プロフェッショナル職採用
車両
米子支社 後藤総合車両所 計画科 改造 係長 竹ノ下 成実 2000年 入社
Career Step
- 2000年神戸支社 網干総合車両所 車両管理係
- 2002年米子支社 後藤総合車両所 車両管理係
- 2014年本社 車両部 車両設計室
- 2016年米子支社 後藤総合車両所 車両管理係
- 2017年米子支社 後藤総合車両所 係長
丹精込めて
育て上げた“わが子”は、
今も勇気と元気の源
神戸支社 網干総合車両所 車両管理係
車両は20〜30年使用されると、座席やトイレ、吊革などの車内設備を時代に合わせて取り替え、塗装も新たにして新車のようにリニューアルします。そういった工事を行うことも、私たち車両の仕事。モノづくりや、縁の下の力持ちとなって表舞台を支えることが好きな私にはぴったりな仕事です。
入社2年目、実習を終えて本配属となって担当したのが、当社の看板列車でもあった「トワイライトエクスプレス」のリニューアル工事です。長い使用年月を経て、車両所に入った時はトワイライトエクスプレスといえども痛みが目立ちました。そこで、古い内装をすべてリニューアルしデビュー当時の車内設備に生まれ変わりました。この過程で、作業の流れや勘所を学んでいきました。
当時の所属先である網干総合車両所は、規模も大きく多種多様な車両に対して、さまざまな工事が行われていました。いずれ米子の地に戻って仕事をすることを見越し、「ここでしか学べないことをすべて吸収しておこう」という気持ちで仕事に望みました。
これまで改造工事で手をかけた列車は、今もそれぞれ車両の番号を覚えているほど。先輩たちは手がけた車両を「あの子たち」とまるで自分の子どものように呼ぶのですが、その気持ちが私にもよく分かりました。今、“わが子”は各地で元気よく活躍してくれています。時に見かけるわが子の活躍に、いまも勇気や元気をもらっています。
成長を支えたもの
入社3年目から、車両内の電気配線作業を担当しました。この作業には緻密さや手際の良さが求められ、実は苦手でした。そんな私を支えてくれたのが、協力会社も含めて行われる「配線競技会」の存在。職場を代表する“選手”として出場した私を、先輩たちは丁寧に指導してくれ、力を付けることができました。そのかいあって、初回の出場時は2級の部で最優秀賞を受賞。2回目の出場時には1級の部での最優秀賞を受賞できました。競技会のほかにも国家資格の取得など、目標を定めてスキルアップできる仕組みが当社にはたくさんあります。この仕組みのおかげで配線に自信が持てるようになり、今では得意分野と言えるほどになりました。
自分の名のもとで
人とモノ、そして列車が動く
責任感と達成感
米子支社 後藤総合車両所 車両管理係
担当する車両や工事の内容はさまざまでしたが、入社から一貫して、現場で車両の工事を行う仕事に携わってきました。それがこの年、計画科に異動。工事の計画を立てて予算を組み、図面を作ったうえで現場の作業者へ工事を依頼するという立場に変わりました。
それまでの私は、現場で工事を依頼される側。工事内容も手順も、必要な材料さえも用意されていたものだったのです。いかに計画が周到になされ、現場の仕事を支えてくれていたのかを知りました。とはいえ、すぐに私が先輩たちと同じような計画を立てられるわけもありません。そこで、ついこの間まで現場にいたことを活かし、とにかく現場に足を運んで自分の目で見て、工事担当者たちの声を自分で聞くように心がけました。また、他部署や社外の協力会社の担当者の意見にもしっかりと耳を傾け、スムーズに工事が進むような段取りを組むことに力を注ぎました。この時期にリニューアルを担当した寝台列車は、四国や東海・東日本といった当社以外のJRのエリアも運行します。「ご利用のお客様はもちろん、他社に迷惑をかけるわけにはいかない」という気持ちもあり、綿密に調整やシミュレーションを行ったことが思い出深いです。
工事図面には、作図者の名前が書かれています。私の名前が記された図面にもとづいて人が動き、工事がなされ、その結果として改造工事をした列車が日本各地を走るのです。責任の大きさに戸惑ったこともありました。しかし、工事を終えて試験走行で列車が目的地まで無事にたどり着いた時の達成感は、それまでとはひと味もふた味も違う格別なものでした。
こだわりと、互いへの理解と。
新型車両の設計を支えた
プロたちの熱い思い
本社 車両部 車両設計室
車両の仕事でキャリアを積むうえで、新型車両の設計にも一度はチャレンジしたいと思っていました。その希望がかなったのが2014年。その後、担当する車両が新型車両「瑞風」であることを知らされました。異動に驚き、担当業務に驚きという、2度驚いたことを鮮明に記憶しています。
異動する前、設計室での業務とはCADを使って図面を引くことだと想像していました。ところが、設計室ではほとんど誰も図面を引いていない。むしろ、盛んに議論やメーカー・他部との調整を行っているのです。豪華車両である瑞風は、ホテルを手がけるような建築の専門家の先生によるデザインになっています。ところが、そのデザインは車両の専門家から見ると、機能上の課題や安全上の問題が浮かび上がることもあります。こんな時、両者はそれぞれの専門的な視点から「どうやったら実現できるのか」を話し合い、考え抜いているのです。例えば瑞風の“顔”ともいえる展望デッキには、お客様が転落したり手を外に出されたりしないような工夫がされています。でも、見た目のデザインはそういった機能性を感じさせず、あくまでも美しさが印象的です。ここに、プロ同士が思いを持ち寄り、互いを尊重しながら「素晴らしい列車をつくろう」というひとつの目標に向かって結集した設計の力があるのです。
通常の列車以上に多くの人が関わった瑞風の仕事を通して設計業務を学べたことは、かけがえのない財産です。瑞風は今後、私が現在所属している米子の後藤総合車両所でメンテナンスが行われます。私が設計段階から瑞風に携わったのは、瑞風の誕生にかけた多くの人の思いを、メンテナンスへと引き継いでいく架け橋になるためだと考えています。瑞風の美しさと魅力、そしてその根底にある思いを、何十年先にも変わることなく伝えてくことが私の目標であり使命です。
私の地域への取り組み
後藤総合車両所では、週に1回、「後藤総合車両所見学ツアー」を開催しています。参加者には地元の子どもたちや高齢者の方たち、さらには遠方からの列車ファンの方もいらっしゃいます。私たちの仕事を実際に見ていただくことで、車両や安全への取り組みへの理解を深めてもらうことが狙いです。ツアーの案内役は当社の社員が務めており、自身の仕事を説明したり仕事場を見てもらうことがモチベーションアップにもつながっています。そうやって地域と当社の一体感を高めることが、車両という仕事のできる地域貢献のひとつだと考えています。