくなっていた。時が過ぎ、3代目の大阪駅が開業した1940(昭和15)年、保線区で手洗い鉢として使われているのが発見された。現在は交通科学博物館に展示され、当時を偲ぶ重みのある明治の鐘の音が、鉄道開業時のロマンを私たちに語りかけている。

【アクセス】大阪環状線「弁天町駅」 下車すぐ
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初代大阪駅舎。手前には、時鐘を吊り下げた時鐘台があり、列車出発5分前の合図として、人びとに時を告げていた。
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