外国人専用窓口のスタッフに、マルス（旅客販売総合システム）端末の操作方法を指導。より迅速な発券・案内が行えるようサポートする。

　世界に開かれた大阪の空の玄関口、関西国際空港にアクセスする鉄道として、お客様の8割を海外旅行客が占めるという関西空港駅。「外国から到着されたお客様が、この駅から気持ち良く目的地に向かわれるよう、きめ細やかな案内を心掛けています」と語る西川は、入社以来駅業務一筋に10年のキャリアを積んできた。

　当駅への配属は、2012年。最初は英語も話せず、とまどっていたというが、日本よりも海外のお客様と接する時間が圧倒的に長い職場環境の中で、自然と英語力が磨かれたそうだ。今では、「みどりの窓口」における海外旅行者向けの切符の販売をはじめ、混雑時のフロア案内、「みどりの券売機」での接客なども、流暢な英語で対応にあたっている。

「安心してご旅行をスタートしていただくため、日本に到着し、初めてJRに乗車されるお客様には、しっかりと行き先をお伺いし、ホテルの最寄り駅をお調べしたり、ルート案内のコピーをお渡しするなど、迷わずに目的地まで行っていただけるよう心掛けています」という西川。おもてなしの気持ちを持って海外からのお客様に接し、関西空港駅から始まる日本の旅をより安全に快適にサポートすることが、何よりの行動指針になっているそうだ。こうしたお客様への想いは、「みどりの窓口」をより利用しやすくするための改善策などにも結び付き、さらなるお客様満足を生み出している。

若手社員の商品知識を高めるための勉強会。「幅広い切符の取り扱い内容を熟知することで、的確なご案内へと繋げています」。

　西川の「駅業務」は、多岐にわたる。新人や2〜3年目の若手社員の育成もその一つだ。配属された当初、それまで勤務していた天王寺駅に比べ、関西空港駅の若い社員たちが、一般的な切符の知識に乏しいことに気付いた。そこで西川は、経験豊富な社員とともに勉強会を立ち上げ、払い戻しの画面操作なども含めたスキルアップに努めている。

「日本人のお客様が少ない当駅では、商品知識が海外旅行客向けに偏ってしまい、JR西日本が扱う幅広い切符に関しての知識が乏しいのが実情でした」。日本のお客様のご要望、ご質問にもしっかりと対応できるように、自分の後に続く人材へ知識や技術を継承していくことも大切な業務と考えている。

　また、昨年の8月からは「みどりの窓口」の2階に海外のお客様専用窓口がオープンし、その窓口業務を行う外国人スタッフ7名の教育も新たに担当している。西川は、韓国や中国、台湾が出身地のスタッフにも、お辞儀の仕方、身だしなみなど、日本のマナーやおもてなしの気持ちの大切さを指導し、質の高い接客サービスへと繋げている。「アジアからのお客様が増加する中で、7名のスタッフは大切な戦力。緊急時なども、韓国語や中国語でご案内できるようになり、振り替え輸送などがスムーズに行えるようになりました」。今後はさらに連携を密にしながら、窓口の待ち時間短縮などの課題にも取り組んでいく。

『駅運転係員（在来線駅長業務）』の資格取得により、異常時には指令所内にある信号制御盤の操作などにもあたる。

　今年1月、『駅運転係員（在来線駅長業務）』の資格を取得した西川は、現在営業に加えて、輸送業務にも携わっている。専門知識の習得はもちろん、体力的にも厳しい実地訓練が課せられる資格にチャレンジした理由について、「列車の運行が乱れ、他の駅員が対応に追われている時、私にできる仕事は限られていました。手伝いたくても、資格がないためにできない。駅業務の幅を広げたいというのが一番の動機です」と語る。

　たとえば、列車が事故で運転できなくなった場合、行き先を管理する列車番号に変更が生じる。こうした異常時に、関西空港指令所からの指示に従い、運転士、車掌に列車の運用変更の内容を伝達する「通告券」を発行するのが有資格者の任務だ。さらに、信号機のシステム故障の際などには、手動で信号を扱うこともできる。

　「資格を取ったことで、自分で対処できる業務が増えたのがうれしい」という西川だが、同時に1％でもミスがあってはならない輸送の緊張感も味わっている。窓口業務においても、切符のご利用日に間違いがないか、お客様にカレンダーを提示するなど、「100％の確認」を徹底するようになったそうだ。若きリーダーは、駅業務の全てで、持てる力を最大限に発揮している。