Blue Signal
May 2004 vol.95 
特集
駅の風景
食歳時記
鉄道に生きる
陶芸のふるさと
陶芸のふるさと
出石焼[いずしやき](兵庫県出石町)
但馬[たじま]の小京都といわれる出石町は、なだらかな丘陵に広がる山あいの静かな城下町である。出石焼の歴史は古く、「古事記」「日本書紀」などにもその名が見え、明和年間(1764〜71)にすでに土焼[つちやき]の窯が築かれていた。国内磁器産地で唯一の「純白」を誇る現在の出石焼が誕生したのは、柿谷陶石[かきたにとうせき]という原料が町内で発見された1789(寛政元)年のこと。1800(寛政12)年に藩窯[はんよう]となり、愛陶家絶賛の名品が続々と創出される。

明治時代に入り出石町では、有田より陶工を呼び寄せ「盈進社[えいしんしゃ]」を設立。匠たちにより出石焼はさらに研鑽され、1902(明治35)年の米・セントルイス万博で金賞を授賞。出石焼の滑らかな白い肌に施された花模様などの高度な彫刻や透かし彫りは、白磁の清楚な上品さをいっそう際立たせている。
イメージ
「もみじ花瓶」 出石町蔵
このページのトップへ