Blue Signal
March 2005 vol.100 
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難波津焼[なにわづやき] 大阪市
大阪は日本の陶文化の発祥地だった。古墳時代中期(5世紀中頃)、大陸からの文化の玄関口であった大阪へ朝鮮半島から須恵器がもたらされた。現在の大阪府堺市南部を中心に、陶邑[すえむら]と呼ばれる集落で作陶の技術が発達し日本各地へと広がった。

いつしか大阪の陶の炎は途絶えたが、千年以上の時を超え、大阪湾に浮かぶ人工島、舞洲[まいしま]で「難波津焼」が生まれた。この新しいやきものは1998年に完成した舞洲陶芸館で焼かれており、資源を再利用しているのが特徴だ。陶土は開発で掘り出された大阪湾の海底粘土。市内で唯一の登り窯で使う燃料には、大阪港で杭として使っていた米松を使用した。この松灰は美しい緑色の自然釉を生み出し、作品に独特の味わいを与えている。現在、同館には若い陶芸家が集まり、新たな大阪の陶文化の系譜を創り出している。
イメージ
「難波津焼花器」舞洲陶芸館蔵
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