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September 2004 vol.97
松江市の西に広がり、古くから夕景の美しさで名高い宍道湖。袖師焼はその湖にほど近い、かつて袖師浦と呼ばれた砂浜であった地で焼かれている。
1877(明治10)年、布志名[ふじな]や楽山[らくざん]で出雲の陶法を学んだ初代尾野友市[おのともいち]が、良質の陶土がある松江市上乃木[あげのき]の皇子坂に開窯し、2代岩次郎の時、船便のよい現在地へ移った。3代俊郎の時代には柳宗悦の民芸運動に参加。以後、河井寛次郎、濱田庄司、バーナード・リーチなどの影響も受け、日常で使う器を作るようになった。1958(昭和33)年にはブリュッセル万国博に出品した掛分[かきわけ]酒器がグランプリを受賞している。
出雲に伝わる技法を基礎に、地元産の土と釉薬[ゆうやく]にこだわり、簡素な中にも潤いをもつ袖師焼。暮らしに役立つ、強くて使いやすい器を作りつづけている。