音の故由

丹後一宮 元伊勢 籠神社【京都府宮津市】

水琴窟

 水琴窟は日本庭園の作事の一つで、蹲踞[つくばい]や手水鉢[ちょうずばち]の地下に小さな穴を開けた甕[かめ]を伏せて埋め、手水から落ちる水が甕の底に溜まった水に雫となって落ちる工夫をした音響装置だ。地中に埋め込まれた甕の中で、水滴の音が反響・共鳴し、琴の音に似たすずやかな音を響かせることから水琴窟と呼ばれるようになった。

 京都府宮津市に鎮座する丹後国一宮・籠[この]神社は、創建は719(養老3)年とされるが、創建当時の当主が27代目とあり、それ以前より遥か昔に創祀されたと伝わる。現在の当主、海部光彦宮司で82代目となり、当家の『海部氏系図』は国宝に指定されている。

 年ごとの春に御祭神が新しく誕生する「御生[みあ]れの神事」に因んで作庭された「御生れの庭」には水琴窟がしつらえてある。籠神社の奥宮である真名井の原から流れ込む御神水が雫となって奏でる妙なる音は、人々に幸福を恵み、心の癒しを与えてくれる。

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