旅のみやげもの 外湯めぐりの町としてその名を知られる温泉郷・城崎。

兵庫県豊岡市 城崎麦わら細工

 麦わら細工は、城崎の地で受け継がれている伝統工芸品だ。鮮やかな色彩と光沢、手作りの素朴さが魅力で、江戸後期に来日したドイツ人医師・シーボルトがヨーロッパに持ち帰った日本美術品のコレクションの中に含まれていたことでも知られている。

 その歴史は、江戸時代中期の享保年間(1716年から1735年)にさかのぼる。因幡国(鳥取県)から湯治のために城崎を訪れていた半七という男が、旅費の足しにしようと、竹笛やコマなどに赤、青、黄の麦わらを貼り付けて宿の軒先で売り出したことが始まりといわれている。

 麦わら細工には、編み込む「編組物」、桐箱などに貼り付ける「模様物」、幾何学模様に貼っていく「小筋物」などの種類がある。1年以上寝かせた麦わらを赤、青、黄、緑などに染め上げ、職人が手仕事で一つひとつ丁寧に仕上げる。高い技術と芸術性を誇る素晴らしい作品は、今も人々の目を楽しませている。

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