総合職採用
運輸
近畿統括本部 輸送課 課長 細井 建治 1994年 入社
Career Step
- 1994年金沢支社 金沢運転所 車両管理係
- 1995年金沢支社 金沢車掌区 車掌
- 1997年金沢支社 富山運転センター 運転士
- 1998年金沢支社 運用車両課
- 2001年本社 運輸部 輸送計画課
- 2008年京都支社 京都電車区 区長
- 2010年金沢支社 運用車両課 担当課長
- 2012年金沢支社 運用課 課長
- 2014年本社 運輸部 輸送計画課 担当課長
- 2017年近畿統括本部 輸送課 課長
尊敬できる上司、
先輩に恵まれ、
自らの成長において
確かな手応えをつかむ
金沢支社 富山運転センター 運転士見習

その先輩は、私の運転士見習時代の指導操縦者であり、私が入社して20年以上経った今なお師匠と呼ぶべき大きな存在です。運転士を養成する過程において、先輩運転士が指導操縦者となり、運転士見習にマンツーマンの指導を行います。私の担当となった指導操縦者は大ベテランの運転士で、年齢が離れていたことから、まさに師匠と弟子、親と子のような関係でした。
昨今、こうした人間関係は「古臭い」と思われるかもしれません。けれども、そこにはしかるべき理由が存在します。運転士見習いには「安全運転を確実に実行する」というめざすべきゴールがあります。とはいえ、人間は一人ひとり性格や感性が異なるため、ゴールにたどり着く道のりは一つではありません。そのため、指導方法もまた個人に合ったものが求められます。そして、それを体現する師匠のもとで運転士業務を学ぶ中で、ゴールに向かって一緒に歩んでくれる指導者の大切さを、私は身をもって知ったのです。
JR西日本は巨大な組織です。希望を胸に入社してきても、多くの社員が「大組織の中で自分は本当に役に立っているのだろうか?」と疑い、悩む時期があります。私自身もまた経験しました。しかし、そうした時、師匠をはじめとして大勢の方々が、自分のことを真剣に考えてくれていると思う時、感謝の気持ちから悩みは解消していくものです。私の師匠は今なお現役の運転士として活躍しています。職場でお会いして握手を交わすたび、鉄道人としての原点が師匠との出会いにあったと実感しています。

成長を支えたもの
私は思ったことを遠慮なく口に出すタイプで、若い頃は仕事のやり方をめぐって周囲としばしば衝突したものです。こうした態度を変えたのは、何事にも真剣に取り組む先輩たちの後ろ姿でした。たとえ、難しい仕事であっても愚痴一つ言わずにベストを尽くす。その姿勢を垣間見て、「仕事もろくにできない自分が、言いたいことだけ言うのは格好悪い」と恥じたものです。以来、仕事への姿勢を変えるように努め、自分に課せられた業務にひたすら取り組みました。すると、結果がついてきて、仕事が面白くなったのです。さらに一人前に仕事ができるようになり、広い視野を持って物事を判断できるようになると、周囲との意見のすり合わせもスムーズになり、さらに仕事が好きになる。私の成長はこのスパイラル上にあったと思います。

現場長として若手社員の
成長を支えるとともに、
部下たちとの交流を通じて
会社の将来に光を感じる
京都支社 京都電車区 区長

入社15年目から京都支社の勤務となり、200人以上の運転士が所属する職場の現場長(区長)を務めました。職務に就いて痛感したのが、運転士一人ひとりと密接なコミュニケーションを取ることの難しさです。運転士は現場に出て列車の運転を行っているため、同じ職場で顔を合わせてコミュニケーションを取ることが、常にできているわけではありません。そこで私は、半年かけて200人を超える運転士全員の列車の添乗を行い、仕事ぶりを把握するとともに一人ひとりとコミュニケーションをとりました。しかし、当然それで全てが分かる訳ではありません。
現場長として求められるのは、部下と相互に信頼関係を築くとともに、足りていない部分を補ってやり、がんばっている人間をきちんと評価してあげることであると考えています。また、仕事や家庭での悩みなどからしっかりと業務と向き合えてない時に、その変化に気付き、一言かけることも大切です。そのためには日頃からの密接なコミュニケーションが不可欠であるため、意識的に部下たちが参加する社内の研究発表会やイベントなどに関わり、交流を重ねていくなかで、相互的に信頼関係を深めていきました。年齢段差で技術継承が課題と言われる当社ですが、実際に部下たちと関わっていくなかで、意識を高く持って仕事に取り組んでいる若手社員が数多くいることを実感しました。頼もしく思うとともに、会社の永続的な成長にも光を感じました。また部下の成長を促し、目標にあわせて「今すべきこと」を意識付け、次のステップへ導くことができた時は本当にうれしかったです。一人ひとりと顔を向かい合わせ、各自の人生にダイレクトに関わり、上司としてそれを支える。それが現場長の仕事の醍醐味でもありました。

私の地域への取り組み
京都電車区で区長をしていた頃のことです。部下である運転士たちと一緒にAED(自動体外式除細動器)の使い方を教える講師資格の取得に取り組みました。当時、多くの社員は地域の消防署等でAED講習を受講していましたが、講師資格を持つ社員がいれば、社内での講習が可能になります。今では約20名の運転士が資格を取得し、地域の方々へのAED講習も可能となりました。元々はお客様を救護する際に自信をもって行動できるように、と思って始めたことですが、地域にも貢献することができたうえに、社員のやる気を引き出すことができたと思っています。

あらゆるプロジェクトの根幹を成す
現場のオペレーション。
その活動を支える乗務員たちを育成するための
組織・ルールづくりを手がける
近畿統括本部 輸送課 課長

本社 運輸部を経て、現在は近畿統括本部
輸送課に所属しています。現場長時代は一対一で運転士たちと向き合いましたが、間接部門である今の部署では「よりよい乗務員育成」を目的に、会社全体の仕組みづくりに取り組んでいます。
現在特にこだわりを持っているのが目線移動の教育であり、アイトラッキング(視線計測)を用いた新しい乗務員訓練の導入を調整中です。乗務員に専用の機器(アイトラッカー)を装着させ、乗務時の実際の目線の動きを録画、それを本人と一緒に確認します。この訓練の一番のメリットは、自身の業務内容を客観的に確認できるところです。運転士・車掌ともに普段は一人での業務となり、「自分の運転は他人と違ったところがある」「この点は他人よりも上手くできている」といった気付きを得る機会がほとんどありません。それを可視化することで、今まで成し得なかった領域の教育を充実し、足りない部分の技術向上を図ることはもちろん、しっかりとできている部分は強みとして実感することで、仕事への誇り、プライドの醸成にもつなげていければと考えています。その他、乗務員が携帯しているタブレット端末を活用し、列車遅延時における情報提供の充実や多言語放送の実施などの取組みも展開しているところです。お客様のニーズは急速に多様化の動きをみせています。今後も「人が果たす役割」と「最新の技術」を融合させながら、さらなる安全・安心・快適な運行につなげていきたいと思います。
鉄道は地域の方々の生活に根付いたものであるため、いかに地元に貢献できるかという視点が大切であり、地域の方の喜びが実感できた時に、私たちの仕事のやりがいも生まれます。自身に課された役割を通じて、そういった意識を持った人財づくり、組織づくりに今後も貢献していければと思います。
